葡萄はもともと乾燥地帯の植物であり雨は大敵のようです。日本で棚栽培が行われているのは多雨・多湿の為だと思われます。私は棚での露地栽培をしていましたが,2001年より雨よけを設置しました。
 被覆材のポリエチレンフイルム(厚さ0.03ミリ)は3月下旬に張り,原則として梅雨明けと同時に外しますが,欧州系品種では台風が襲来しない限り収穫期に取り外します。雨よけの効果は大きく,農薬散布回数は半減し,黒痘病の発生は皆無となりました。農薬の隣接地への飛散も低減します。下記Bは,既製品を参考に自作しました。やはり,下記Cのビニールハウス用パイプを使ったものが,資材の入手も容易であり見た目も問題なく家庭用としてお勧めです。
(2011年10月30日改)
効果の例
 写真はウインクの10月上旬の状態です。右半分は8月上旬に被覆材のポリエチレンフイルムを外したもので,これに対して左半分は本日に除去したものです。葉が白くなっているのは7月下旬にボルドー液を散布したためで,これ以後に農薬散布はしていません。
 右では葉のいたみが激しく既に落葉が始まっているのに対して,左の方は青々とした葉の状態です。被覆材の有無でこのように差が出ました。ただ,日射量が果粒の色づきに影響すると思いますので例年は7月下旬に被覆材を外しています。
(2010年10月4日追記)
 この雨よけは絶対に必要です。ビニールの三角屋根に守られながら新梢が成長するように,伸びと共に屋根の高さを高くしていきます。これは,苗木を購入した販売業者から勧められた物ですが,コンビニの透明ビニール傘も代用できると思います。 勿論,泥はねと過乾燥防止の為の敷き藁もします。
 幼木は,雨よけがないと黒痘病にかかること請け合いです。            
 まず手始めに竜宝の棚に雨除けを設置することにしました。近くの観光葡萄園に使用されている鋼線を使った既製品を参考にして自作しました。使用した針金は棚に使ったものと同じものですが,既製品はもっと硬いようです。どうにか完成はしましたが,いろいろと問題点もあり自作はお勧めできませんが参考までに記載します。

                
 一番の問題は交差部の固定法でした。膨大な数の箇所を留めるのだから,簡易でしっかりした方法を採用せねばなりません。互いに巻きつけるのは,針金が硬いのでうまくいきません。半田付けでは強度不足,電気溶接は細いので切れてしまい至難の業です。結局,直径1.6mmのステンレス線を右の写真のように巻きつけて固定しました。針金アの部分は下の写真の様に1回転巻き付けました。このとき大きめのプライヤーの根本でしっかりと締め付けます。
 この方法で強度に問題は有りませんが,何百箇所も留めていると腕が腱鞘炎になる寸前になりました。車庫にかまぼこ型になるよう針金を張りる為の台を作り,毎夕製作に励みながら「既製品を購入すべきだった」と何度後悔したことでしょう。
 
 これを棚に載せ,図2の針金アと針金オを棚の針金や鋼管に銅線で結びました。 針金ウの両側は図3のように足場用鋼管で引っ張って固定します。形の保持と暴風による倒壊を防ぐ為に,鋼管の上部と地中に埋め込んだコンクリートブロックとを針金で結びターンバックルで張力を与えています。鋼管の先端にはポリエチレンフイルムの破損を防止するためのキャップをかぶせておきます。この支柱を設置すると一番外側の柱は省略できます。
 
