肥 料 の 特 性 

2011年 6月21日 .


1.窒素系統

  1) 硫酸アンモニウム(硫安)  Ammonium sulfate    化学式 (NHSO = 132.14


 [成分含有量]
 [浸透圧]

  アンモニア
  0.50気圧


  21.2%
             <溶解度曲線図 >
硫酸アンモニウムの溶解度


  2) 硝酸アンモニウム(硝安)  Ammonium nitrate    化学式 NHNO = 80.04


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  アンモニア : 17.0%
  硝酸     : 17.0%
  0.55気圧
  必ず、水溶液として使用する。
             <溶解度曲線図 >
硝酸アンモニウムの溶解度


  3) 塩化アンモニウム(塩安)  Ammonium chloride   化学式 NHCl = 53.49


 [成分含有量]

 [浸透圧]

  アンモニア : 26.2%
  塩素     : 66.2%
  0.83気圧
             <溶解度曲線図 >
塩化アンモニウムの溶解度


  4) 石灰窒素(カルシウムシアナミド)  Calcium cyanamide   化学式 CaCN = 80.10 

 
 [成分含有量]   シアナミド   21.0%  
    石灰   60.0%
 [使用分類]   追肥には不適。 
    葉面散布には不適。


       『分解、吸収過程』

                      水で分解 : NH
       CaCN + HO ⇒ CNNH + CaO
                      CNNH + CO(NH


     ( 注意 )
     散布直後に飲酒すると急性アルコール中毒を引き起こすことがある。これはシアナミドが肝臓でのアルコール代謝に影響を与え、
     有害なアセトアルデヒドを体内に蓄積させるからである。


  5) 硝酸加里  Potassium nitrate   化学式 KNO = 101.10


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  硝酸     : 17.0%
  加里     : 46.6%
  0.44気圧
  必ず、水溶液として使用する。
  葉面散布には不適
             <溶解度曲線図 >
硝酸加里の溶解度


  5) 硝酸石灰  Calcium nitrate,4−hydrate   化学式 Ca(NO ・ 4HO = 236.15


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  硝酸     : 11.8%
  石灰     : 23.6%
  0.28気圧
  必ず、水溶液として使用する。
  葉面散布には不適
             <溶解度曲線図 >
硝酸石灰の溶解度
    『分解、吸収過程』

  Ca(NO  -------→   Ca + 2(NO







  6) 尿素    Urea   化学式 NHCONH = 60.06


    溶解度  108g / 20℃ / 100ml

 [成分含有量]   アミノ態   46.7%
 [浸透圧]   1.11気圧    
 [使用分類]   追肥には不適。
    必ず、水溶液として使用する。


       『分解、吸収過程』

       CO(NH + HO ⇔ CO + 2NH↑ (加水分解)
       CO(NH + 2HO ⇒ HCO + 2NH (溶解)
                   NH + HO ⇒ NHOH



2.リン酸系統


  1) リン酸1アンモニウム(リン酸2水素アンモニウム・第一リン酸アンモニウム)  Ammonium dihydrogenphosphate
       化学式 NHPO = 115.03


 [成分含有量]

 [浸透圧]

  アンモニア : 12.2%
  リン酸    : 61.7%
  0.38気圧
             <溶解度曲線図 >
リン酸1アンモンの溶解度


  2) リン酸2アンモニウム(リン酸水素2アンモニウム・第2リン酸アンモニウム)  di -Ammonium dihydrogenphosphate
       化学式 (NHHPO = 132.06


 [成分含有量]

 [浸透圧]

  アンモニア : 21.2%
  リン酸    : 53.7%
  0.50気圧
             <溶解度曲線図 >
リン酸2アンモンの溶解度


  3) 過リン酸石灰 (第一リン酸カルシウムと硫酸カルシウムの混合物)  Superphosphate calcium
       Calcium phosphate,monobasic,1-hydrate + Calcium sulfate,2-hydrate


       化学式 Ca(HPO・H O + CaSO・2HO = 252.07 + 172.17

       溶解度
       第一リン酸カルシウム  1.8g / (不明)℃ / 100ml <wikipediaから>
       硫酸カルシウム      0.176g /  0℃ / 100ml
                       0.202g / 18℃ / 100ml

 [成分含有量]   リン酸   16.5〜19.0%
    石灰   28.0%
 [浸透圧]   0.25気圧    


       『分解、吸収過程』

       Ca(HPO・H O ⇒ Ca + 2(HPO)   ─────┐
                             H + HPO   ──── 吸収
                             H + PO    ─────┘


  4) 熔リン (熔成リンは純物質ではなく、く溶性リン酸、石灰、苦土などの混合物)


