今日の一戦に、様々な応援団が集まった。
NTT野球部OBの計らいで、駒苫・東海大四・鵡川・旭川実業、
札幌第一、北海学園大学、札大・・・
どうも、どことは言わないけどだらしなく見える大学生が気になった。
野球人たるもの、普段の生活をしっかりしなければいけない。
高校生の方がきちんとしていて、余計に目立っていた。残念である。
野球関係者のみならず、全道からNTT社員も多数来ていた。
最後の戦いとあって、皆、その最後を見届けようと大集結!
昭和31年に、電電北海道野球部が創部。
昭和46年に、都市対抗全国大会に初めて駒を進める。
昭和52年、平成4年の2回、ベスト8に進出。
都市対抗全国大会に進出したのは、16回。
日本選手権全国大会に進出したのは、6回。
平成に入ってからのNTTは強かった(都市対抗)
平成元年・3・4・6・8・9・10・11・16と9回出場。
5強時代に凌ぎを削ったことを思い出す。三つ巴になることも多かった。
NTTは三つ巴になれば、まず勝っていた。乱戦に強かった。
都市対抗は、補強選手の活躍で勝敗が左右されることが多い。
NTTは第2代表での出場が多かったので、夢の補強はできなかった。
(第1代表が、最初に5名取ることができるルール)
北海道の社会人野球をリードしてきたNTT。
大昭和製紙・たくぎん・王子製紙・新日鉄室蘭、すべて無くなった。
(室蘭シャークスが、この中ではクラブチームとして残っている)
北海道の経済状況を物語っている相次ぐ休部・廃部。
本日行われる試合は、代表決定戦。二試合目にNTTとJRが激突。
その前の第一試合は、自衛隊と室蘭の試合。
途中から見ていたが、眉間にしわが寄る内容だった。
「全力疾走しない」「カバーリング甘い」「テンション低い」
消化試合ではあるが、野球は野球。
未来のない野球は見ている人を冷めさせる。
4番瀬川選手のゴロの時の走塁。考えられない凡走。
開いた口が塞がらない。
第一試合が終わる頃には、観客が多数来場してきた。
高校生・大学生の野球選手も入場してきた。NTT側のスタンドは満員。
NTTの応援団は、いつも北海道の中で応援賞をもらっている。
東京ドームでも、いつも相手に負けない応援をしていた。
その応援も、今日負ければ最後か・・・感慨深く応援を見つめる。
NTTの先発は森広。中2日での登板。
JRの先発は、この前までサンワードでエースだった神田投手。
JR打線は、1〜5番まで左打者を並べている。
そのJR相手に、森広・安宅バッテリーは工夫を重ね抑えていく。
5回までヒット「0」。
内外に投げ分けるチェンジアップが効いている。
130キロ後半のストレートだが、配球の妙で完璧に封じている。
真後ろでの観戦だったが、コントロールが抜群だった。
狙ったところに投げきれている様子。今日の森広は素晴らしい!
2回NTT、2死から後藤・安宅のヒットでチャンスをつかむが凡退。
4回NTT、先頭の山内が四球を選び、相手ミスもあり2死満塁。
サード失策の時に、2走が本塁に帰ってこれなかった。大きなミス。
普段から常に全力であれば、帰ってこれたタイミング。もったいなかった。
結局、相手ミスに付け入ることができずに、凡退。
先制したのは、NTT。5回裏に二死走者なしで3番野々村。
野々村といえば、一緒にプレーしてきたが、見逃し魔王。
インコースの厳しいコースに対して、腰引いて見逃すのが多かった。
しかし、ツボもその周辺にあって、甘くなった球は一発がある。
捕手の構えは、インコース。「よっしゃ甘くなれ」と念じていると・・・
わーお、本当に甘くなってきた。
「カキーン」
レフトに良い角度でふらふら上がった打球。ん、んん、んんん・・・
ギリギリに吸い込まれた。スタンドイン。先制の本塁打。
均衡が破れた。押し気味なのに得点できなかったNTT。ついに先制。
今日の森広なら「1点」で十分といったこれまでの投球内容。
しかし、都市対抗の代表決定戦。そんなにうまくいくわけがない。
5回終了時にグランド整備。これって本当に余計。
裏チームは気をつけないと、開始直後にマイナス方向に行きやすい。
試合開始直後の立ち上がりも難しいが、ひと試合に2回試合開始がある
みたいな感じ。細心の注意&大胆さが求められる。
6回JR、先頭の芝草が初球レフト前ヒット。初ヒット。
やっぱりって感じ。ここから好投してきた森広が変化してくる。
次打者にバントを決められ、9番島に今日初めての四球。
1番三家を三振で切り抜けるも、2番吉川の打球は1・2塁間。
ファースト山内が飛びついてはじく。外野に転々とする間に2走が生還。
あの打球、判断は難しいが、セカンドボールだった。
セカンドポジションの確認をしっかりしていれば任せられた打球。
6回NTT、1死から小林がポテンヒット。
後藤に送らせると思いきや強攻。結果的に進塁打になったが「?」
ここで神田から右腕西崎にスイッチ。
西崎は、140台のストレートと、ブーメランスライダーが武器。
スライダーの曲がり幅はものすごい。代わりっぱな安宅に四球。
9番広浜は、過去2打席チャンスで凡退。三回目のチャンス。
ここで、彼はスライダーを狙っていた。
スライダー狙い打ちでタイムリーとなり、NTT2−1と勝ち越す。
社会人はこの駆け引きがあるので面白い。ガチンコ勝負じゃなく、色々と
頭を使って、相手投手を攻略する。広浜ナイスバッティング。
その後、船尾の気迫のヒット。いや鬼迫というほうが当てはまる。
そのヒットで、2走の安宅が帰ってこれない。2死なのに・・・
これが痛かった。足の遅い安宅だったのもNTTとしては痛かった。
試合が動いてきた。こうなるとなかなか止まらない。
7回表、JRの攻撃。
1死から須藤がヒットで出塁。
次打者にカウント1−2でクイックで投げた。
あの場面、クイックは必要なかった。そのクイックが外れて1−3。
結局、四球で歩かせてしまった。2死までこぎつけたものの、8番岡田。
初球をライトに狙いすました右打ち。同点に追いつく。
すごい試合になってきた。維持と維持とのぶつかり合い。
7回NTT、先頭野々村が死球。大チャンス。
ん?四番山内強攻。ショートライナーダブルプレー。唖然・・・。
自分なら、打てのサインでもバントしていた。
投手戦を考えて、1点をもぎ取る野球を選択し、相手にプレッシャーを
与えることを最優先で考えれば・・・
バントの必要性を感じたシーンでもあった。勉強・勉強。
8回NTT、もっと大きなチャンスがやってきた。
先頭の後藤がレフトに鮮やかなヒット。待望の先頭打者が出た。
ここは送るでしょ。安宅がバント。でも小飛球となる。
この小飛球を西崎がダイビングキャッチ。はじいた!フェアー!!
