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エリザベス物語 (本誌2014年1〜4月号掲載)

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(1)機上での決断

  黒い体でショウリングの上位を歩く姿に誰もが見とれてしまう。そんな魅力を秘めたバドジヨン・JK・スカイツク・エリザベス・ETから始まる「エリザベス・ファミリー」。クルル・ブローカー・エレガンスの子孫は数多くわが国に導入されているが、中でもスカイチーフによる娘エリザベスの子孫達の活躍は枚挙にいとまがなく、北海道ナショナルショウでは常に複数の1等賞入賞牛を出し、全国各地のショウでもその魅力を遺憾なく発揮している。そんな彼女達の、繁栄と活躍の足跡を辿り、その魅力をあらためて紐解いてみよう。
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 北海道上士幌町・小椋茂敏氏は1999年のローヤル・ウインターフェア視察のために、初めて海外へ渡った。目的は世界最高峰のショウを参観することはもちろんのこと、基礎牛となる牛を1頭買って帰りたいとの強い思いがあった。
 
 ローヤルの会場で目に付いたのがジョエル・キーツマン氏が連れてきていたクルル・ブローカー・エレガンス(EX-96、父ブローカー)。茂敏氏は「エレガンスという名前は聞いていたが、まだ彼女が一世風靡する前だったので写真も見たことがなかった」という。しかし、実際にエレガンスを目の当たりにすると、他を威圧するような巨体に「真っ黒で象みたいな牛で、さすがに圧倒された」という印象を持った。キーツマン氏はこの時エレガンスと一緒にバドジヨンジエーケー・アンコール・エレクトラ・ET(EX-95、父アンコール)と、バドジヨンジエーケー・インテガー・エリート・ET(EX-91、父インテグリテイ)そしてスカイチーフの娘バドジヨン・JK・スカイツク・エリザベス・ETの3頭の未経産娘牛を連れてきていた。ショウはアクメ・スター・リリーが3年連続のグランドチャンピオンで幕を閉じたが、茂敏氏の目的の半分は牛を買うこと。初めての渡航にもかかわらず、会場では積極的に物色して歩いた。中でもいずれも黒がちなエレガンスの娘達と、対照的に真っ白なジユリアン・メイソン・スターリング(EX-94、父メイソン)が目に止まった。メイソン・スターリングは乳量2万kg3代のペディグリーを持っており、前年のローヤルではシニアカーフ2位という実績で、値段も高値が予想された。そこでエリザベス一本に絞り込んだのである。メイソン・スターリングはその後01年のローヤルでもシニア3才1位、オールカナディアンおよびオールアメリカン、4代2万sという活躍を見せることになる。
 
 では、エレガンスからはどの牛を?アンコール・エレクトラはクラス1位。当然彼女は高い値段が予想されたのであきらめざるを得なかった。エリザベスはクラス9位、しかも真っ黒で1番エレガンスに似ていた。さらに父は当時人気があったが、入手困難なスカイチーフということもあり、このエリザベスに白羽の矢を立てたのである。
 
 エレガンスはこの年のエキスポとローヤルでともに成牛3位、準々オールアメリカン、カナディアン。アンコール・エレクトラはエキスポもローヤルも1位となり、オールアメリカン、カナディアンの両タイトルを得た。この後エレガンス・ファミリーはオールアメリカン・ノミネート44回、うちオールアメリカン5頭、準オールを11頭輩出した。EXは娘34頭、孫娘42頭という一大ファミリーを築き上げていったことは周知の通りである。
 
 ショウを見終わった茂敏氏はカナダでコーディネイターをしている小沢氏に仲介を依頼、キーツマン氏との交渉を始めた。話し合いは順調で、良い返事を得た。しかし、予想よりも高い値段にその場では断念せざるを得ず、後ろ髪を引かれる思いで帰国の途に着いた。しかし、帰りの飛行機の中の10数時間、エリザベスの姿が頭に浮かんで離れない。ここで買わなければ後悔の念に苛まれることだろう。そう思った茂敏氏は帰国後、すぐに当時からエレガンスの受精卵を輸入していた十勝畜産貿易の高木氏に頼んで、再度交渉してもらうことにした。幸いにもまだ買い手が付いていなかったが、値段は会場で交渉したのと変わらなかった。しかし、意を決して、購入することに決めた。この機上での決断がその後、このファミリーの繁栄と大活躍に繋がるとは、この時は思いもしなかったという。
 
 値段も高いことからローヤルに同行した気の置けないメンバーの士幌町・山岸均氏、芽室町・村瀬英治氏、そして清水町・串田雅樹氏に声を掛け、シンジケートを組むことにした。
 
 シンジケートの名前は「テイク・ア・チャンス・シンジケート」文字通りこの牛との巡り合わせは大きなチャンス、この「チャンスを掴む」の意味で付けたという。ただし、シンジケートの所有はあくまでもエリザベス本牛だけ。彼女から取れた卵や娘はあくまでも個人の所有というルールの下に繁殖、採卵が開始された。順番も1番目は村瀬牧場、2番は小椋牧場、3番が串田牧場、そして山岸牧場が4番目と決めていた。
 