 [成分含有量]   リン酸   19.0%
    石灰   30.0%
    苦土   18.0%
 [使用分類]   葉面散布には不適    


       『分解、吸収過程』
3CaO
3MgO
 PSiO ⇒ 2Ca・3MgO・P + CaO・SiO
                       ↓
                    2CaO + 3Mg + 2HPO   ───────┐
                                    ↓                吸収
                                    3H + PO  ─────┘


  5) 焼リン(リン酸カルシウム) Calcium phosphate    Ca(PO=310.18


 [成分含有量]   リン酸   37.0%
    石灰   40.8%
 [使用分類]   葉面散布には不適    


  6) リン酸1加里 Postassium phosphate,monobasic           化学式 (KH)PO = 136.09
     (リン酸2水素カリウム  Postassium dihydrogenphosphate)


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  アンモニア : 52.2%
  加里     : 34.6%
  0.32気圧
  必ず、水溶液として使用する
             <溶解度曲線図 >
リン酸1加里の溶解度


3.加里系統


  1) 硫酸加里 Potassium sulfate     化学式 KSO = 174.26


 [成分含有量]
 [浸透圧]
 [使用分類]

  加里 : 54.1%
  0.38気圧
  葉面散布には不適
             <溶解度曲線図 >
硫酸加里の溶解度


  2) 塩化加里 Potassium chloride    化学式 KCl = 74.55


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  加里 : 63.2%
  塩素 : 47.5%
  0.60気圧
  葉面散布には不適
             <溶解度曲線図 >
塩化加里の溶解度


  3) 硝酸加里      項目1. − 5)  を参照


  4) リン酸1加里    項目2. − 5)  を参照



4.石灰系統


  1) 硝酸石灰      項目1. − 6)  を参照


  2) 塩化カルシウム Calcium chloride      化学式 CaCl = 110.98


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  石灰 : 38.3%
  塩素 : 48.2%
  0.45気圧
  必ず、水溶液として使用する
             <溶解度曲線図 >
塩化カルシウムの溶解度


  3) 炭酸カルシウム Calcium carbonate     化学式 CaCO = 100.09


 [成分含有量]
 [浸透圧]
 [使用分類]

  石灰 : 53.0%

  水溶液として不適
             <溶解度曲線図 >
炭酸石灰の溶解度

       『分解、吸収過程』

       炭酸カルシウムは難溶性なのに、畑作に使われ、
        過程(A) ・・・ CaCO + 2HNO  ⇒  Ca(NO + CO  ⇒  HO + CO
                            硝酸       硝酸カルシウム   遊離炭酸          炭酸ガス発生
                                                                   と言う過程をたどるか、または、

        過程(B) ・・・ CaCO + 2KCl    ⇒  CaCl  +  CO  ⇒  KO + CO
                         塩化カリウム   塩化カルシウム  炭酸カリウム        炭酸ガス発生

                                                  となり、終局的には炭酸ガスを発生しながら、吸収される。


  4) 炭酸苦土石灰 (炭酸カルシウム炭酸マグネシウムの混合物)     化学式 CaMg(CO = 184.41
       炭酸マグネシウム MgCO   分子量 = 84.32


 [成分含有量]   石灰   53.0%
    苦土   5〜15%
 [使用分類]   水溶液として不適


  5) 生石灰(酸化カルシウム) Calcium oxide    化学式 CaO = 56.08    ( 使用禁止 )


 [成分含有量]   石灰   80.0%
 [使用分類]   肥料として不適

       『反応、生成過程』

       炭酸カルシウムを加熱し、二酸化炭素を放出して生成。
       CaCO --→ CaO + CO


  6) 消石灰(水酸化カルシウム) Calcium hydroxide    化学式 Ca(OH) = 74.09    ( 使用禁止 )


 [成分含有量]
 [使用分類]

  石灰     : 60.0%
  肥料として不適
  <要因 >
   @pHが高すぎる
   A土を固くする
             <溶解度曲線図 >
消石灰の溶解度
       『反応、生成過程』

       生石灰に加水して生成する。
       CaO + HO --→ Ca(OH)




       『反応、生成過程』

       生石灰に加水して生成する。
       CaO + HO --→ Ca(OH)


  7) 石灰窒素      項目1. − 4)  を参照



4.苦土系統


  1) 塩化マグネシウム Magnesium chloride,6−hydrate     化学式 MgCl ・6HO = 203.30


 [成分含有量]

 [浸透圧]
 [使用分類]

  苦土     : 19.9%
  塩素     : 34.9%
  0.33気圧
  必ず、水溶液して使用する
             <溶解度曲線図 >
塩化マグネシウムの溶解度
 


  2) 硫酸マグネシウム Magnesium sulfate,7−hydrate     化学式 MgSO・7HO = 246.48


 [成分含有量]
 [浸透圧]

  苦土     : 16.4%
  0.18気圧
             <溶解度曲線図 >
硫酸マグネシウムの溶解度


参考資料:化学便覧(基礎編U)昭和45年8月発行<丸善>


 = 完 = 




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