このマンションが出来るのは来年の夏なのに、来週には売リ切れ？

分譲マンションの「青田売り」という言葉も知らなかったこの時の私には、
青天の霹靂と言ってもいいくらいの驚きでした。
そう、私は「販売開始」とは「予約受付」と同じくらいの意味合いで、
実際お客さんが購入を決めるのは現物が出来てからだと思っていたのです。
本当になぁんにも知らなかったのでした。

「じゃ、来週には決断しなきゃいけないんですか？」
予想外の事態にうろたえる私でしたが、
これはこのマンションだけに限った事ではなさそうです。
雲行きが変わってきました。
こんなおいしいチャンスを営業サンが見逃すはずありません。
住宅金融公庫がもうすぐなくなるとか、
現在の住宅ローン減税は平成15年末までの入居で、
その後は減税期間も額も下がってしまうとか、
なんだかよく分からないなりに、このタイミングを逃すと、
ローンや税金面でも損しそうだと思われる事柄を並べ立ててきます。
「今が買い！今しかない！」の殺し文句です。

もうこれは、買うしかないのか〜！

ついさっきまで買う気がなかったのに、かなりの急展開となりました。
たいして欲しくなかったものも、なくなると知ると突然欲しくなるパターン？
まんまと引っかかったという事かもしれません。

しかし、マンションには私一人で住むわけではなく、
やはり夫であるG3君の意思も確認しておかないと…
明日は日曜日。その気があればG3君と一緒にもう一度ここに来れます。
営業サンにもその旨を伝えて、この日はモデルルームを後にしました。
そして早速、釣りに行っているG3君にメールを入れたのです。
「借金を背負う気ある？」と。

ほどなくG3君から帰ってきたメールは、意外にも簡素なものでした。
「ゆいさんが欲しいならいいよ」
え…？そんな簡単に？
確かにこの間取りにはG3君もずいぶん惹かれてましたが、
私のようにモデルルームを見学したり、話を聞いたりもしてないのに、
また、特に持ち家を望んでいた訳でもなかったのに、
こうもあっさりと承知できるものなんでしょうか？

その晩は二人で家族会議です。
G3君は「こんな気に入った間取りはもう出てこないかもしれないし」、
「給料が少ない僕らでも、ローンを借りられるのなら」
私さえその気があるなら買ってもいいとのこと。
特に持ち家にこだわりはないけど、
持ち家はいらない、というほどのこだわりもないG3君らしい考え方です。

そうかー。
私は漠然と「この先もっと良い間取りが出てくるかも？」
と思っていたけど、確かにそうとは限りません。
場所の問題も含めて、この間取りを逃したら絶対後悔しそうです。
いろんな買い物で、最初に見た時に「まあ、いいか」と見送り、
それが売れてしまった後で、他では見つける事が出来ず後悔…
という苦い想いを何度もしている私たちです。
「見つけたら即買い！」は、鉄則とまではいかなくても、
G3君も私も心がけていることでした。

すなわち、もう買う気満々の私たち。

ただ、G3君は「もうちょっと上の階がいい」と言うので、
それはまた明日販売センターに行って聞いてみよう、という事になりました。

それにしても、「インコをもっと飼いたいな〜」から急転直下、
マンション購入決意に至るとは思いもよりませんでした。
エストがいなかったら、「面白い間取りだね」くらいで終って、
絶対にこんな事にはならなかったでしょう。
もっとも「インコをもっと飼う」どころじゃない大金が必要になるのですけど。