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平成18年07月09日  NTT北海道 vs JR北海道
        

すごい人数

死闘が始まる・・

野々村の本塁打で先制

もみくちゃの野々村

奮闘した森広投手

サヨナラの打球のはずが

安宅の負傷

JRおめでとう!
今日の一戦に、様々な応援団が集まった。
NTT野球部OBの計らいで、駒苫・東海大四・鵡川・旭川実業、
札幌第一、北海学園大学、札大・・・
どうも、どことは言わないけどだらしなく見える大学生が気になった。
野球人たるもの、普段の生活をしっかりしなければいけない。
高校生の方がきちんとしていて、余計に目立っていた。残念である。

野球関係者のみならず、全道からNTT社員も多数来ていた。
最後の戦いとあって、皆、その最後を見届けようと大集結!

昭和31年に、電電北海道野球部が創部。
昭和46年に、都市対抗全国大会に初めて駒を進める。

昭和52年、平成4年の2回、ベスト8に進出。
都市対抗全国大会に進出したのは、16回。
日本選手権全国大会に進出したのは、6回。

平成に入ってからのNTTは強かった(都市対抗)
平成元年・3・4・6・8・9・10・11・16と9回出場。
5強時代に凌ぎを削ったことを思い出す。三つ巴になることも多かった。
NTTは三つ巴になれば、まず勝っていた。乱戦に強かった。
都市対抗は、補強選手の活躍で勝敗が左右されることが多い。
NTTは第2代表での出場が多かったので、夢の補強はできなかった。
(第1代表が、最初に5名取ることができるルール)

北海道の社会人野球をリードしてきたNTT。
大昭和製紙・たくぎん・王子製紙・新日鉄室蘭、すべて無くなった。
(室蘭シャークスが、この中ではクラブチームとして残っている)
北海道の経済状況を物語っている相次ぐ休部・廃部。

本日行われる試合は、代表決定戦。二試合目にNTTとJRが激突。
その前の第一試合は、自衛隊と室蘭の試合。
途中から見ていたが、眉間にしわが寄る内容だった。
「全力疾走しない」「カバーリング甘い」「テンション低い」
消化試合ではあるが、野球は野球。
未来のない野球は見ている人を冷めさせる。
4番瀬川選手のゴロの時の走塁。考えられない凡走。
開いた口が塞がらない。

第一試合が終わる頃には、観客が多数来場してきた。
高校生・大学生の野球選手も入場してきた。NTT側のスタンドは満員。
NTTの応援団は、いつも北海道の中で応援賞をもらっている。
東京ドームでも、いつも相手に負けない応援をしていた。
その応援も、今日負ければ最後か・・・感慨深く応援を見つめる。

NTTの先発は森広。中2日での登板。
JRの先発は、この前までサンワードでエースだった神田投手。
JR打線は、1〜5番まで左打者を並べている。
そのJR相手に、森広・安宅バッテリーは工夫を重ね抑えていく。
5回までヒット「0」。
内外に投げ分けるチェンジアップが効いている。
130キロ後半のストレートだが、配球の妙で完璧に封じている。
真後ろでの観戦だったが、コントロールが抜群だった。
狙ったところに投げきれている様子。今日の森広は素晴らしい!

2回NTT、2死から後藤・安宅のヒットでチャンスをつかむが凡退。
4回NTT、先頭の山内が四球を選び、相手ミスもあり2死満塁。
サード失策の時に、2走が本塁に帰ってこれなかった。大きなミス。
普段から常に全力であれば、帰ってこれたタイミング。もったいなかった。
結局、相手ミスに付け入ることができずに、凡退。

先制したのは、NTT。5回裏に二死走者なしで3番野々村。
野々村といえば、一緒にプレーしてきたが、見逃し魔王。
インコースの厳しいコースに対して、腰引いて見逃すのが多かった。
しかし、ツボもその周辺にあって、甘くなった球は一発がある。
捕手の構えは、インコース。「よっしゃ甘くなれ」と念じていると・・・
わーお、本当に甘くなってきた。

「カキーン」

レフトに良い角度でふらふら上がった打球。ん、んん、んんん・・・
ギリギリに吸い込まれた。スタンドイン。先制の本塁打。
均衡が破れた。押し気味なのに得点できなかったNTT。ついに先制。
今日の森広なら「1点」で十分といったこれまでの投球内容。
しかし、都市対抗の代表決定戦。そんなにうまくいくわけがない。

5回終了時にグランド整備。これって本当に余計。
裏チームは気をつけないと、開始直後にマイナス方向に行きやすい。
試合開始直後の立ち上がりも難しいが、ひと試合に2回試合開始がある
みたいな感じ。細心の注意&大胆さが求められる。

6回JR、先頭の芝草が初球レフト前ヒット。初ヒット。
やっぱりって感じ。ここから好投してきた森広が変化してくる。
次打者にバントを決められ、9番島に今日初めての四球。
1番三家を三振で切り抜けるも、2番吉川の打球は1・2塁間。
ファースト山内が飛びついてはじく。外野に転々とする間に2走が生還。
あの打球、判断は難しいが、セカンドボールだった。
セカンドポジションの確認をしっかりしていれば任せられた打球。

6回NTT、1死から小林がポテンヒット。
後藤に送らせると思いきや強攻。結果的に進塁打になったが「?」
ここで神田から右腕西崎にスイッチ。
西崎は、140台のストレートと、ブーメランスライダーが武器。
スライダーの曲がり幅はものすごい。代わりっぱな安宅に四球。
9番広浜は、過去2打席チャンスで凡退。三回目のチャンス。
ここで、彼はスライダーを狙っていた。
スライダー狙い打ちでタイムリーとなり、NTT2−1と勝ち越す。

