窓口で出逢った客さま
窓口には、いろーんなお客さまがお見えになりますが、たいていの方は、ホントに普通の方です。ですが。。。。。。必ず来るんですよ、変な&ちょっと困る&対応に苦笑いしてしまうようなお客さまが。。。。ねえ、窓口に出てるあなたへ質問。一度も変な客にぶつかった(対応した)ことないって言える?ここでは、出逢ったお客さまのことや、友達から聞いた変わったお客さまのことをご紹介していこうと思います。取り扱い等に関しては、守秘義務がありますので、かけませんけれど。なので、かなり手を加えたりしてる部分もあります。



悲しい出来事(2003.1.12)
あのぅ、桁が一桁違うんですけど。。。。。(2003.1.2)
なんなの!もう。(2002.9.10)

《更新随時》





















なんなの!もう。(2002.9.10)


ある日、普通にいつもどおりに、窓口に座っておりました。その日の私の担務(役割)は、郵便の切手箱をもって商品をお客さまに販売することがメインでした。要するに、切手箱を持っていつもどおり売ってたわけです。
『切手ですね。おいくらのものが必要ですか?かしこまりました。○○円になります。』
とまあ、こんな感じで。お昼の大混雑も過ぎ、ちょうど一段楽した3時前、そのお客さまは来局されました。40代後半と思しきその男性は、おっしゃいました。
『○円のシート見せてくれる?』
言われるままに見せる私。ほんとは、そのまま持っていかれると怖いから、渡したくはないんだけどしょうがない。
『他の見せて。』
窓口には、そのシートしか出してなかったから、その旨を伝える。そしたら
『後ろの在庫出してきてよ』
という。
変な客、、、っと思いながらも、しょうがなく、窓口には出していないほうの在庫を借りてきてみせた。
その客は、その切手シートをじーーーーっと眺めた上で。こういった。
『目打ちの部分がこれじゃないんだよな〜、僕が欲しいのは。やっぱりいいです』
そういって帰っていった。
私は『????』だった。なんなんだ?目打ちの穴をすかしてみて、これじゃないってどういうこと?世の中には、いろんなマニアの人がいるけど、私には郵趣家のことは理解できない。窓口の人にとってある意味、『敵』だもの。最初は暇だったけど、気がつくと後ろには、結構人が並んでいた。そのとき窓口はかなり混雑していたのだった。冷やかしたかっただけなの?忙しいときに来ないでよね。


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あのぅ、桁が一桁違うんですけど。。。。。(2003.1.2)


当時の取扱を基に書いていますので、細かい部分、今の取り扱いとは異なるかもしれません。

ある日、普通にいつもどおりに、窓口に座っておりました。その日の私の担務(役割)は、貯金と保険の窓口でお客さまの対応をすることがメインでした。要するに、お通帳の入出金処理だとか振込みの対応ですね。で、いつもどおり笑顔でお客さまの対応をしてたわけです。
『お引き出しですね。それではこちらの用紙にご記入いただけますか?ご記入ありがとうございます。こちらのお通帳からのお引き出しでございますね。かしこまりました。それでは、おかけになってお待ちください。』
とまあ、こんな感じで。

お昼の大混雑も過ぎ、ちょうど一段楽した3時前、そのお客さまは来局されました。そのお客さまは、いわゆる常連さんに当たる方で、詳しくは存じ上げませんけれど、近所の病院に入院していらっしゃる方のようで、ここ数ヶ月、1週間に1度は来局される方。目が、白内障なのかよく見えないらしく、お年を召していらっしゃるので、御耳も多少聞こえがよろしくなくて。。。

いつもものすごく時間を必要とするおじいちゃまだったのです。なぜか、そのおじいちゃまの担当は、常に私でありました。

(-_-;)・・・で、先輩たちも、そのお客さまがいらっしゃると、『おい、フェイ君、君のお客さん来たよ(笑)』などというので、まあ、いつも私が対応していたわけです。『豹ちゃん(仮名)』これが、私たちが彼につけた影の呼び名でした。

いつも豹ちゃんは、払戻取扱票と金種内訳のメモをお持ちくださるので、そのメモどおりにお金を取り揃え、お渡しするようにしておりました。番号札が豹ちゃんの番になり、いつもどおり私の窓口で応対がはじまりました。

豹ちゃんは、窓口でなにやら一生懸命に書き物をしています。書き終わると、

私:『こんにちは、今日は、どのようなご用事しょうか?』
豹:『これをおねがいします』

通常の払戻処理票といつもの金種表のメモです。

私:『払戻でございますね。この伝票のとおりご用意すればよろしいのですね。かしこまりました。ん???』

〈払戻取扱票記入額〉
  ¥20,000.