 エリザベスは翌年3月に無事検疫を終えて北海道に到着。メンバーの中で1番若い村瀬牧場に繋ぐことになった。輸入時の腹にはレツドマーカーが入っており、6月に長女テイクア・チヤンス・マーカー・エリザベスが誕生、彼女も母似の真っ黒な牛だった。
 
 エリザベスは体はもちろん、乳房も期待以上に良いものを付けたことから、自然とショウでの活躍の期待が高まっていった。しかし、口蹄疫の影響で、春のショウは中止。その年の全共さえも危ぶまれた中、8月には十勝地区予選会という形でなんとか共進会の開催にこぎ着けた。審査に当たったローウェル・リンゼイ氏はシニア2才の彼女をクラス1位、インターミディエイト・チャンピオン、さらにグランドチャンピオンに選んだ。9月の北海道ナショナルショウではコムスター牧場主マーク・コムトイス氏が審査する中、インターミディエイトチャンピオンに、そして当時2才級としては異例の準グランドチャンピオンに選出されたのである。ちなみにこの時のグランドチャンピオン牛PCH・アニー・シンジケートのベルモラル・チヤールズ・アニーも十勝畜産貿易が輸入したもので、同じ便で輸送されたという。さらに、両牛とも輸入牛ということで、11月開催の岡山全共には出品できなかったのが残念である。
 
 エリザベスは翌年の道ナショナルショウにもジュニア3才で出品されたが2等賞。乳房が大きくなってきたためショウ終了後は管理を考えて小椋牧場に移動し、以降最後まで小椋牧場に繋がれることになった。
 最初の娘は村瀬牧場、2頭目は小椋牧場の順番につき、茂敏氏は何を付けるか悩んだ末に、子出しは大きくはないが乳房が良いという評価からストームを選択し、01年6月に誕生したのが2女バドジヨン・ストーム・エクセレンシー。
 この後は採卵に供されることになりダーハム、アンコール、ラデユツクなどが交配された。ダーハムで02年7月に3女エリザベス・オブ・ダンケー・ETが串田牧場で。02年10月にはアンコールでサクランド・アンコール・エリーゼ・ETが山岸牧場で、ハイロード・アンコール・エメラルド・ETが小椋牧場で誕生している。
 03年3月には3産連続雌となるギブソンの娘ダンケー・ギブソン・エリーゼを分娩後、4月の体審で92点を獲得した。5月の北海道BWショウのリングに立ち5才以上4位。秋の北海道ナショナルショウでは5才クラス1等賞3席と、再びショウリングで輝きを放った。
 3産目以降は2年間採卵が続いた。後半は採卵の状態も良くなかったので、もう1産させようと授精させ、8才の春に4産目で雄を分娩した。その後体調を崩し、05年5月、牧場に戻ることはなかった。採卵により空胎期間が長かったことなどが影響し、脂肪肝になっていたのが致命傷だったという。
 
 しかし、彼女の残した旺盛な繁殖力と、好体型、ビロードの毛並みは娘達へと受け継がれてゆく。
 長女マーカー・エリザベスは01年のナショナルショウで2等賞。03年には小椋牧場のハイロード・ダーハム・エリツシユ・ET(父ダーハム)が8〜10月1等賞3席に入賞し、活躍の口火を切って見せた。



世界に名を馳せたクルル・ブローカー・エレガンス(EX-96)。
彼女から多くのショウカウが誕生している。





エリザベスの姉バドジヨン−JK・アンコール・エレクトラ・ET(EX-95)は
99年オールアメリカン&オールカナディアン。





茂敏氏を悩ませたジユリアン・メイソン・スターリング(EX-94)。
01年ローヤルでシニア3才1位。







バドジヨン・JK・スカイツク・エリザベス・ET。
00年道ナショナルショウではシニア2才でRGC(上)。
03年には5才1等賞3席、92点を獲得(下)





