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平成18年07月21日  駒大苫小牧高校 vs 北海道栄高校
        

熱戦!

力みのないフォーム

開かない左膝に速球の
大きなヒントが・・・
駒大苫小牧の二回戦。
北海道栄との対決。
以前、先攻後攻の話を観戦記にて記載したことがあるが、
駒苫が先攻というのをスタンドで見て違和感を感じた。

じゃんけんで勝てば、駒苫は後攻を取るだろう。
栄が後攻になる時には、栄が選択して後攻になったということ。
まず、ここで疑問が残る。
栄のプランは、どのような感じだったのだろうか?
互角とみれば、後攻を取るのが定石(その限りではないけど)
今の駒苫に勝とうと思えば、先取点が第一条件になる。
先取点ありきでの作戦じゃないと、今の駒苫には勝てないと思う。
それなのに、後攻・・・

駒苫先攻で始まり、今日の駒苫の先発は田中投手。
前回、ストレートの走りがイマイチだったけど本日に合わせて調整。
ただの速い投手じゃなく、修正能力がある投手。
高校生離れしている。

栄の先発は、予想外の久保投手。右スリーから投げる投手。
初回駒苫、先頭の岡川君が凡退したものの、三木君が死球。
中澤君がつなぎ、不動の4番本間君。
変化球をセンターにタイムリー。
本間君は、一昔前まで「変化球を投げていれば大丈夫」だった。
でも、今は、その変化球を簡単に打ち返す。
どちらかといえば、今は変化球をきっちり打ち返す。
ちょっと、彼の打撃に死角が見当たらない。
それもそのはず。「どの球種にも対応できる待ち方」になっている。
ここでは明記しないが、本間君の打席内での間合いを観察すれば、
玄人なら分かるはず・・・

本間君がタイムリーを打って、駒苫が勢いづく。
続く5番田中君が、お手本のような右中間への三塁打。
軟投派には、逆方向を徹底している駒苫。一挙三点をあげる。
ここで、駒苫を先攻にした「リスク」が一挙に噴出。

1回裏、栄は先頭の新城君が田中君の球をセンターに打ち返す。
二番が送れずに見送りの三振。その後、四球を珍しく出す。
しかし、後続をきっちり抑える。
田中投手の初回の腕の振りを見ると、今日はかなり球速が出そう。
初回、145、144を連発。変化球も切れている。

2回表、駒苫は山口君・小林君の連続四球でチャンスを掴む。
岡川君がきっちり送る。ここで栄は佐々木投手にスイッチ。
その佐々木君が、三木君に死球。三木君は連続死球。痛そう・・
後続が断たれて得点は出来なかったが、駒苫の流れになっている。

3回表、田中投手のエンジンがかかってきた。
左打者のインローに148キロ!低めで140後半は滅多にいない。
栄の打線はかわいそうなくらいだ。完全に指にかかった投球。
この回のアウトを全部三振でとる。手がつけられなくなってきた怪物。

3回裏、駒苫は、先頭の田中君が相手エラーで出塁。
その失策の間に二塁へ進む好走塁。
駒苫の強さの秘訣は、「走塁」。意外に投打に目が行くが、
シャッフル、ベース周り、様々な走塁がきっちりしている。
当たり前のことを素晴らしくやるのがあのチーム。

田中君をバントで送り、1死三塁。ここで三谷君が簡単に犠牲フライ。
4点目。今日の田中君を考えれば、セーフティリードだ。
栄の外野守備位置を見ると、浅く守っている。
最近の高校生の試合をみると、ちょっと浅すぎの感がある。
ある程度のレベルまでくると、守備位置は考えないといけない。
前に落とされる分にはしょうがないが、後ろを越えられるときつい。
今回の全道大会で気になることのひとつだ。

栄は、5回・6回と駒苫内野陣の乱れからチャンスを掴むが、
田中君が動じない。野手のミスは投手がカバーする。そんな駒苫。

試合が落ちつきかけた6回表。
二死から岡川君がヒットで出塁。
2番三木君が、難しい球を「スコーーーン」
円山のライトスタンドに突き刺さる2ラン本塁打。
公式戦初本塁打らしいが、素晴らしい当たりだった。
その後、3番中澤君が左中間に三塁打、四球・四球で満塁。
ここで今日久々の先発の渡辺君。
レフトに上がった打球をレフトに取られ2点どまり。
駒苫の勢いを感じさせるこの回の攻撃。強い・・・

8回コールドで7−0で駒苫。
田中君はヒット3本に抑える好投。
手持ちのスピードガンで、MAX148、アベレージで144を計測。
前の試合の腕の振りから、数日で修正してきた。
真後ろで見ていたが、捕手の小林君の好リードも目立った。
田中投手が「速いだけの投手」ならスキはあるだろう。
でも、速いだけじゃなく、コンビネーション・メンタルも一級品だ。

栄は、今春甲子園に出て良い経験をしてきたが、相手が悪かった。
新城君、京極君という好打者がいたが、ミスも目立った。
挟殺プレーで暴投を投げたり、思うようにプレーできなかった。

駒苫が追い込まれる展開はひとつしかない。
その展開に気づき、そうなるように他チームができるかどうか。
どうも対戦相手を見ていると「当たって砕けろ」に見える。
死角が見えない駒苫。今年も強い。夏は特に強い。
まだ小さなミスもあるが、1戦1戦進化するだろう。

円山球場は、予想通りに外野席を開放。1万人以上は入っている。
強いから見に来るというのもあると思うけど、観客を魅了するのは、
諦めない姿勢や、きびきびとした野球だろう。
技術的云々じゃなく、これはどこの学校にもできることである。

栄は近年、駒苫という大きな壁にぶつかって跳ね返されている。
でも、今の北海道を引っ張ってきているチームのひとつだ。
これからも切磋琢磨して、北海道のレベルを上げて欲しい!