<最後の夏を迎える選手へ 〜2〜>
大会が近くなり、ほとんどの選手は「あせる」
「あと○日しかない」そう思い、目の前のことができなくなる。
野球は心のスポーツ。いかにして心の揺れを少なくするのかが大切。
打席に立って「大丈夫!俺は打てる!」
マウンドに立って「大丈夫!俺は抑えられる!」
守備位置で「大丈夫!俺は捕れる!」
試合当日に揺るぎない自信があるかどうかで勝敗は決まる。
心の動きがダイレクトにプレーに出てしまうのが野球。
それまでの練習を適当にやってきた選手は、心のどこかで不安が残る。
試合当日までに2つの意識を消さないといけない。
まず選手の心の中に絶対にあってはいけないのは「不安」
不安があれば、大事なところで心が揺れて自分のプレーができなくなる。
あと数日。やることはあるのか。できることはあるのか。
選手としては「不安」を取り除くことをしなくてはいけない。
バントに不安のある打者は、個人練習でその不安を解消する。
牽制に不安のある投手は、個人練習で解消する。
それぞれの課題に対して正面から向き合い、時間を費やす。
「不安に対しての対策は練った」
これだけで当日の自信につながる。
目の前の課題を、具体的目安を持って取り組むことが今やるべきこと。
飛躍的技術向上はないにしても、飛躍的心の向上はできる。
次に選手の心から取り除かないといけないのは「不満」
指導者や仲間に不満があれば、チームの輪が壊れうまくいかなくなる。
不満についていえば、指導者の悪口やマイナスの思いは、自分の弱さ。
自分がうまくいかないのは、自分の責任と思えない選手は弱い。
負の原因を、周囲の人間や環境のせいにして逃げる考え方。
そんなやつに本当の強さは芽生えない。
いかに自分に厳しく、自分に妥協なく、自分を高めていけるかである。
不満を持っている選手。
よく考えてみよう。指導者の方々が休日を投げ打って君へ時間を割いてる。
自分の人生の時間を、他に費やしたいところ、君の野球人生に使っている。
子供や奥さんへの楽しい時間を、君の人間育成に使ってくれている事実。
どんなに厳しい声をかけられても、すべては君のため。
今、それを「ありがたい」と思えるかどうか。
思えるかどうかによって。君の今後の人生を大きく変えていく。
感謝の気持ちの薄い選手は、どんなに技術が秀でても悲しい野球人生。
感謝なき選手のプレーを見ても、周囲は感動しない。
ひとつ大会までに心にはっきり持っておくことは・・・
「感謝の心」「ありがとうの心」
大会が近づけば近づくほど、大きくしていかないといけない。
実際に感謝の気持ちを持っているだけではいけない。
表現しなければ、行動しなければ、思っていないことと一緒。
君は、お世話をしてくれた人に、何を行動するだろうか。
支えてくれた指導者、支えてくれた両親、支えてくれた仲間に対して。
言葉で表すのか、行動で伝えるのか。
結果で伝えるのは×。試合前に何かしなくてはいけない。
自分の胸に手を当てて、頭を悩まして考えて欲しい。何をするのかを。
心の支えが最後に自分の背中を押してくれる。
ピンチの時、絶体絶命の時、心の支えを思い出し力をもらおう。
自分だけのためにやる野球は面白くない。
自分以外のためにやる野球は、喜びは2倍になる。
野球はあくまでも「人を良くする道具」に過ぎない。
現役としてやっている時は分からない感覚。終わってみて気づく。
しかし、やっている時に気づくごく一部の選手は凄いことになる。
周囲に対する言葉や行動が大きく変わってくる。
大人への階段を、三段跳び、五段跳びで駆け上がることになる。
もうひとつ。
最後の夏に向けて「思い」の再確認をすると良いだろう。
何のために、野球を続けてきたのか。何を目標にしてきたのか。
同じ力量のチームなら最後の決め手は「思い」が強いほうが勝つ。
相手が強くても、思いが凄ければ勝つことも可能である。
「野球は素質じゃなく、思いで決まる!」
自分たちのやってきたことを思い出し、挨拶をしっかりやってきたこと
道具を大切にしてきたこと、感謝の気持ちでやってきたこと、
エリート相手でも、勝っていることはあるはずだ。
自分に自信を持ち、不安を取り除き、感謝の気持ちを持って臨もう。
野球で大成する選手は、「素直な負けず嫌い」な選手である。
負けず嫌いは多いが、これだけではそこそこで終わる。
野球を極めていくには「素直」でなくてはいけない。
周囲の言葉に耳を傾けられる選手は伸びる。
叱咤激励を素直に受け止められる選手は伸びる。
失敗を素直に認め、努力していける選手は伸びる。
最後の夏に向けて、心を一度整理して、心穏やかに臨んで欲しい!
2008年夏 エントモ作
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