相手がくれたチャンス。無死1・2塁の絶好のチャンス。
ここでNTTのシナリオは、広浜が送って船尾に回り、船尾は敬遠。
1死満塁で高橋。左の西尾が代打?そんなシナリオだろう。
無死1・2塁でJR守備陣は初球にシフトを引いてきた。広浜見送る。
ストライク。2球目打つ構えでボール。ん?100%バントだよ。
初球だけシフトを引いてプレッシャーを与える良くあるパターン。
バスターをやらせたらもうけもの。成功する確率は少ない。
1−2から低めの速球に、バットの芯を食ってしまい、サード封殺。
バント失敗!
大きなミス。ここで選択するのは、100%送り。余計な動きなど×。
バントなのか、バントエンドランなのかの二者選択のみ。
スタンドの大方の見方は、バントエンドラン。投手前にスクイズさせて
ランナーを走らせる。これしかなかった。
あとはどのカウントでやるかだけ。1−2のカウントは絶好だった。
う〜ん、投げている投手が速球派っていうのも結果に響いた。
バントの難易度は高かった。であれば、やっぱり・・・
1死1・2塁から、船尾選手が三振。
チップして地面へショートバウンドした球を捕球したのにアウト。
打者のアピールも虚しく、判定はファールにならなかった。
こういったところでミスジャッジ。NTTにとっては痛い判定だ。
つづく高橋は見逃し三振。動いても良かった場面か・・・。
う〜ん、相手のミスに付け入ることができなったNTT。
痛い、痛すぎる。流れ的に送れていれば得点できたに違いない。
1本のバントが、勝敗を分けた。
10回NTT、先頭の松田がファーストベースに当てるヒット。
ついていない。ベースに当たってなければ2塁までいけた。
次打者後藤の時に、バント失敗。捕手からセカンドに送球。封殺。
1死1塁に変わる。ここは100%送り。
エンドランをして外されてスチール失敗となる。
・・・
安宅死球。
その後に安宅がマウンドに詰め寄る。
NTTのフラストレーションが溜まっている。
それもそうだろうことごとく、チャンスを自分達で潰している。
四球で続き、2死1・2塁で船尾。誰もがサヨナラをイメージ。
船尾の打球は、レフトに低いライナー。サヨナラだ!
レフトの吉川がダイビングする。
スーパーキャッチ。なんと、ここでビックプレーが!
2走の安宅が三塁ベースを回ったところで倒れていた。
アキレス腱断裂?!即担架で退場となった。
勝利の女神は微笑まないのか・・・最後の最後に・・・泣
11回表JR、
捕手が松尾に変わり、先頭の沖津にレフトへ2塁打。
風が舞っていて、追い風、松田が取れなかった。
クルクル回って走った分、無理な体勢になり取れなかった。
4番の中野がレフトフェンスにワンバウンドで当てる2塁打で1点。
その後、森広から高谷・伊敷と継投で凌ぐが痛い失点。
11回裏、セカンドゴロ、見逃し三振、セカンドゴロで終戦。
何度も勝てるチャンスがあったのに勝利は手に入らなかった。
野球の怖さを改めて感じた試合だった。
どうしても、勝負には白黒の結果はつく。
NTTにとっては残酷な結果となった。号泣する選手。
ひとつの時代が幕を閉じた瞬間でもあった。
バントの大切さを、今日見に来た学生達は感じただろう。
野球とは、ホームベースという陣地を取りに行くゲーム。
ひとつひとつ確実に駒を進めることが、最終的に「一気」に繋がる。
壮絶な試合だった。すごい試合だった。
負けはしたが、素晴らしい試合だった。選手の皆様、お疲れさん。
気持ちの整理はつかないだろうけど、結果はしょうがない。
この敗戦を、今後の人生に活かして欲しい。
JR北海道は、全国で頑張って欲しい。できれば優勝してほしい。
今後、北海道の社会人野球をリードしていく存在。
これからの更なる飛躍を期待します!
NTT北海道50年間、お疲れ様。そしてありがとう!
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