フルオラスシリカゲルに固定化したナノパラジウム触媒

Caiらは下図に示すような新しいフルオラスナノパラジウム触媒を合成し、これが鈴木−宮浦反応のよい触媒であることを示しました。また、この触媒はフルオラス液ー液分離で回収され、触媒活性が低下することなく3回まで再使用できることも明らかにしています。残念ながらこの文献は入手しておらず、アブストラクトを読んだだけなので詳細を見てみないとわかりませんが、この触媒がフルオラス液−液抽出で回収できることに驚きました。
An Efficient and Recyclable Fluorous Palladium Catalyst for the Room-Temperature Suzuki Reaction, Wan, L.; Cai, C. Catalysis. Lett. 2011, 141, 839-843.

Pasted Graphic 5

最近、Caiらは、このフルオラスナノパラジウム触媒をフルオラスシリカゲル上に固定化し、これを用いた鈴木−宮浦反応についても検討を行っています。反応溶媒が重要で、最終的にメタノール−水(2:1)中で反応は円滑に進行し、収率良くカップリング成績体を得ています。また、ろ過によって回収された触媒は活性が低下することなく5回の再使用が可能です。さらに生成物に含まれるPdの量が非常に低いこと(0.8 ppm以下)も確認しています。反応温度が80℃ですが、この溶媒系ですからフルオラスシリカゲルから触媒がリリースして反応しているということはなさそうですね。
Perfluoro-tagged nano-palladium catalyst immobilized on fluorous silica gel: Application in the Suzuki–Miyaura reaction, Wan, L.; Cai, C. Catalysis Commun. 2012, 20, 105-108.