〈メモの内容〉
  ¥10,000×○枚
  ¥ 5,000×○枚
  ¥ 1,000×○枚

・・・・あのぅ。。。。。メモの合計金額、20万円なんですけどぉおおお!!!!!(-_-;)


私:『恐れ入りますが、払戻金額は2万円でよろしいのでしょうか?こちらのメモを拝見すると、20万円なのですが。。。』
豹:『20万です』
私:『それでは、申し訳ありませんが、ご記入いただいている払戻金額が2万円ですので、金額の訂正と訂正印をいただきたいのですが。。。。』


・・・・・(>_<)ここまでの会話が成立するまで、5分ほどの時間を要しています。(>_<)・・・・・


豹ちゃんは、手が震えるらしく字を書くのがものすごく大変なのです。大変だなぁと思いつつ。
ふぅ。ちょっと、これだけで、お疲れモードな私。

午前中のとんでもない忙しさから開放されて、やっと、お客さまの数も減り、待ち人数が0人、落ち着ける時間なのに、またしても、ババをひいてしまったかあと、自分の不運を嘆きつつ、ふと、豹ちゃんの手元、お客さま側のカウンターをみると。。。。あきらかに豹ちゃんの字で(手が震えるらしくミミズののたくったような字でおぼつかない手で書かれたちょっと読みにくい文字を目にしたのです。それは、『0』。豹ちゃんは、確かに20万と記入していたのです。ただ。。。。。ちょっとずれてしまっていただけで。。。。。(ToT)/~~~

ああそうか!私は、思わず納得し、

『○○さま、確かに払戻額は、20万でよろしいのでしたよね。』
『はい。』
『そうしましたら、今、確かに確認させていただきましたので、代書という形でお取り扱いさせていただきます。記入に関しましてはそのままで結構でございます。それでは、お手続いたしますので、おかけになってお待ちください』

無事、出金処理を終え、お金のお支払いを済ませ、豹ちゃんは、お帰りになられました。この間、30分。ふと時計を見ると3時はとっくに超え、時刻は3時20分を指しておりました。

普通なら、5分もかからないはずの取り扱いです。。。。。

郵便局にいると、こんなのしょっちゅうです。(-_-;)

豹ちゃんは、その後、1〜2回、当局をご利用いただいた後、すっかり姿を見せなくなってしまいました。ある先輩など、もしかしたら、病気で、だめだったのかもね、などど無責任な発言をしておりましたが、私は、なぜか、とても気になっておりました。とても印象に残るおじいちゃまだったからです。

豹ちゃんはずっと姿を現さず、1年後のある日、突如現れました。いつも、窓口でお見かけしていた姿は上下とも、くたくたのジャージ姿だったのに、今日は、きっちりと頭をなでつけ、ピシッとしたスーツ姿で。驚くと同時に、生きてたんだぁ、よかったぁ!と思ったものでした。


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悲しい出来事。
(2003.1.12)

これは、もうずっと前、出逢ったできごとです。当時の取扱を基に書いていますので、細かい部分、今の取り扱いとは異なるかもしれません。

あるとき、いつものように郵便の窓口を担当していました。ちょっと疲れた感じの女性が見えられて、『ちょっと、保険のことで相談したいことがあるんですが』と、おっしゃいます。

そのとき、貯金保険の窓口は、金曜日の午後ってこともあり、番号札は20人待ち以上。う〜ん。用意するものの説明だけならできるけど、処理に関わると番号札取ってもらわないといけないな。。。そんなことを思いつつ。

『どういったご相談ですか?』
お客さま『保険を解約したいんです』

(ToT)/~~~。すとっぷ・ざ・かいやく!です。とめにかからねばなりません。

『恐れ入りますが、何かご事情でも?』
お客さま:『ええ、これが届いたので』

お客さまが封書を手におっしゃいます。これってなんだ?

