11月30日に、高校時代の同窓生の紹介により、三条エコノミークラブのグループ勉強会で「財務のABC」という内容で講師をさせていただきました。
勉強会では、貸借対照表・損益計算書等の構成や役割とTKCの税理士事務所向けの出版物にあった「貸借対照表の構成パターンによる判断」の部分を使って説明させていただきましたが、最後に、余談として限界利益と変動損益計算書のお話をさせていただいたのですが、終わった後の懇親会での会話で、限界利益という言葉は聞いたことがあるが、「変動損益計算書」という言葉はあまり聞いたことがないとのことでした。
そこで、今回は「変動損益計算書」の簡単な説明をさせていただきます。
− 変動損益計算書 −
変動損益計算書とは、
すべての費用を、売上に伴って増減するかどうかで
「変動費」と「固定費」に分類して組み直し表示した損益計算書をいいます。
変動費
売上の増減に伴って変動する費用
商品仕入高・原材料費・外注費などが
該当します。
固定費
売上が増減しても変動しない費用
役員報酬・賃金給与・地代家賃・支払利息・減価償却費などが該当します。
限界利益
売上高から変動費を引いた利益
※ 変動損益計算書は一般の損益計算書の構成を組み直しただけなので、
経常利益の数字は変動損益計算書と一般の損益計算書は同じものとなります。
− 変動損益計算書を使うと何ができるのか? −
右の変動損益計算書の状態のお店が、
新たに人を雇用すると人件費500(固定費)が増加する
しかし、売上が倍の2,000にできるとしたならば、
この雇用は、損か得か?
−TKC出版
「わかる財務分析できる経営助言」より事例引用−
売上高に対する限界利益の割合は、400÷1,000=40%
(この「限界利益÷売上高」の割合を
限界利益率といいます。)
よって、売上が倍の2,000になったときの変動費は、2,000×40%(限界利益率)=800となります。
このときの 限界利益は、2,000−800=1,200
固定費は、 480+500(新規人件費)=980
経常利益は、1,200−980=220 となります。
この結果から、経常利益が220−120=100 増加しますので、この雇用は得ということになります。
( 下記[A] )
仮に同条件で、
売上が倍の2,000ではなく、1.5倍の1,500の増加が見込まれる場合には、
同様に計算していくと、上記[B]の80の赤字となりますので、
この雇用は損と判断できることとなります。
上記は、極端な参考例の一部ではありますが、
変動損益計算書は、
経営の判断材料として有効な財務諸表であることを示しています。
最後に、三条エコノミークラブの今回のグループ勉強会に参加していただいた皆様と
勉強会の講師依頼をしていただいた
プルデンシャル生命新潟支社の伊藤博之氏(三条高校の同窓生)に感謝いたします。