娘牛の口火を切って03年道ナショナルショウ1等賞入賞を果たした
ハイロード・ダーハム・エリツシユ・ET



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(2)EX-93点、
   グランドチャンピオン

 エリザベスの娘、孫娘達の活躍はファミリーを確固たる高みに押し上げていった。そして、エリザベスといえば黒く、大きく、ビロードのような皮膚被毛の質感というイメージを多くの酪農家に植え付けていったのである。
 さらに彼女にとって幸いだったのは近くに全農ETセンターがあったということ。彼女は素晴らしい採卵反応を示した事も相まって、わが国初となる9姉妹EXという金字塔を立てた。
 まずはエリザベスを管理し、一族の発信基地ともなっている小椋牧場の娘達のショウでの活躍を追ってみよう。
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エリザベス×ストーム×ダンデイー
 小椋牧場で最初に誕生したのは茂敏氏が乳房を重視して選んだストームによる娘で、エリザベスの2産目娘となったバドジヨン・ストーム・エクセレンシー。彼女は母と同じ真っ黒で質の良い被毛と、狙い通り素晴らしい乳房を付け、06年11月に90点を獲得。エリザベスの娘として9姉妹EXの先陣を切ったのである。彼女は5産して娘は2頭だけだったが、ETで20頭を超える娘を残した。特にエクセレンシーにダンデイーの組み合わせは抜群の相性を見せている。
 05年生まれのダンデイー・エピソードは未経産時には06年の道ウインターフェアで4位と、さほど目立った活躍は見せなかったが、乳房を付けてからは08年道ナショナルショウジュニア3才1等賞1席・BU、そしてインターミディエイトチャンピオンに輝き、祖母エリザベスと肩を並べる活躍を見せたのである。体審も3才2産で89点。彼女は翌年も道ナショナル4才級で連続の1等賞1席、道ウインターでは準シニアチャンピオンとさらに輝きを放ち続け、4才ちょうどという若さで92点を獲得したのである。つづく4産目では5才3月令で93点と、まぎれもなくエリザベス・ファミリーの一翼を担う存在となったのである。彼女はこれまでに6産中5頭、ETを合わせて10頭の娘を得ている。昨年のナショナルショウには8才で出場し、2等賞2席だったが、雄大な体型と充実した肋腹を見せてくれた。
 エピソードのゴールドウインによる娘ゴールデン・エリートも4才90点、5才では91点を獲得、エリザベスから4代連続EXとなった。彼女のショウリングでの活躍も目覚ましく、08年道ナショナルに未経産で1等賞5席、09年は乳房を付けジュニア2才1等賞1席、11年にも4才で1等賞4席、翌5才1等賞5席と4回1等賞入賞を果たしたのである。彼女のミスター・サムによる娘は4才88点、シドによる孫娘は夏に乳房を付ける今年期待の1頭だという。またミスター・サムによる妹SAM・エミリア(4才-89点)は11年道ナショナルジュニア2才2等賞、12年にはジュニア3才1等賞6席に入賞している。
 さらにエピソードの昨年生まれたダーハムによる娘2頭はエリザベスの特徴を良く見せており、来年の全共に2才級として出場が期待されている。
 ダンデイー・エピソードの全姉妹ダンデイー・エリナも5才で90点、分娩のタイミングで春のショウしか使えなかった彼女は11年の北海道BWで3才シニア7位という賞歴があるが、少々霞んでしまうのは、このファミリーの華々しい活躍の凄さを物語っているからである。

06年11月の体審で娘牛第1号のEXとなった
バドジヨン・ストーム・エクセレンシー・90点(父:ストーム)




08道ナショナルショウIMCの
ハイロード・ダンデイー・エピソード・93点(父:ダンデイー)




エピソードの娘ハイロード・ゴールデン・エリート・91点(父:ゴールドウイン)は
道ナショナル1等賞4回




エピソードの娘ハイロード・SAM・エミリア・89点(父:ミスター・サム)は
12年道ナショナルジュニア3才1等賞





エリザベス×ダーハム

 エリザベスのダーハムによる娘ダーハム・エリツシユは前回記したとおり、小椋牧場での娘としては最初にショウリングで活躍を見せた1頭で、03年道ナショナル8~10月1等賞3席。初産でセプテンバーの娘を分娩し84点と期待されたが、初産泌乳中に死亡している。しかしバージンでクストーにより採卵した受精卵によりその後の枝葉は充分に広がりを見せている。
 エリツシユの流れから代表娘となったのはクストー・エクスプレス(父クストー)である。彼女は08年道BWで3才シニア2位および準インターミディエイトチャンピオン、09年には道ナショナル5才1等賞3席、11年は成牛1等賞5席、翌12年も1等賞2席の活躍。体審でも4才10月91点、8才ではダンデイー・エピソードに並ぶ93点を獲得した。彼女は採卵の反応が良く、1度に平均30個も採卵できるという。4月には6産目を控えているが、すでに娘の数は20頭を数えるまでに増えている。
 9姉妹EXのうち、4頭が小椋牧場で誕生している。エクセレンシー以外はいずれもダーハムによるもの。04年生まれのダーハム・エクリプスは4才で90点、5才時には91点を得た。06年生まれのダーハム・エルメスも4才90点、6才時には92点を獲得。彼女は09年道ウインター3才シニア5位、12年道BWでは5才以上1位および準シニアチャンピオン。そして07年生まれのダーハム・エミリーが5才90点、6才では91点となっている。
 エクリプスはダンデイー、プロントによる娘や、アツトウツド、ゴールドチツプによる孫娘がいる。またエルメスにはジヤスパー、ダンデイー、そしてエミリーにはゴールドウイン、デイストライ、アツトウツドによる娘がおり、この中からショウリングでの活躍が楽しみである。


エピソードに次いで93点を獲得した
ハイロード・クストー・エクスプレス・ET(父:クストー)




9姉妹EXの4番手ハイロード・ダーハム・エクリプス・ET・90点(父:ダーハム)



9姉妹EXの7番手ハイロード・ダーハム・エルメス・ET・90点(父:ダーハム)



