ARARA - 21-84
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雲景のあららARARA
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あららARARA Web劇場ー名前の検索
いけばなが外国人からも愛されるのは、雲景の望むところだ。
美術として世界中に伝播してほしいと願っている。
外国人のいけばな人口が増えれば、文化の価値観や生活習慣の違いなどから、いろいろな
問題が発生するのは目にみえている。そのときに日本の伝統に支えられたいけばなの理念が、
どのように通用するのかが新しい課題になる。
いけばなは、形だけの装飾ではない。単なる造形美術にとどまることもない。
「自然の命」 と結びついた精神が尊ばれてこそ、いけばなの存在が発揮される。
伝統に磨きこまれた美は、現代にいきる人々の精神や息を注ぎ込んで、はじめて継承したことに
なるから、伝統文化とは古くさい文化をさすのではない。未来にむかって生きている。
世界のいけばな界を牽引するのは日本人であるという自覚を今から備えておく必要がありそうだ。
日本人よ!
ぼやぼやしていてはいけない!
国技である相撲界や日本の柔道界などは、外国人の参入によって日本人の影が薄くなっている。
いけばなもそうなっていいのだろうか。
それが国際的になったと喜ぶべきことなのだろうか。
将来において、いつの日か、外国人が家元を名乗って流派をたてる時代がやってくるかもしれない。
いけばなが国際的になればなるほど、日本のいけばな界は新たな試練の時を迎えるでしょう。
仏教や神道も、アニミズムも無縁の外国人は大勢いる。
日本の存在が、世界のいけばな界の要としていつまでも栄えることを願うばかりである。
2011年7月22日 再び、U田川り翁先生の勉強会の晩だ。
U先生の講師としてのパートは10月までつづく。
連絡係りから前もって届いた花材説明の7月12日の全員配信のメールには、SS流の家元の
名前もU田川り翁の名前も含まれている。
○澤さんの退会をのぞむ雲景のお願いは無視されているのだから、宛先に○澤さんの名前が
あるのは連絡係りの個人の意思ではなさそうだ。
雲景のこころは見たくもない名前をパソコンの画面のなかに見せられて胃がチクチクする。
8月になって、SS流の家元は勉強会を休んだ。珍しいことである。
自分の流派が犯している過ちの大きさにやっと気がついたのでしょうか。
雲景の前にも、U先生の前にも、顔をだせないのが当然だ。
懇親会も終わって帰りの山の手線の中で、U家元と一駅区間二人きりになった。
「○澤さんからなにか連絡がありましたか?」
「直接にはない。本人からではないけれども、ほかの人からあった。
相当に弱っているらしい、と聞いている。あなたはどうですか?」
「Webの世界の問題もあるけれども、いけばなの世界もきちんとしたほうが良いとおもいます」
U家元は頷いた。
電車は減速しながら新宿駅にすべりこんでいた。
今晩は花金だ。車窓のそとには終電にならないうちに帰宅しようとする金曜日の晩の人々で
プラットホームは賑わっていた。
「今度、はなしましょう」
硬い表情をうかべて言ってからU家元は急いでおりた。
他の人から連絡があったとは、采配人の Ka しかいないでしょう。
それも不思議な話だ。加害者側の○澤さんに同情的な報告をしている。
今まで思い出しては、何度も打ち消してきた采配人の言葉が色濃くよみがえってきた。
続く(編集未完)
いけばな界やWeb界に、善き栄あれ。