プライバシーの話

 ここ、総務課に勤めるようになってから、プライバシーの問題についてものすごく慎重になりました。今までだって、自分ではかなり慎重にやってきたつもりだったのですけれど。でも、この前、職員さんに指摘されて、かなり反省しました。でも、いっていただいてよかったと思ってます。以後、二度と繰り返さないように気をつけることができますから。

 特定局の窓口で扱うもの、貯金であったり保険であったり、郵便であったり、それぞれのお客さまに関する個人情報など、触れる機会も多かったから。通信の秘密もあるし、業務上知りえた秘密は、守秘義務もある。当然のこととして扱ってきたつもりだったし。

 でも、甘かったのかなって思う。総務課に所属するようになって、そして、給与事務をおこなうようになってから、もっとずっとずっと慎重になったけど、神経質なぐらいに。でも、もっと注意を払うべきでした。

給与事務は、人事に関する情報から、給与に関することなどいろんな個人情報を基本として給与に反映させていくことが仕事だから。総務課で働き、人事・労務・共済・給与、これらの仕事をおこなうということは、好むこのまざるに関わらず、職員さんの生活に直接関わり、いろんな個人のプライバシーをあつかうことになるんです。

私は、給与事務を仕事として与えられ、自分の課を含めた局員全員の給与から家族構成から、年収、扶養状況、家の所在地、通勤経路、経験年数、採用日など、いろんな情報を管理することになりました。こういった情報は手当を計算し支給する上で絶対必要なものなので。

だから、いろんな情報が自分のところに集まってくるんです。結婚すれば、手当をもらうために手続するでしょう?
いろんな情報を持つということは、その管理に慎重にならなければいけない分、非常に神経を使います。他の職員さんとする会話の中で、言葉ひとつ、発言一つ、業務上知りえた秘密は漏らしてはならないのですから。特に、それが人事や給与に関わることならなおさらです。課は違っても毎日同じ局へ出勤しているわけですから、仲の良い人もいます。でも、そんな人から、

だれだれさんは、結婚してるの??

って聞かれたとしても、仲が良いのと、こういった情報を漏らすのとはまったくの別物です。当たり前のことですよね。この質問は、実は、いろんな課の方から、よく受けるんです。でもお願いです。私に聞かないで。私が、言うのと、他の課の誰かが言うのとでは、全然違うんですよ。

私は、その方が結婚してるかしてないかも業務上当然知ってます。年収がいくらで、いつの採用で、何年うちの局にいて、給与に響くような処分とかあるとか、優席者表彰を何べん受けてるとか、そんなことも、知ってたりする場合もあるわけです。仕事上ね。

だから聞かれたとしても、絶対に答えません。結婚しているのかも、いないのかも。それが、他課のどんなに偉い人から聞かれても、仕事上必要で聞かれるのとは違うのでしたら、教えることはできません。それが、プライバシーを守ることだと思ってましたし、こういった事務を扱うものとしての当然のことだと思ってました。

給与を精算計算するための、算出過程調書だとかいろんな個人名の書かれたものを捨てるときは、機密文書の廃棄に載せるか、まったくわからないぐらいまで細かくできるシュレッダーにかけるなど、自分としては細心の注意を払ってきたつもりでした。

ところが、まだまだ注意が足りなかったなっていう一件があり、ちと落ち込んでおります。私の配慮が足りなかったなと。

ある日、財形貯蓄の解約をしたいといって来た方がいました。
いろんな書類を書いてもらわなきゃいけなかったりとか、そんなことを説明してたの。その人は、総務課に自分の仕事が始まる前に来てくれたんだけど、ぎりぎりの時間だったから、説明途中で、勤務開始時間が迫ってきてしまい、私は、後で書き方の説明書を作って渡しに行きますといったんです。でね、説明書を作って渡しに行ったの。でも、本人は、いなくて、同僚の方に渡してしまったのです。この書類には、個人に関する情報とか一切入ってないただの解約手続の記した紙だったんですね。だから、封筒に入れることなく、渡してしまったわけです。で、その方が翌日、手続にこられたとき、おっしゃったんです。『こういうのは、次回から封筒に入れて渡してください』と。はっとしました。そうか。解約するということを自分だったら他人に知られたくはない、と。その方には『申し訳ありません、私の配慮が足りませんでした。(>_<)』と、謝罪して、次回から気をつけますということで幸いにも許していただけました。

自分がされたら、いやだと思うこと、してはいけませんよね。個人情報に対してもそうですが、もっともっと慎重にならないと。
当たり前に、守らなければいけないこと、もう一回見直すことができたことはよかったかもしれません。これからは、もっともっと注意しなくてはいけないなと、肝に銘じた一件でした。
(2003.2.22UP)


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