社会人はこの駆け引きがあるので面白い。ガチンコ勝負じゃなく、色々と
頭を使って、相手投手を攻略する。広浜ナイスバッティング。
その後、船尾の気迫のヒット。いや鬼迫というほうが当てはまる。
そのヒットで、2走の安宅が帰ってこれない。2死なのに・・・
これが痛かった。足の遅い安宅だったのもNTTとしては痛かった。

試合が動いてきた。こうなるとなかなか止まらない。
7回表、JRの攻撃。
1死から須藤がヒットで出塁。
次打者にカウント1−2でクイックで投げた。
あの場面、クイックは必要なかった。そのクイックが外れて1−3。
結局、四球で歩かせてしまった。2死までこぎつけたものの、8番岡田。
初球をライトに狙いすました右打ち。同点に追いつく。
すごい試合になってきた。維持と維持とのぶつかり合い。

7回NTT、先頭野々村が死球。大チャンス。
ん?四番山内強攻。ショートライナーダブルプレー。唖然・・・。
自分なら、打てのサインでもバントしていた。
投手戦を考えて、1点をもぎ取る野球を選択し、相手にプレッシャーを
与えることを最優先で考えれば・・・
バントの必要性を感じたシーンでもあった。勉強・勉強。

8回NTT、もっと大きなチャンスがやってきた。
先頭の後藤がレフトに鮮やかなヒット。待望の先頭打者が出た。
ここは送るでしょ。安宅がバント。でも小飛球となる。
この小飛球を西崎がダイビングキャッチ。はじいた!フェアー!!
相手がくれたチャンス。無死1・2塁の絶好のチャンス。
ここでNTTのシナリオは、広浜が送って船尾に回り、船尾は敬遠。
1死満塁で高橋。左の西尾が代打?そんなシナリオだろう。

無死1・2塁でJR守備陣は初球にシフトを引いてきた。広浜見送る。
ストライク。2球目打つ構えでボール。ん?100%バントだよ。
初球だけシフトを引いてプレッシャーを与える良くあるパターン。
バスターをやらせたらもうけもの。成功する確率は少ない。
1−2から低めの速球に、バットの芯を食ってしまい、サード封殺。

バント失敗!

大きなミス。ここで選択するのは、100%送り。余計な動きなど×。
バントなのか、バントエンドランなのかの二者選択のみ。
スタンドの大方の見方は、バントエンドラン。投手前にスクイズさせて
ランナーを走らせる。これしかなかった。
あとはどのカウントでやるかだけ。1−2のカウントは絶好だった。
う〜ん、投げている投手が速球派っていうのも結果に響いた。
バントの難易度は高かった。であれば、やっぱり・・・

1死1・2塁から、船尾選手が三振。
チップして地面へショートバウンドした球を捕球したのにアウト。
打者のアピールも虚しく、判定はファールにならなかった。
こういったところでミスジャッジ。NTTにとっては痛い判定だ。
つづく高橋は見逃し三振。動いても良かった場面か・・・。

う〜ん、相手のミスに付け入ることができなったNTT。
痛い、痛すぎる。流れ的に送れていれば得点できたに違いない。
1本のバントが、勝敗を分けた。

10回NTT、先頭の松田がファーストベースに当てるヒット。
ついていない。ベースに当たってなければ2塁までいけた。
次打者後藤の時に、バント失敗。捕手からセカンドに送球。封殺。
1死1塁に変わる。ここは100%送り。
エンドランをして外されてスチール失敗となる。

・・・

安宅死球。
その後に安宅がマウンドに詰め寄る。
NTTのフラストレーションが溜まっている。
それもそうだろうことごとく、チャンスを自分達で潰している。
四球で続き、2死1・2塁で船尾。誰もがサヨナラをイメージ。
船尾の打球は、レフトに低いライナー。サヨナラだ!

レフトの吉川がダイビングする。
スーパーキャッチ。なんと、ここでビックプレーが!
2走の安宅が三塁ベースを回ったところで倒れていた。
アキレス腱断裂?!即担架で退場となった。
勝利の女神は微笑まないのか・・・最後の最後に・・・泣

11回表JR、
捕手が松尾に変わり、先頭の沖津にレフトへ2塁打。
風が舞っていて、追い風、松田が取れなかった。
クルクル回って走った分、無理な体勢になり取れなかった。
4番の中野がレフトフェンスにワンバウンドで当てる2塁打で1点。
その後、森広から高谷・伊敷と継投で凌ぐが痛い失点。

11回裏、セカンドゴロ、見逃し三振、セカンドゴロで終戦。
何度も勝てるチャンスがあったのに勝利は手に入らなかった。
野球の怖さを改めて感じた試合だった。
どうしても、勝負には白黒の結果はつく。
NTTにとっては残酷な結果となった。号泣する選手。
ひとつの時代が幕を閉じた瞬間でもあった。

バントの大切さを、今日見に来た学生達は感じただろう。
野球とは、ホームベースという陣地を取りに行くゲーム。
ひとつひとつ確実に駒を進めることが、最終的に「一気」に繋がる。

壮絶な試合だった。すごい試合だった。
負けはしたが、素晴らしい試合だった。選手の皆様、お疲れさん。
気持ちの整理はつかないだろうけど、結果はしょうがない。
この敗戦を、今後の人生に活かして欲しい。

JR北海道は、全国で頑張って欲しい。できれば優勝してほしい。
今後、北海道の社会人野球をリードしていく存在。
これからの更なる飛躍を期待します!

NTT北海道50年間、お疲れ様。そしてありがとう!