小鳥ちゃん2羽 50.インコは歌う


7月下旬。
この時期、全国的に有名で大きなお祭りが近所であります。
去年は引越し前の忙しい頃だったので行けなかったけど、
今年はジモティーぶって、ちょこっと見に行きました。
お祭りの船が通る川沿いにはマンションが立ち並んでします。
中には、このお祭り&花火が見られる事が売りの分譲中マンションもありますが、
間近で見ると、お祭りの人混みや拡声器の音でかなりの騒音でした。
とはいえ、自宅から花火を望めるのは気持ち良さそうです。
またエストなら、そんな騒音にもハイになって喜びそうな気がします。

打ち上げ花火をいくつか確認後、うちに帰りTVをつけると、
お祭りはTV中継されており、花火も大きく映し出されてます。
うちのマンションでは、上階の一部から見えるかも(見えないかも)?
2階の我が家では、遠くに花火の音が聞こえるくらいです。
それでもすぐ近所でお祭りが催されているだけで、なんだか嬉しい気分!
エストがTVの音につられ、調子外れな歌を歌い始めました。
…結局何の音でもいいんだね、エスト。(; ̄ー ̄A

8月に入るとお盆休みがやってきます。
去年は嵐の引越し直後だったから帰省しなかったのですが、
初盆でもある今年は帰省しない訳にはいきません。
もちろんG3君とエストも一緒です。
エストはもう何度も一緒に帰省していましたから、
実家にも違和感なく慣れてると思っていたところ、
今回は実家に置いてあるケージにもなかなか入ろうとしないし、
これまでになく落ち着かない様子で、こちらが戸惑うほどでした。
逆に帰省から今のマンションに戻ると、
身体いっぱいに嬉しさを表して、大層ご機嫌です。

去年までとは明らかに違うエストの反応。
エストはこの1年で、ここが自分の家だと、ちゃんと理解していたのでした。

一方、私たちときたら、丸1年たっても、
ここが自分らのものなんて、ホントなのかな?という思いが消えないでいます。
元々マイホームに固執もなく、したがって夢も持たず、
持ち家なんて別の世界の話、といった感じでしたので、
今でも「買った」ことが結びつかず、変な気分になるみたいです。
でも買ったことに後悔はありません。
住み心地抜群の気に入った間取りに住める幸せ。
あのまま賃貸暮らしだったら、たとえ引越しても、
今のようなレベルの暮らしは望めなかったでしょう。
こんな世界があるという事も知らぬままだったと思います。

確かに払った代償(ズバリお金!)は高かったし、
これからも借金返済は続きます。
ローンを払い終えても、管理費と修繕費は払い続けねばならないし、
さまざまなトラブルや悩みも続くに違いないです。
10年後、20年後、30年後…。
私たちがどうなっているかも分からないけど、
それはどこで暮らそうと同じ事。
見えない先をあれこれ悩んで過ごすより、
今、幸せと感じられる暮らしが出来るのですから充分です。

なによりエストがいます。

あの夜、偶然拾った小さな黄色い天使(インコ)は、
帰る場所を見失い、途方に暮れているようでした。
それが、いつしか私たちの心をがっちり鷲づかみに捕らえ、
ついには自分のおうちを買わせてしまったのです。
そう、マンション購入はエストの導きがあったからこそ。

フラフラと二人で無駄金使って遊んでるくらいなら、
エストのお世話に一生を捧げなさい。
エストの為のおうちを買いなさい!

(導きというより、命令…?)

外の小鳥たちの声に、エストも応えて鳴いてます。
「エストはここだよ、ここはエストのおうちだよ!」
とでも言っているのかな?
そうだよ、エスト。
エストがいたからこそ買ったこのマンション。
エストのお気に入りでお墨付き。
ここはエストの為のマイホームなんだから。

我が家の小さな天使は、今日も歌っています。
こうしてたどり着いた、終の棲家で。



        ‥ 幸せの黄色いインコ ‥
               本編・完


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