理想的な女性

〜 紫の上の拠り所のない生涯 〜




  40帖 「御法」(みのり)・・・・・紫の上の死去が綴られています。


                      紫の上 

         この時代の女性の厄年は、13・25・37・49・61・85・99といいます。

         37歳の厄年を迎えた 「紫の上」に、源氏は言いました。

         「今まで、何の苦労も無く、穏やかな生活ができたので、厄除けの祈祷をしましょう」

         幼少から源氏に養育され、14歳で妻となり、源氏だけを頼りとして生きてきました。
         源氏の言うような、決して平穏な、安らかな生涯ではなかったのです。

         「大事に育てられましたが、自分に耐えられない悲しみや苦しみを自分の祈りとして
         生きてきました・・・」


         「天涯孤独の身の上に、悲しみこそが、私を支えた祈りでもありました・・・」
        
         常に別の女性に揺れ動く源氏の心に、耐えがたい苦悩が続いたと思われます。


         紫の上、43歳、明け方に消えていく露のような儚い生涯を閉じます。(源氏51歳)

         源氏の最愛の妻として、紫の上の人生は幸福だったのでしょうか。

         理想的な女性だったのでしょうか?

         時代を越えて、作者が私たちに問いかけているようです。
          
源氏が、紫の上と語り、自分の半生を述懐する部分です。

「大事な人との別れや、悲しみ、悩みを抱えたおかげで、自分が思っていた以上

に、この歳まで生きていられるのだろうと思わずにはいられないのです。あなた

には、一時期の別れの他は、お悩みになるほどのことはないと思っています。」



ご笑覧下さいましてありがとうございました。 講師の先生に深謝いたします。




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