9姉妹EXの8番手ハイロード・ダーハム・エミリー・ET・90点(父:ダーハム)



グランドチャンピオン牛「エターナル」
 さて、ダンデイー・エピソードの全姉妹で、道ナショナルショウのグランドチャンピオン牛ハツピーグローリー・ダンデイー・エターナルの存在は大きい。彼女は茂敏氏が同町の若手として活躍し始めた熊谷肇氏に期待を込めて譲った受精卵から誕生したのである。生まれ落ちは武骨で目立つ牛ではなかったという。成長が際だってきたのは12カ月を過ぎた頃からで、08年の道ナショナルでは何とか18〜19月2等賞5席に入賞を果たした。
 09年に初産分娩すると素晴らしい乳房を付け体審も84点を獲得、地元でも一躍注目の的となったが、その年は口蹄疫により共進会が中止となり、活躍の場を奪われてしまった。11年秋に2産目として、満を持して十勝地区共進会に登場し、シニア3才1等賞1席、インターミディエイトおよび準グランドチャンピオンを獲得、勢いに乗り道総合共進会に臨むと、インターミディエイトおよび準グランドチャンピオンを得、エリザベスと肩を並べたのである。翌12年には十勝地区、そして道ナショナルでついにグランドチャンピオンと、一気に頂点を極めた。
 グランドチャンピオン後の体審でも4才7月で92点(外貌、特質、乳器いずれも92点)を得ている。娘はこれまでにゴールドウインの受精卵で4頭誕生しており、今後アツトウツドによるETの誕生を控えている。
 実は彼女が経産牛としてショウリングに上がったのは3才と4才時、十勝共と道ナショナルの計4回のみである。6才となるこの3月末にはブロカウ(7H11118)により4産目を分娩予定で、夏から秋のショウでその優美な姿を見られるか楽しみにしたい。
 次回は山岸均牧場、串田牧場のエリザベスを紹介しよう。   



12年道ナショナルショウ・GC牛
ハツピーグローリー・ダンデイー・エターナル・ET・92点
(父:ダンデイー、上士幌町・熊谷肇氏所有)



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(3)ラデユツクの山岸牧場
    ダーハムの串田牧場

 エリザベスに対する交配に当たっては小椋牧場がストームにダンデイーで後継牛を得ていったのに対し、士幌町・山岸均牧場ではラデユツク、清水町・串田牧場ではダーハムにより後継牛を作り出した。

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山岸均牧場のエクレア
 山岸牧場ではラデユツクで3頭の娘が誕生している。中でも05年生まれのサクランド・スカイデユーク・エクレアは看板牛として活躍している。
 彼女は06年道ウインターで準JC、07年の道BWでもクラス1位、秋の道ナショナルでは未経産最高位?と期待されたが、その年から未経産牛の月令区分が22カ月未満に変更されたために出場すら叶わなかった。しかし、翌年の道ナショナルには乳房を付けて登場し、シニア2才1等賞4席の活躍を見せたのである。その後5才で90点を獲得、彼女が注目されるのは本牛の体型はもとより、その子出しの良さにある。
 エクレアのアドベントによる娘スウイートネス・アドベント・エントリー(88点、スウイートネス・シンジケート所有)は09年道BW12〜14月2位、4才になった12年には十勝地区共進会準シニアチャンピオン、道ナショナルではエターナルに次いでクラス1等賞2席に付いた。彼女のフイーバーによる娘フイーバー・エキスポは昨年の道ナショナル18〜19月1等賞3席、ジヤスパーによる娘ジヤスパー・エンゲージも14〜15月1等賞5席に入賞。
 また、ミスター・サムによる娘サクランド・サム・エルビナも昨年の道ナショナル・シニア2才1等賞2席に入賞、2才85点を獲得し、福島県・(株)T・ユニオンデーリイへ移動し、来年の全共出場が期待されている。さらにアフターシヨツクによる娘ハニーデール・アフターデユーク・エルシー(上士幌町・高木雄大氏所有)は12年道BW15〜17月2位。
 他のラデユツクでは、エクレアより2年早く生まれているスカイデユーク・エンジエルは04年道BW12〜14月1位、道ナショナルでは15〜18月1等賞3席入賞、3才86点、05年生まれのスカイデユーク・エクセルは5才89点と後一歩EXには届かなかったが、後継牛は続いている。
 山岸牧場で最初に誕生したのはアンコールによる娘サクランド・アンコール・プリンセス・エリーゼ(85点)だった。彼女のダーハムによる娘ダーハム・プリンセス・エミールが90点、セプテンバーによる娘セプテンバー・プリンセス・エレンが90点を獲得、姉妹EXとなっている。さらにストーマテイツクの娘ストーマテイツク・プリンセス・エリーは4才88点、4月に4産目を分娩予定の彼女には3姉妹EXの期待がかかる。同じく熊本県・松島太一牧場に移動したミス・プリンセス・エルモ(父ミスター・サム)も3才87点。松島牧場にはエクレアのアフターシヨツクによる娘もいて、この春に分娩を控えているという。
 エクレアはこれまでに4産、ETを含め既に10頭以上の娘を残しており、現在はゴールドチツプとダンデイーの受精卵が止まっている。他場から娘や受精卵を希望する声も多くかかっている。しかし、彼女自身は繁殖は順調なものの、多排卵処理に対する反応はあまり良くないという。
 均氏は「エクレアは乳房炎で今は3本乳となったが13,000sは出ている。特にトラブルもなく一族は全体的に温和しいく飼いやすい。もう少し採卵の反応が良ければ」と、今後改善を期待している。


