高温の環境の中にいた場合にみられる症状をさしていいます。ですから、外で日光が当たるようなところでなくても、家の中でも熱中症は起こります。また、ある実験では、6月の摂氏25度の曇りの日に車を閉め切っておいたところ、車内の室温は35度を超えたということです。窓の大きい後部座席では、さらに室温が高かったということです。このような状況でも熱中症は起きてしまいますので十分注意が必要です。
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熱疲労:脱水によるものです。
涼しく風通しのよいところに移動させて、服を脱がせましょう。体に水をかけて体を冷やしましょう。そしてスポーツドリンクをたくさん飲ませましょう。 |
A
熱痙攣(ねつけいれん)汗をかきすぎたところに真水を飲んだりして、筋肉の痙攣が起こります。腹痛が起きることもあります。
熱疲労のときの治療に加えて、生理食塩水(0.9%食塩水)を飲ませましょう。 |
B
熱射病:体温調節機能が壊れた状態で、意識障害、40.5度以上の熱、乾燥した皮膚が症状です。体温が41度を超えると、細胞が壊れます。
熱疲労の時のようにとにかく体を冷やし、救急車を呼んで病院につれていきましょう。 |
何よりも、予防が大切です。家の中でも熱中症は起こります。特に高齢の方は、体の中の水分が少なく、熱が体から逃げにくい状態になっています。また、冷房のない環境にいる場合が多く、さらに汗は蒸発しづらくなります。汗は蒸発することによって熱がうばわれます。冷房をつけるか、それができなくても、風通しをよくしたり、扇風機を使ったりすることが重要です。汗をたくさんかくときには、スポーツドリンクを飲むことがすすめられます。水分はのどが乾いたと感じる前に摂ることがポイントです。夏場ならば、軽い運動で20〜30分おきに、強い運動ならば10〜15分おきに100〜200mlずつ飲みましょう。
知っておきたい病気の話 『熱中症』
皆さんの中に、尿失禁が怖い、トイレに行くのが面倒であるといった理由で、水分を取ることをためらっている方はいらっしゃいませんか?
実はこの思いが脱水になる大きな理由のひとつなのです。特に高齢の方は、若い人とくらべて細胞内の水分が約20%減少していますので、十分に注意が必要です。
若い人は脱水になると、頭痛、立ちくらみ、吐き気などの症状がでやすいとされています。一方、高齢の方は、「いつもよりも元気がない」「はなす言葉がはっきりしない」「なんとなく意識がはっきりとしていない」「ぼけたのではないか」などと、見過ごされることが多く、脱水と気付かれないことも多いのです。
脱水の直接のきっかけは、
@水分摂取量の不足
A急性感染症(嘔吐、下痢、発熱)がよくみられます。
夏の暑い時期には、尿が多くなることを恐れずに、水分を取りましょう。目安としては、起床時に1杯の水、暑いところに出るときに1杯の水を飲みましょう。特に汗をたくさんかきそうなときには、スポーツドリンクがおすすめです。また、夜中のトイレが気にならない場合には、夜寝る前に1杯の水を飲むこともすすめられます。ただし、最近飲み過ぎている例も多くみられますのでご注意ください。
クーラーが嫌でなければ、夏の暑いときにはクーラーをつけるほうがよいでしょう。
水分は真水よりも、スポーツドリンクか生理食塩水(0.9%食塩水)など塩分の入ったものを取るほうが良いでしょう(熱痙攣の項参照)。生理食塩水とは100ccの水に1gの食塩を加えたものなので、コップ一杯(およそ200cc)に2gの食塩です。さらにこれに、2〜3gのブドウ糖を加えると吸収がよいとされます。またスポーツドリンクの苦手な方は、梅干などの食塩の高いものと一緒に水分をとってもかまいません。なお、水分は10度くらいに冷やしておくと吸収が良いでしょう。
水分を取るときの注意はありますか?一日、何回、どれくらいの量を目安にとったらよいでしょう。
外で働いている人、家の中にいる人、冷房が嫌いな人など、それぞれの人の環境によって必要とされている水分の量は異なります。炎天下にいる人の場合、最低15分に1回は水分の補給が必要とされる場合もありますし、冷房の効いた屋内ですごしている場合にはその必要はないでしょう。少なくとも、暑い環境の中ですごす必要がある場合にはこまめに水分をとっておいたほうが良いでしょう。
私は汗をかかないほうなのですが、その場合でも水分をとったほうがよいですか?
ひとは知らない間にも蒸発により水分が失われています。これを不感蒸泄といいます。気温が上昇すると、それに伴ってこの量が増えていきます。汗をかいたと自覚しなくても、水分を補給しておきましょう。
私は日ごろから水分をたくさん飲みたくなってしまうのですが、糖尿病の場合、水分を多く飲むのは良くないと聞いたことがあります。水は飲んだほうがいいのでしょうか?
糖尿病で特に血糖値のコントロールが悪い場合、尿量が多くなり水分をたくさん摂取したくなります。一種の脱水が起こっているのです。水分は意識的に多めに取っておきましょう。この場合、糖分の入った水分は糖尿病を悪化させ、ますます多尿の原因になりますから避けなければなりません。
高血圧なのですが、水分を多くとったほうがよいですか?
高血圧には、水分が体にたまることにより血圧が高くなるタイプがあります。この場合、水分を摂ると血圧が上昇します。一方で高血圧の治療として利尿剤を使うことにより、脱水が起こしやすくなっている状況も考えられます。この場合には水分を予防的に摂っておいたほうが良い状況もありえます。どのくらい水分を摂るべきかについては主治医に相談してください。
その他、心不全、肝不全、腎不全、ネフローゼ症候群をわずらっている方は治療に支障ある場合があるのでご相談ください。
保坂内科消化器科
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