選手、スタッフの疲れもかなり増してくる準決勝。
強力打線を誇る智弁が駒苫と激突する。智弁は、1年間駒苫との戦いを夢見て練習。
田中投手をイメージして、マシンで打ち込む。高速スライダー、速球、打撃上位のチームだ。
智弁の打線を見ると、一番の古宮君が起点になり、3番スラッガーの広井君、橋本の君が強力。
準々決勝にて、智弁は、歴史的大逆転を演じる。常識を逸した試合だった。
帝京は、機動力も兼ね備えた力のあるチーム。
最終回に「8点」を取り大逆転。しかし、智弁は諦めずに最終回裏に5点取り返してサヨナラ。
終盤の打線の集中力は、駒苫に対して大きなプレッシャーとなった。
「どんな打線?すごい強いチーム?」
的確な情報が頭にないと、様々な弊害を生む。
マスコミの過度な書き方や、作り上げたイメージは全く参考にならない。
かえって「どう排除するか」がポイントだ。今回も例外じゃない。
予想はついていた乱打戦。ここまでくると、投手のコントロールも当てにならないのが定石。
ならば、過去2年、終盤での乱打戦を制したように、得点を重ねるすべが肝心。
智弁は、同じタイプの投手が3名いる。球速も配球も球種も似ている投手陣。
駒苫先発は、二年生の菊地投手。予定通りの登板。
1回智弁。
古宮君の何でもないゴロを、駒苫野手陣が送球ミス。今日もミスからスタート。
バントで簡単に送られ、ホームラン打者の広井君を迎える。
結果は三振。駒苫の攻めは予定通り。菊地投手も素晴らしい球を投げた。
4番橋本君。甘い菊地君の緩い球を見逃さない。昨日の勢いをそのままにタイムリー。
リズムに乗れない菊地君は、連続四球で満塁とする。香田監督は、今回は英断が早い。
左打者の馬場君に対し、左腕岡田君を迷わずに投入。選手を信じて決断が早い。
その岡田君は、2死満塁のピンチをサードゴロで切り抜ける。
このサードゴロが大きな命運を分けることになる。
一気に行きたい智弁。先攻の特権の先制。しかも「強打の智弁」を駒苫に印象付けたいとこ。
田中投手以外の二枚投手に最少失点で切り抜けられた。
1回裏駒苫。
早くもエンジン点火。当たっている三谷君が、先発松隈君の外のストレートをとらえる。
バントで送り、2死から中澤君がライトに三塁打。この走塁が素晴らしかった。
勢いを付ける走塁。鷲谷君もショートに強襲。岡田君も続き、山口君が「ガツン」。
守備の汚名を晴らす打撃で、一挙4得点。蓄えが出来た3点出来た。4−1。
あっという間に、松隈投手から背番号1の竹中君にスイッチ。
しかし、田中君と対戦するために1年間頑張ってきた智弁。岡田君に襲い掛かる。
2回智弁。
竹中君がレフトにヒットで出塁。楠本君のバントが内野安打となり、カバーリングミスもあり
傷口を広げる駒苫。厳しい展開になってきた。怒涛の攻撃。昨日の流れが生きている。
古宮君が左中間に二塁打、2番上羽君に死球。
監督も投手を引っ張ったが、2点取られ、4−3になったところで、守護神登場。
ノーアウトのピンチを彼は、離れ業で切り抜ける。
無死1・2塁での一塁牽制。ドンピシャリ。中澤君とのコンビで何度も行っているプレー。
甲子園の場ではあるけど、特別なことでもない。打者に投げること以外で火消し成功。
何の迷いもなく、あのプレー。今大会一番のプレーだと感じる。
その後、田中投手は、疲労から抜けていない体にムチ打って、3番広井君、4番橋本君、
この2名をしっかり打ち取る。完璧な火消し。頼りになる存在だ。
3回駒苫。
乱打戦モードに突入。2死2塁から山口君が右手をねじ込んで右中間に二塁打。
テクニック的に、かなり高度なねじ込みで投球に負けなかった。素晴らしい!5−3駒苫。
4回智弁。
四球、バント、2死から4番橋本君が、田中投手の遅い球をライトにタイムリー。
5−4駒苫リード。この自らの失点で、田中君が点火。スイッチが入った。
その後の智弁打線を三振の山。天下の宝刀のスライダーが牙をむいた!
5回駒苫。
1死から本間君が痛烈な打球。相手のミスもあり、田中君に回る。
テレビでの観戦なので、選手の顔の表情が見てとれる。田中君に注目すると笑っている。
「余裕あるな。楽しんでるな」と思い、結果が出ると確信。案の定、タイムリー。
その後、相手ミスもあり、2点追加。7−4駒苫。
マウンドでは鬼の形相で、アウトを重ねる田中投手。
もうこんな投手、まじかで見ることはないだろう。それだけの逸材。球界の宝だ。
6回以降田中投手はこれといったピンチもなかった。
中盤に効果的にインコースを使い、後半、楽な投球への伏線もあった。GOOD。
8・9回の攻防を考えると、7回の攻撃は重要になってくる。
7回があっさりすると、風が相手に吹く可能性が高い。一人でもいいから走者に出たい。
結局、終盤は押し切り駒苫の勝利。
3年連続決勝に駒を進めた。3年連続だ。地方大会じゃなく、ここは甲子園。
この先、たぶんないであろう三年連続の決勝。選手が入れ替わっての高校野球。
駒大苫小牧の強さってどこにあるのだろう?!
これは、それぞれが想像し感じることだ。でも、何かあるからここまで来れる。
自分なりに答えはある。「○○、だから強い」って。それぞれに感じて欲しい。
高校野球は勝つことよりも、大切な何かを思い出させてくれる。
指導者の方々も、勝つだけじゃない。もっと大切なものがあるという。
駒苫は、今年、何を掴むのか?もう、この時点で大きな何を掴んでいるに違いない。
いい経験をしている。素晴らしい。感動だ。明日は楽しめば良い。
あの5万人の中でプレーできる幸せを感じて欲しい。
何だかんだいっても、4000校のうちの2校に残った。
来てしまった、ここまで。選手達のすごさ、駒苫のすごさ、香田監督のすごさを感じる。
明日は球場で勇姿を見届ける!
智弁和歌山 120100000 4
駒大苫小牧 40102000× 7
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