『拝見させていただいてもよろしいでしょうか?』
お客さま:『ええ』

ふむふむ。なになに?あ、解約じゃなくて、失効ね。ん?10年満期の養老保険じゃない。うわ。もったいない。これは、今同じ条件のものに入ったら、すごい高いやつ。。。。復活申し込みとかしないのかなぁ?ま、聞いてみるか。

(※養老保険=期限が決まっていて、期間が終わると保険が終了するタイプ。満期保険金が受け取れる。貯蓄性がかなり高い。その昔は、満期保険金が100万ものに入るのに90万ちょっとで入れた時代もあった。多くのお客さまが貯金代わりに利用していたことで有名。今は、そんな時代ではないんだけどね。)
(※失効=保険料の払い込みが3ヶ月滞ると保険の効力を失う。ただし、細かい日付の計算があるので詳しくは、現役の方にお尋ねください。)
(※復活=失効後、被保険者の健康に問題がなければ、新規と同じような方法で申し込みをし、当時の契約を保険料などもそのままに復活させることができる制度。期間は、失効後1年。ただし、細かい日付の計算があるので詳しくは、現役の方にお尋ねください。)
↑以上は、あくまでも当時の状況です。今は違うかもしれません。


『お客さま、通知書をみますと、こちらの契約は失効ですね。何か事情でもおありですか?養老タイプで、もうあと数年で満期ですから、今、失効還付金をお受け取りになって、保険を完全に終了させてしまうよりも、保険が失効してから1年たっておりませんので、復活申し込みといって以前の状態をもう一度復活させるお申し込みをしてみてはいかがでしょうか?』

実はこのとき、心の中で、少しの葛藤がありました。もし、私が募集手当に固執していれば、その方へ新規に入ることを進めていたでしょう。復活申し込みは、処理がややこしい上に、取扱者の給与上でも、なんのメリットもないのですから。でも、養老タイプで、あと数年で満期の保険。復活できるものならば、させてあげなければ、かわいそうだ。

お客さま:『そんなこともできるんですか?』
『ええ。被保険者様が、ご健康であることと、復活までの保険料を復活申し込み時に、一括もしくは2か月分ずつお支払いいただければできますよ。』
お客さま:『実は。。。。』

そのお客さまは、静かに話し始めました。引越しをしたばかりで、ばたばたしているところに、契約者様である夫が、癌で倒れ最近入院したこと、いまだ入院中だということ、リストラされたことなどを。リストラという耳慣れない言葉が盛んにマスコミでも多用され、私たちもその意味を少しずつ理解しはじめていたころ・・・不況の風が少しずつ強くなってきた、そんな時期でした。そして、この段階で、復活の望みがなくなりました。でも、入院した日が失効よりも前だったら特約保険料はもらえる可能性があるじゃない

『今のお話を伺うと、申し訳ありませんが、復活できる可能性は薄いですね。ですが、ご主人の入院された日付が、もし、この保険の失効よりも前にのものであれば、入院保険金支払いの対象になる可能性がございますので、いつ入院なさったか、また、何日入院なさったのか詳しくお聞かせ願えますか?』

今ここでは、詳しくわからないということでした。
お客さまへ失効保険金の受け取りに関わる書類一式の説明をし、入院日については、詳しく調べてきてくれるようにお願いをしました。

数日後

私を訪ねて、来局されました。
お客さまがお持ちになった資料とこちらでプリントアウトした契約内容調査票を詳しく調べていきます。

残念ながら・・・・失効日の3日後に、入院の初日がありました。

貯蓄としてかけてきた保険が失効してしまったことにより戻ってくる還付金は、相当少ないです。
また、いくつもの不幸な事例が重なったことにより、相当の心労をその方は受けられたことでしょう。
頼りにしていた保険が失効のために保険金ももらえない。
そして、当然復活申し込みもできない。

あまりの重なり具合に、私は、ひどくつらい気持ちになりました。
なんとかしてあげたいけれど、私にはどうすることもできないのです。

保険は、人の生死を生業とする仕事です。
こういう事例にぶつかることが多い。
そのたびに、思うのです。

人の生き死にに関わる仕事はしたくないな、と。
あまりにもつらすぎます。(2003.1.12)

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《更新随時》