山岸牧場の代表牛となったラデユツクの娘
サクランド・スカイデユーク・エクレア・ET・90点。




エクレアの娘で13年の道ナショナル1等賞2席入賞後、
福島県・(株)ユニオンデーリィへ移動したサクランド・サム・エルビナ・85点。




エリザベスの孫娘サクランド・ダーハム・プリンセス・エミール・90点は
エレンと姉妹EXとなった。




エミールと姉妹EXとなったサクランド・セプテンバー・プリンセス・エレン・90点は
一族唯一の真っ白な牛?



串田牧場のエンドレス
 一方、清水町・串田雅樹牧場では当時好体型として人気の種雄牛ダーハムをかけたメンバーの中で最初に結果を出した。
 02年生まれのエリザベス・オブ・ダンケーは03年道ナショナルに入賞したが、分娩時期が合わずにその後の秋のショウには使われず、地元のスプリングショウで活躍を見せる程度だったが、6才で姉妹2頭目のEXとなった。彼女は一昨年に廃用となるまでに5産し、その間採卵に対する反応は抜群で、一度に20個以上取れ、9割がAランクの受精卵だったという。
 串田牧場では娘や受精卵を積極的に販売していったこともあり、彼女の遺伝子は日本各地に広まり、娘の数はすでに30頭を超えている。その中で経産となった娘を見てみると千葉県・嶺岡乳牛研究所のリーダーの娘が6才89点、富山県・新川畜産公社のダンデイーの娘エリザベス・ダンデイ・デリアは08年中部日本共進会8〜11月2位、ゴールドウインの娘では神奈川県・中丸牧場の5才89点、宮崎県・石山牧場のストーンヒル・ゴールデン・エレガンス・401・ETは4才88点で11年県共最高位賞、鹿児島県・釘田牧場の4才88点と3才85点、そして千葉県・小澤牧場のボンドヒル・ドリームズ・COME・TRUE・ETは4才86点で12年県共経産名誉賞と、いずれもVG級、ショウでも活躍を見せている。もちろん串田牧場の娘達もゴールドウインの娘ダンケー・ゴールド・エースが4才87点。さらにドラマチックによる3才87点孫娘ダンケー・ドラマチツク・エリアはこの春のショウに楽しみな存在。
 04年生まれのダンケー・ダーハム・エンドレスは06年未経産で道ナショナル1等賞4席、07年にはシニア2才1等賞6席、08年シニア3才1等賞3席、そして09年の道BWでは準シニアおよび準グランドチャンピオンに輝き、串田牧場を代表する牛となった。さらに、4才で91点を獲得、5姉妹目のEXとなっている。
 エンドレスの一番の後継牛とされるのがダンケー・ゴールド・エンブレム。彼女は4才89点、2月に分娩を控えているが、彼女のサンチエスによる娘ダンケー・サンチエス・フオーエバーは昨年の道ナショナル・ジュニア2才1等賞7席、士別市・多田牧場のダンデイーによる娘2頭はいずれも11年全道共に入賞。さらに、茨城県・藤枝牧場のダンデイーによる娘は昨年の県共15〜17月1位と、子出しの良さが伺える。
 また、エンドレスのセプテンバーによる娘は4才88点、ゴールドウインによる孫娘が清水町・成松牧場で11年、12年連続で道ナショナルに出品されている。さらに、アドベントの娘ダンケー・アドベント・エクストラは栃木県・鷹箸牧場で4才89点を獲得。
 串田牧場にはダーハムの他にギブソンとラデユツクでも娘がいる。ギブソンの娘は初産時の乳房の故障により体審成績はないが、兵庫県・播磨農校でセプテンバーの娘が4才86点、鳥取県・岡村牧場ではアドベントの娘2頭が3才87点と86点等の活躍を見せている。一方、ラデユツクの娘は昨年4月の体審で5才90点を獲得し、エリザベスの娘として、みごと9姉妹EXの偉業を達成した。
 雅樹氏は「エンドレスはひらめきがあって、生まれる前から名前を決めていました。エリザベス自身は乳房と肢蹄にやや弱さがあった。そこでダーハムは乳器を改善してくれた。エンドレスは3回採卵したが、1回目はサンチエスで20個以上、しかし、2、3回目は取れなかったし、分娩間隔も空いていたので、受胎させました。しかも質感や骨味を求めてラデユツクの最後の種で止めたのです。昨年4月に6産目で雌牛を分娩後に死んでしまいました。彼女には短命で申し訳ないことをした」と振り返っている。
 他の牛たちは繁殖力、採卵に対する反応の良さは凄く、バージンでも15個以上取れるという。
 次回は全国各地で活躍するエリザベスを取り上げてみよう。



