「やさしさに手引きされて」



 Y町からO町に移動しようとしていた時の話です。
 汽車を利用することが多いのですが、バスはどのあたりを通って行くのか知りたくなり、バスの営業所に行こうとしたのですが、はっきりわからないまま、
 ぼく:「ここはバスの営業所ですか?」
 営業所の人A:「そうだけど、今 電話中!」
 どのくらい待てばバスがあるのかな? って、思っていたら、カウンターの中で、先ほどの電話の声の主とは、明らかに違う位置に、人の気配。
 ぼく:「すいませーーん、O町に行くバスはあとどのくらいできますか?」
 営業所の人B:「あと15分くらいできますが、バス停は道の向こう側になりますよ」
 ぼく:「バス停は、どのあたりですか?」
 営業所の人B:「何とかと言うお店の前です」
 ぼく:白杖を大きく見せて、「見えないんですけど、交差点からどのくらいもどるのですか?」
 営業所の人B:「今、軽自動車がいるところ、見えないかな?」と言いながら、身振り手振りをしている様子。
 あきれたぼくは、向こう側に行けば何とかなるだろう? と思い、バスの営業所を出たのですが、ふと、汽車はどのくらいかな?と駅に向かいました。
 駅に入るなり、
 駅員さん:「どちらにいかれますか?」
 ぼく:「O町までなんですが・・・」
 駅員さん:「10分後ですけど、汽車はホームに入っていますよ。手引きしますから、どうぞ」
 O町に汽車が着くと、その駅の駅員さんに連絡をしていただいたのか、待ってもらっていました。
 Y町・O町の二人の駅員さんは、手引きが完璧でした。
 やさしさに手引きされて、汽車に乗ったのですが、最初の疑問である、バスがどのあたりを通るのかはわからないままになりました。


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