−牛膓康則税理士事務所−
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< 中小企業における財務諸表(計算書類)の重要性の変化 >

 従来、中小企業において、財務諸表(計算書類)は「税務申告書作成過程における書類」のような印象を持たれてきました。事実、現在でも融資(借入)に関係がない中小企業の経営者の中には、財務諸表は税務申告のために仕方なく作っていると考えている方が多いと思います。

 また、商法ではすべての株式会社に「計算書類の公告」を義務づけていますが、中小企業の株式会社では、株主は経営者自身またはその関係者であること、公告の費用負担(全国紙での公告は最低でも約60万円)が大きいなど理由により、ほとんど行われていないというのが現状です。

 景気低迷の長期化を背景に、ここ数年で、中小企業を取り巻く環境が大きく変化することになりそうです。

  1.株式会社と有限会社の一体化(株式会社への統合)
  2.最低資本金制度の撤廃(1円起業制度)
  3.「包括根保証」の見直し(廃止)

 これらの法改正により、中小企業の継続・発展はもとより、金融機関の融資判断時における財務諸表の信頼性が著しく増し重要になると予測されます。
財務諸表の信頼性(公開性・正確性など)が、新規取引先との取引や金融機関等の融資の可否・金利の利率設定に与える影響が大きくなる。)

 財務諸表の公開性(デスクロージャー)については、平成13年の商法改正により、平成14年4月1日以後、従来の公告方法に代えて、一定の要件のもとに、インターネットを利用したホームページでの公開ができるようになり、登録免許税が必要ですが費用負担はかなり軽くなっています。
(TKCでは、関与先企業の「TKC計算書類公開データベース」サービスを行っています。興味のある方はご相談ください。)

 財務諸表の正確性については、中小企業は一部を除き、外部監査が制度上義務づけられていないことから、自社計算書類の正確性を示すためには、正確な適時の記帳が基本となります。

正確な適時の記帳を基に、「日本税理士連合会」による中小会社会計基準などの会計処理基準により処理し、第三者の税理士が巡回監査によりチェック指導し、税理士法に規定する書面添付を行うことが正確性を確保することにつながっていくものと考えています。

 また、現在法制審議会では、公認会計士と税理士を活用した社外取締役と同様に責任を負う「会計参与(仮称)」の機関導入が審議されていますが、これも財務諸表の信頼性確保に貢献するものと考えられています。

財務諸表(計算書類)の重要性を再度認識していくことが、今後の企業の継続・発展のカギとなります。

                                   参考文献:武田隆二「中小企業の会計」

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