串田牧場の代表牛となったダーハムの娘ダンケー・ダーハム・エンドレス・ET・92点。



エンドレスの全姉妹エリザベス・オブ・ダンケー・ET・90点は
30頭以上の娘を残している。




エンドレスのゴールドウインによる娘ダンケー・ゴールド・エンブレム・ET・89点。



エンブレムのサンチエスによる娘ダンケー・サンチエス・フオーエバー・84点は
13年の道ナショナル1等賞7席。



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(4)エリザベスとの幸せな時間

  小椋、山岸、串田の3牧場以外での活躍牛を見てみると、小椋牧場からエリザベスの娘ハイロード・アンコール・エメラルドが03年のゴールデンセールに出品され、200万円近い値を付けて取引されたのに始まり、約10年間でエリザベスの子孫は全国に広まった。北海道ナショナルショウで頂点に立ったハツピーグローリー・ダンデイー・エターナルを筆頭に、各地のショウで上位に入賞するエリザベス一族の様子が伝わってくるようになった。

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9姉妹EX3頭目は兵庫県から
 03年はダーハム・エリツシユが道ナショナル1等賞に入賞し、娘牛の活躍が始まった年。この年のゴールデンセールには早くもエリザベスのアンコールによる娘ハイロード・アンコール・エメラルドが出品されたのである。彼女は熊本県の球磨ハツピーリアライズ・シンジケートが購買し、錦町の川辺牧場に繋養された。
 乳房を付けた翌年にはオール九州BWに出品され、2才ジュニア2位についた。彼女はその後ドナー牛として供用される中88点を獲得、病気もなく、繁殖も順調でクストーやダーハム、インテグリテイ等で多くの娘を残した。彼女のクストーによる娘ハツピー・R・クルル・エンプレスは06年オール九州で準ジュニアチャンピオンに輝くなどの活躍を見せた。また、エンプレスの全姉妹ハツピー・R・クストー・KT・エントランスは錦町・立作浩一牧場に繋養され、採卵に供されていたためショウリングには登場しなかったが、3産目には充実した体と素晴らしい乳房を見せ90点を獲得している。
 アンコール・エメラルドの子孫はこれまでに延べ70頭近くに増えており、地元の乳牛改良の一助として活躍を見せている。
 04年春には北海道更別村・天野牧場でラデユツクの受精卵からレデイスマナー・エスカレードが誕生している。彼女は兵庫県南あわじ市・山口貴士牧場が是非にと請うて生後5カ月で移動した。06年には乳房を付け、南あわじ市共進会で2才級ながら経産最高位賞を獲得、県共でも2才1位に選ばれた。翌07年の県共は経産名誉賞、全日本BWでは3才シニア1位・BUの活躍を見せた。09年2月に4才で91点を獲得、エリザベスの娘9姉妹EXの3頭目となった。その後も県BWでは5才1位、6才でも1位およびグランドチャンピオン、7才では一族最高点に並ぶ93点を獲得した。彼女のダンデイーの娘エスカレード・ジヨーカーは県共や全日本BWで活躍しており、シーバー、アツトウツドの娘も控えている。
 エスカレードは昨年12月に7産目を分娩、10才を迎える現在も93点時の好体型をキープしている。




06年オール九州BWショウ準ジュニアチャンピオンに輝いた
ハツピー・R・クルル・エンプレス・ET(熊本県錦町・川辺千代美牧場)




最高得点93点、9姉妹EXのメンバーであるレデイスマナー・エスカレード・ET
(兵庫県南あわじ市・山口貴士牧場)



第4の供給源となった小原牧場
 音更町・小原牧場では03年にラデユツク、05年にはダーハムによってET娘が誕生している。いずれも母譲りの好体型を見せ、初産85点、2産目88点と期待通りの成長を見せたが、最終的に88点、89点とEXに一歩届かなかった。しかし、どちらも子出しが良く、彼女達の娘も2才85点や成牛となってEXに近づいているものが多い。
 ラデユツクの娘SJフアーム・レデユーク・エクストラのロイによる孫娘SJフアーム・ロイ・エクスペデイシヨンは12年道ナショナル16〜17月1等賞1席、その後京都府綾部市・(有)BIG TREE FARMに移動し、全日本BW1位、13年中部日本BW1位となった。
 ダーハムの娘SJフアーム・スカイツク・ダーハム・エリンのゴールドウインによる娘SJフアーム・ゴールドウイン・エレンシア(85点)は昨年の道ナショナルでジュニア2才1等賞1席の活躍を見せている。
 現在ラデユツクは10才、ダーハムも9才になるが、両牛とも現役で泌乳中で、エリザベス・ファミリーの第4の供給源として牛群を充実させている。

音更町・小原潤哉牧場の基礎牛となったダーハムの娘
SJフアーム・スカイツク・ダーハム・エリン・ET・88点




道ナショナル、全日本BW、中部日本BWで活躍した
SJフアーム・ロイ・エクスペデイシヨン(京都府綾部市・(有)BIG TREE FARM)




