星の記憶


 夜の闇広がる、星の湖。

 星の子が、キラキラと流れ星となって落ちてくる。


 そんな中。

 僕は、カルシファーと契約を結んだんだ。


 この契約の解き方なんて分からない。

 いつまで、自分の心を無くしたままなのかも分からない。


 そして、この先自分がどうなってしまうのかも分からなくて。


 戸惑い。

 不安。

 色々あるけれど。


 そんなとき、僕の耳に確かに聞こえた言葉があったんだ。


 『ハウル!カルシファー!』


 確かに呼ばれた、僕の名前。

 その声は、次第に遠ざかっていって。


 『私はソフィー』


 振り向くと、そこには空間に消えかけた一人の少女がいた。

 ふわり、と銀髪の髪を揺らす。


 『待ってて、私きっといくから』


 そして、その少女は一つの約束を残していったんだ。

 まるで、僕のことを知っていたかのように。


 『未来で、待ってて』


 まるで、僕の未来を知っているかのように。






 気がつけば、目の前にすでに少女の姿はなくて。

 空から降っていた星の子も、姿を隠し。


 シンと静まる夜の湖。


 「……………」


 まるで空をつかむような約束だけど。

 僕の中で、何かが弾けたような気がしたんだ。


 そして。

 もう失ったはずの心が、小さく脈打ったような気がしたんだ。 


 あてもない、約束だけど。 

 信じてみようと思う。


 待ってみようと思う。


 あの、少女の言葉を。


 星色の髪をした――――――ソフィーという少女のことを。