(資料)                                            2004年8月10日

                                            中小企業診断士 江塚 修

                  中国上海報告

 ある商工団体の中国投資視察団の一員として上海地区(周辺都市)を訪問した際の視察報告です。

1.リニアモーターカー登場
                    ・・・急成長する上海

4月開業のリニアモーター鉄道 (上海市街から空港までの約30キロ)に乗車した。
実用運転として時速420キロ、僅か数分で空港に到着する。西独技術の導入とはいえ、我国が山梨県で実験段階を長く続けているのと大違いである。

実際に上海を訪問して驚くのは、その変化の早さである。3年前のオフィス街や市街地風景が様変わりしている。
中国全体の成長率は約9%であるが、上海地区は12%と大きく上回っておりかつての「日本列島改造計画」の日本以上の活気である。

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2.空前の建築ブーム・・・不動産価格の急上昇で数千万円住宅も出現

社会主義の中国では、「土地使用権」という形で不動産売買が実施されている。土地は、国家所有のため 宅地開発や市街地再開発、工場用地確保などは国家主導によりハイスピードで進み、また自治体も使用権の販売により建設費用を容易く調達している。
上海でのビジネスが脚光を浴びているため、不動産需要は大きく増加。市街地の建築ブームにもかかわらず、供給が需要に追いつかない状態。マンションでも一戸建てでも上海では周辺都市の数倍の価格に高騰しており、数千万円の高級住宅も増加している。なお、平均的な上海の住宅価格は50坪で1000万円、周辺都市の4〜5百万円の2倍強である。

3.欧米ブランド、日本ブランドが大人気

上海では、資本主義的ビジネスが興隆し、会社経営に成功した30〜40代の富裕層が目立っている。経営者の消費生活は日本の経営者以上に豊かのようである。この富裕層の家族が中心となり世界の高級品を求め、欧米、日本の有名ブランドを競って購入している。
自動車、家電製品、化粧品などは世界の一流品が一番の売れ筋である。例えば、自動車はGM、VW、化粧品は、ロレアル、資生堂が圧倒的な人気であり、トイレ用品ではTOTOウオッシュレットの人気が高い。

4.企業の中国進出も、「将来の大市場」の観点に変化

 日本企業、欧米企業の中国投資スタンスにも変化の兆しがある。従来は低廉な労務コストを活用した「生産基地」としての中国進出であったが、現在は消費者需要の将来的な大市場を想定した「消費市場戦略」としての進出である。
 13億人とも言われる中国市場の潜在力と現在の成長力は、世界企業としては大きな魅力であり今後の中国進出は、生産基地としての位置づけとともに将来的な大市場への備えとしての進出が増加していくと思われる。