SJフアーム・ゴールドウイン・エレンシア・85点
(音更町・小原潤哉牧場)は13年道ナショナルジュニア2才1等賞1席




13年中部日本共進会2才シニア優等賞1席の
ハイロード・ダミオン・エリーゼ(静岡県浜松市・メイクアトレジャー)



エターナルに続くショウカウ続々登場
 小椋牧場からの流れでは熊谷牧場のエターナルが12年道ナショナルでグランドチャンピオンに輝き、頂点を極めたことは2月号で触れたとおり。その他にもハイロードのエリザベスが各地で活躍している。
 ダンデイー・エピソードのダミオンによる孫娘ハイロード・ダミオン・エリーゼ(84点)は静岡県浜松市・メイクアトレジャーから昨年の中部日本共に出場し2才シニア2位。エピソードやエターナルの全妹ダンデイー・エリシオンは11年のゴールデンセールで北海道せたな町・阿部牧場に移動、12年道南BW2才ジュニア1位、3才86点を獲得している。同じく全妹で埼玉県熊谷市・青木牧場で誕生したブルーバンブー・エレガンスは昨年の県共3才1位・名誉賞に輝き、体審では87点を得ている。
 クストー・エクスプレスの流れからは、全姉妹ハツピーライン・クストー・エンプレスが上士幌町・吉田智貴牧場で88点、彼女はストームやセプテンバー等で娘を増やしている。また、セプテンバーによる妹からはゴールドウインによる娘が青森県六ヶ所村・五十嵐洋臣牧場で88点。ジヤスパーによる娘ハイロード・ジヤスパー・エストリーゼは11年道BWに小椋牧場から出品され、準ジュニアチャンピオンを獲得、その後栃木県日光市・植木靖牧場へ移動し、昨年春の県BWでは2才シニア1位・準インターミディエイト、秋の県共では3才ジュニア1位でインターミディエイトチャンピオンを獲得、12月に3才で88点を得ている。
 次に山岸牧場からの流れを見てみよう。ここではやはりエクレアの娘スウイートネス・アドベント・エントリー(88点)が注目される。彼女は上士幌町・吉田智貴牧場を中心としたスイートネス・シンジケートの所有で、09年道BW12〜14月2位に始まり、その年の道ナショナルは2等賞、道ウインターではクラス1位につけた。乳房を付けてからも4才となった12年には道BW3位、十勝地区共ではエターナルに次いでクラス2位、準シニアチャンピオン。そして道ナショナルでもグランドチャンピオンとなったエターナルに次いで1等賞2席と素晴らしい活躍を見せた。さらに彼女の娘達の活躍は3月号で触れたとおり、スウイートネス・フイーバー・エキスポとハツピーライン・ジヤスパー・エンゲージの姉妹がそろって昨年の道ナショナルで1等賞入賞を果たした。エクレアの娘では上士幌町・高木雄大牧場のハニーデール・アフターデユーク・エルシー(父アフターシヨツク)が12年道BWショウ15〜17月2位に入賞している。
 また、エクレアのアドベントによる長女エミリアの流れからは、ブルーブラツドによる娘プラスフジ・SL・ブルー・エスカレーシヨンが帯広市・加藤道博牧場で3才87点、ゴールドウインによるひ孫プラスフジ・ゴールドウイン・エクステンシヨンは12年道ナショナルでジュニア育成1等賞5席に入賞している。
 エクレアの全姉妹エンジエルからはダーハムの娘サクランド・ダーハム・エフイーが別海町西春別・ウエストスプリング・シンジケートに移動し、3才86点、彼女のダンデイーによる娘グレイスフル・JK・ダンデイー・エリスは09年道ナショナル16〜17月2等賞入賞、その後の道東あさひ秋期BWでは準ジュニアチャンピオンに輝いている。
 さらに、プリンセス・エリーゼのミスター・サムによる娘が熊本県・松島牧場で活躍しているのは3月号で触れたが、この他に松島牧場には昨年の菊地・阿蘇BWで6〜8月1位入賞のエリーゼのサンチエスによるひ孫サンチエス・エミールがいる。
 一方、串田牧場は早くから受精卵や生体の販売に積極的だったことから、多くの娘達が他牧場に渡り、特に都府県での活躍は群を抜いている。
 オブ・ダンケーの娘を生まれ順に見ていくと、06年生まれのリーダーの娘ダンケー・リーダー・エリカは千葉県・嶺岡乳牛研究所で6才89点。富山県富山市・合田初雄牧場所有牛で07年生まれのエリザベス・ダンデイー・デリア(父ダンデイー)は新川畜産公社から08年中部日本共に出品され8〜11月2位。宮崎県高原町・石山宗行牧場のゴールドウインによる娘ストーンヒル・ゴールデン・エレガンス・401(88点)は11年県共3才1位、経産最高位賞に輝いている。同じくゴールドウインの娘で千葉県長南町・小澤健治牧場のボンドヒル・ドリームズ・COME・TRUE(86点)は12年県共4才1位・経産名誉賞とそれぞれ県共のトップに立っている。さらにゴールドウインでは神奈川県相模原市・(有)中丸牧場のダンケー・ゴールド・エイジが5才89点、鹿児島県鹿屋市・釘田武牧場では4才88点と3才85点。この他青森、熊本、鹿児島、そして道内各地に広がっている。
 一方、ダーハム・エンドレスからは栃木県日光市・鷹箸牧場のアドベント・エクストラ(父アドベント)が昨秋4才で89点。清水町・成松牧場のゴールドウインによる孫娘パイン・リツジ・GW・エクステンシヨンが11、12年と2年連続道ナショナル入賞。茨城県小美玉市・藤枝牧場のダンデイーによる孫娘ダンデイ・エンパイアは昨年の県共15〜17月1位、関東BWでも4位入賞を果たしている。