 180cm幅のポリエチレンフイルムを,図2の針金イと針金エとの間に張ります。新梢は針金アと針金イの間を,又は針金アの下を伸びていきます。留めにはビニールハウスの補修用粘着テープを使いました。ポリエチレンフイルムの押さえは1.5m間隔でフイルム押さえ用バンドで針金アと針金オの間に張りました。ポリエチレンフイルムの末端は図3の22mm直管に固定しました。 
この作品の欠点は
  • 針金製なので天井高を高くすると風に弱いこと。
  • 天井高を低くすると立ち枝が高温障害を受けること。
  • 巻きひげが針金に強く絡みつき冬の剪定時に除去に苦労すること。
  • 図3の支柱が斜めであり,かつ,ステーが邪魔になり庭への設置には不向きと思われる。
 やはり家庭に設置するなら下記Cの鉄パイプを使ったものがお勧めです
 上記Bの雨よけは苦労の割には出来栄えも機能的にも満足できませんでした。翌年(2002年)は名誉挽回とばかりにバッファローの棚にビニールハウス用鉄パイプを使って製作しました。これはお勧めできます。
        
 面積が8m×12mの棚に使用した材料で,主にビニールハウス用のものです。
  直管(4m)- - - - - - - - - - - - - - - - - - 19mm 24本,22mm 36本
  サイドビニール巻き上げ用長さ5m,直径19mm直管(アーチ部に使用) - - - 60本
  十字バンド(パイプ相互の固定用) - - - - - - - 19-19用 130個,19-22用 492個
  パッカー    - - - - - - - - - - - - - - - - 19用 40個,22用 120個
  厚さ0.05mm,幅230cmポリエチレンフイルム100m巻き - - 1本
 その他に自己融着性絶縁テープ、ステンレス線、
  フイルム押さえ用バンド---- 1巻き
 アーチ部に使用するパイプは適当な既製品が手に入らず,図4の様に直管を曲げることにしました。
 棚の幅が8mですから5列とし1列の幅が1.6mとなります。さらに天井高を70cmとし新梢の伸びるための間隔(図4の直管アとイの間)を12cmにすると,規格品230cm幅のポリエチレンフイルムが使用出来ます。
 しかし,必要なパイプの長さは2.4mとなりますが,ビニールハウス用の直管の長さは4mだから使用できません。幸いにも,ハウスのサイドビニール巻上げ用のパイプは直径19mmで長さは5mです。接続部の細くなった部分を切り取り,さらに半分に切断します。切断にはパイプカッターが便利です。ただ,切断面が鋭利になりますので頭をぶっつけても怪我しないように安全を考え,ヤスリで角を落とし,日光による劣化の少ない自己融着性絶縁テープ(屋外の電気工事用絶縁テープ・電気工事材料店で入手可)を巻いておきます。
 曲げるには自動車のタイヤに当てて曲げられますが,総数120本ですので電気配管工事用のパイプ曲げ器を使いました。およその見当で曲げ,ダンボールに描いた曲線に合わせて微調整すれば,それなりに仕上がりました。棟の一番外側用には上に示した写真のように幾分小さめに作りました。
 パイプの曲げ方の詳細についてはこちらを見て下さい(2010年1月追記)
 図4の直径22mmの直管アとオを棚に載せ棚の鋼管とステンレス線(下記の注を参照))で固定し,これに曲げたパイプを55cm間隔で19-22用十字バンドを使って取り付けました。さらにポリエチレンフィルムを固定する為の直管イと直管エ(22mm)をはめます。最後に天井の19mm直管ウを19-19用十字バンドを使って取り付けます。隣の棟との連結は右の写真のようになります。

 (注) 数年たって判明したことですが,ステンレス線で固定するとイオン化傾向の関係から亜鉛メッキされた鋼管との間に局部電池が形成され,鋼管が錆びるようです。したがって,棚に用いた亜鉛メッキされた鋼線の少し細いもの(12番)を使用したが良いと思われます。いずれにせよ異種の金属を接触させるときは注意が必要です。私はさび止め塗料を塗布して鋼管とステンレス線を電気的に絶縁しました。(2009年2月4日追記)
 
 ポリエチレンフイルムは図4の直管イと直管エにパッカーで取り付けます。この部分に雨が流れてきますので隣の棟のポリエチレンフイルムと交互に固定します。フイルム押さえ用バンドは直管アと直管オに結びます。この上下の直管の間を新梢が伸びていきます。(ただし,剪定時にすべての枝を棚の下側に降ろします)。