回収・再使用ができる不斉有機触媒

FuらはO-ベンゾイルスレオニンを触媒とする水中での不斉アルドール反応を検討しています。触媒量は1 mol%、ラージスケール(400 mmol)での検討も行っています。収率、ジアステレオ選択性、アンチ体の鏡像隊過剰率は良好です。反応後、塩酸を加えてからエーテル抽出によって生成物を取り出し、水層にトリエチルアミンを加えると触媒が結晶として析出するそうで、これを吸引ろ別し、精製することなく同じ反応を繰り返して行っています。触媒活性が低下することなく6回も回収・再使用が可能だそうです。実験の部を見てみると、触媒を100gも合成しています。ラージスケールの実験はケトンと芳香族アルデヒド、それぞれ400 mmolですから生成物は53-101 gにもなるのですが、フラッシュカラムクロマトで精製です。回収・再使用の実験も1 mol%の触媒を結晶として回収するということもあり、200 mmolスケールです。実験のスケールに圧倒されました。どうでもいいことですが、「Daicel」が「Dicael」になっています。

Pasted Graphic 4

Simple and inexpensive threonine-based organocatalysts as highly active and recoverable catalysts for large-scale asymmetric direct stoichiometric aldol reactions on water, Wu, C.; Long, X.; Li, S.; Fu, X. Tetrahedron : Asymmetry 2012, 23, 315-328.