ハイロード・ダンデイー・エリシオン・ET・86点
(せたな町・阿部智久牧場)は12年道南BW2才ジュニア1位




13年埼玉県共進会経産名誉賞の
ブルーバンブー・エレガンス・87点(埼玉県熊谷市・青木洋介牧場)




13年栃木県BW準IMC、県共進会IMCの活躍を見せた
ハイロード・ジヤスパー・エストリーゼ・88点(栃木県日光市・植木靖牧場)




エクレアの代表娘牛で12年道ナショナル1等賞2席の
スウイートネス・アドベント・エントリー・ET・88点
(上士幌町・スウイートネス・シンジケート)




13年道ナショナル18〜19月1等賞3席の
スウイートネス・フイーバー・エキスポ(スウイートネス・シンジケート)




13年道ナショナル14〜15月1等賞5席の
ハツピーライン・ジヤスパー・エンゲージ・ET(上士幌町・吉田智貴牧場)




12年道BWショウ15〜17月2位に入賞した
ハニーデール・アフターシヨツク・エルシー・ET(上士幌町・高木雄大牧場)




12年道ナショナルジュニア育成1等賞5席の
プラスフジ・ゴールドウイン・エクステンシヨン・ET(帯広市・加藤道博牧場)




グレイスフル・JK・ダンデイー・エリス(別海町西春別・渡辺義市牧場)は
09年道ナショナル16〜17月2等賞、道東あさひ秋期BW準JC




エリザベス・ダンデイー・デリア・ET(富山県富山市・合田初雄牧場)は
08年中部日本共進会に新川畜産公社から出品され8〜11月2位




ストーンヒル・ゴールデン・エレガンス・401・ET・88点
(宮崎県高原町・石山宗行牧場)は11年宮崎県共進会経産最高位賞



1頭の牛に巡り会える至高の喜び
 娘が9姉妹EX達成、そしてこれだけ多くの子孫がショウリングで活躍しているファミリーは他に類を見ない。もし、ローヤルで諦めていたら、既に売れていたら、今日のような活躍を見ることはなかった。小椋茂敏氏も「未経産で買ったので、こういう乳房を付けるだろうな、というイメージはあったが、これまでのファミリーになるとは予想していなかった」と回顧する。
 03年の道ナショナルショウには、ゴールデンセール牛の管理をしてる十勝畜産貿易が、エリザベスの繁殖者であるジョエル・キーツマン氏をフィッターとして招へいした。キーツマン氏は5才クラスでショウリングを回るエリザベスの姿を目にした。ショウが終わってから小椋牧場にも立ち寄り、娘牛も何頭か見たという。その中にはジュニアで1等賞だったダーハム・エリツシユもいた。氏は出来るならこれらを連れて帰りたいと言っていたという。もしアメリカにいてショウリングに登場していたら、その活躍は計り知れなかったことだろうし、採卵の反応が抜群の彼女達からは、相当数の受精卵が日本に入ってきただろう。キーツマン氏は、とてつもないドル箱を手放してしまったのかもしれない。
 小椋牧場、山岸牧場、串田牧場がエリザベスに出会えたのはとても幸せなことである。茂敏氏は「一族がこれほど繁栄してくれるとは、まるで夢物語です。しかも様々な牧場から出品され活躍することは管理もさることながら、遺伝力の強さを如実に表している。熊谷君のエターナルや、昨年の道ナショナルで小原君が1等賞1席に入賞したように、エリザベスの一族が若い人達の励みとなればうれしいね」と、一族の活躍に目を細めている。
 生涯に1頭でも『これ以上の牛には出会えない』と思える牛を飼えることは酪農家にとって至高の喜びといえよう。テイク・ア・チャンス・シンジケートをはじめ、エリザベスを手にした牧場にとって、この幸せな時間はまだしばらくは続きそうである。(完)




ボンドヒル・ドリームズ・COME・TRUE・ET・86点
(千葉県長南町・小澤健治牧場)は12年千葉県共進会経産名誉賞




ダンケー・ゴールド・エイジ・ET
(神奈川県相模原市・(有)中丸牧場)は昨年秋89点を獲得