従来の商法施行規則においては、
小会社(資本金1億円以下、かつ、負債総額20億円未満の株式会社)及び有限会社に対し、
大幅な注記の省略が認められていました。
今度の会社法の会社計算規則では、
注記は「個別注記表」として計算書類の1つを構成する書類となり、
「公開会社」か「公開会社でない会社」という区分で、一部の注記事項の省略の可否を定めています。
(注)会計監査人設置会社以外の会社を前提としております。
従来の大会社か小会社かといった区分ではなくなっていることに注意が必要です。
会社法では、従来において、一部の注記を省略していたからといって、
会社法施行後において必ずしも注記を省略できるとは限りません。
注記の省略をできない「公開会社」とは、
株式譲渡制限会社でない株式会社であり、いいかえれば、
「発行する全部の株式について、その譲渡につき、会社の承認が必要であると定款に定めていない会社」をいいます。
昭和41年に株式の譲渡制限の規定を認める商法改正が行われました。
そのため、それ以前に設立された会社で、株式の譲渡制限について定款の変更を行っていない場合は、
公開会社に該当し、注記の省略ができない公開会社に該当しているケースが多いといわれております。
いま一度、自社の登記簿を確認し、株式譲渡制限があるかどうかの確認が必要と思われます。
※
特例有限会社については、
改正前の有限会社が出資口数の譲渡について会社の承認を要することを前提としていたため、
会社法においては株式譲渡制限会社とみなされています。
個別注記の内容については、また別の機会に述べたいと思います。