空を仰ぐ。


 目の前に広がる、青い世界。

 透き通るような、果てしない世界。


 そんな空に、一筋の白い線。

 銀色に輝く、白い竜。


 あれは、大切な人のもう一つの姿。


 空に、両手を大きく伸ばして。

 その人の、名を呼ぶ。


 「ハク―――――――――!!」 


 すると、その竜は糸を切ったように身を翻して。

 千尋のもとへと、降りてくる。


 真っ直ぐと。

 迷うことなく。


 そっと、頬をよせて。

 暖かな、体温を感じて。

 微笑む。


 そんな、私の大切な竜。


 大切な、ひと。