新しいフルオラス保護基の開発

 多くの官能基を有する複雑な天然物を化学的に合成するには官能基の反応性を抑えるための保護基が必須であり、これまでに膨大な数の保護基が開発されている。最近、パーフルオロアルキル基を導入したフルオラス保護基が保護基としての役割の他、フェイズタグとして機能して、フルオラス液ー液抽出やフルオラス固相抽出などのフルオラス分離法でフルオラス保護体とそれ以外の化合物を簡単に分離できることが示された。したがって、フルオラス保護基を利用すれば、フルオラス分離法で生成物を単離することができ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの精製段階を大幅に省略でき、簡便かつ迅速に目的化合物を得ることができる(フルオラスタグ法)。アミノ基や水酸基の汎用的な保護基のフルオラス版が報告されており、それらのうちのいくつかは市販されるようになった。しかしながら、多官能性の化合物を合成するためにはあらゆる条件下で安定で、特殊な条件で簡単にはずすことができるようなフルオラス保護基も必要であると考えた。つまり、強敵に立ち向かうには武器は多い方がよいという考えのもと、新しいフルオラス保護基の開発を行っている。


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