脳梗塞とは
脳梗塞の種類
無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)
自覚症状はなくても、脳ドックなどのMRI等の検査で直径2-3mm程度の小さな梗塞が見つかる場合があります。これを無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)といいます。
無症候性脳梗塞を持つ人は将来脳卒中になる率も高いので、脳梗塞の注意信号と言えます。
無症候性脳梗塞が見つかれば、血圧を適正にコントロールした上での塩酸チクロビジンやアスピリンなどの抗血小板薬(血栓が出来るのを抑える)の服用や運動療法で本格的発症を予防しましょう。
脳梗塞の原因・誘因
高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙が四大危険因子で、その他に肥満と運動不足と加齢があります。
動脈硬化を起こすことによって、ラクナ梗塞やアテローム血栓性梗塞を引き起こします。
心房細動等の不整脈や弁膜症などの心臓疾患によっても血栓が作られ、脳塞栓を起こします。
骨粗鬆症では骨の中のカルシウムが血管に溶け出し動脈硬化を促進したり血栓を作りやすくすると言われています。
脳梗塞の検査
◆CT(コンピュータ断層撮影):発症直後2〜3時間以内の検査では病変部位の診断は困難です。発症後3時間以上経過して診断が可能となります。

◆MRI(磁気共鳴画像装置)やMRA(脳血管撮影):MRIはCTより早く病変を見つけられます。MRAでは原因となる血管を調べることができます。

◆脳血流検査(SPECT):微量の放射性同位元素を注射して脳の血流量を測定し、脳梗塞の診断や梗塞部位の診断に役立ちます。

◆心臓エコー・経食道超音波検査:心臓内に血栓がないかを確認します。

◆頸動脈エコー:動脈硬化の程度が分かります。

◆脳血管撮影:カテーテルという細い管を血管の中に通して造影剤を注入して、脳の血管の様子を見ます。

これらの検査の結果、将来に発作が起きる可能性が高いと判断されれば、血栓を出来にくくする薬(ワーファリンやバファリンなど)がしばしば投与されます。時には細くなった血管を除去する手術が行われることもあります。
脳梗塞の予防

@生活習慣病の管理; 高血圧、糖尿病、高脂血症、また心房細動などの心臓病の場合は、食事療法、運動療法や内服薬の服用など、医師に相談しましょう。
また、急激な血圧の変動も脳梗塞の引き金になります。冬戸外やトイレに起きたときに冷気を鼻から吸い込むと脳を冷やし血圧が上がるので、高血圧の人は寒いところに行く場合はマスクをすると良いとされています。

A食事:脂肪や塩分の取りすぎに注意し、腹八分目を心がけ適正なエネルギー量の食事にしましょう。魚の油は血栓をできにくくする効果があるので、青魚(サバ、鰯、アジ・・・等背の青い魚)を食事のメニューに取り入れましょう。肉、バター、チーズ、マヨネーズ、クリームなどの動物性脂肪を摂りすぎないようにしましょう。オリーブ油、ぶどうの種の油、シソ油、ゴマ油、コレステロールを上げにくい油を使いましょう。

B運動:肥満を防ぎ、体の血流をよくするために、ウォーキングなどで体を動かします。この際、事前に十分に水分を摂っておきましょう。また、気温や体調に十分注意しましょう。

C禁煙、節酒:タバコに含まれる有害物質は動脈硬化や血管の収縮を起こすため、禁煙しましょう。お酒の場合、飲んだ以上の水分が尿とし出るために脱水状態となり、血液がネバネバになる結果、脳血栓症を起こしやすくなります。少量の飲酒はむしろ脳梗塞を予防する効果があり、1日当たり0.5合〜1合程度が一番発症が少ないとの統計がありますが、多くても1.5合迄、ビールなら大ビン1本程度にとどめましょう。

D入浴:お湯の温度は38〜40℃のぬるめにし、長湯はさけましょう。入浴により体から水分が抜けますので、水分の補給をしましょう。また、冬場は更衣室の温度にも注意しましょう。。

E水分補給:脳梗塞の40%は睡眠中に起きると言われているので、就寝前にコップ1-2杯の水を飲むことは予防に役立ちます。特に夏は汗をかいて脱水状態になりやすく、血液が濃くなり血栓ができやすくなるので、時間を決めて水分補給をしましょう。心臓病の人は、水分量については医師の指示に従ってください。

F「月曜日に注意」:月曜日の発病が一番多く、日曜日の1.5倍との報告があります。土日の疲れが原因と思われ、日曜日は早く寝て月曜日はゆっくりウオーミングアップしながら身体を徐々に慣らすのが良いでしょう。

脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり、脳の血管の流れが悪くなり、脳細胞が死んでしまう病気です。

脳組織は、血流が4分間止まると死んでしまいます。神経細胞が死んでしまうと、その場所に応じて運動麻痺・感覚麻痺・言葉が出ない・片目が見.えなくなる等の様々な神経症状が起きます。しかし脳の血流が短時間に回復すれば神経細胞は死なずに済み、機能は正常に戻るのです。

したがって、症状が数分から十数分のうちに出現して消失する「一過性の脳虚血発作」を見逃さず、適切な検査と治療により致命的な脳梗塞の発生を防止する事が重要です。初回発作から1ヶ月以内に21%、1年以内に50%が本物の脳梗塞に移行します。
特に初回発作から1週間以内は要注意です。なるべく早く医療機関を受診しましょう。

脳梗塞で年間8万人が死亡します。一般的には脳梗塞と言えば高齢者の病気と思われていますが、実際には30、40代の働き盛りにも起きます。 高血圧症や糖尿病の人は特に注意する必要があります。

注目すべき危険信号
脳梗塞はある日、突然襲ってきます。どんな症状なのでしょうか?

次のような症状がでたら、危険信号です。

*貧血や耳の病気がないのにめまいがする。
*耳鳴りが続く。
*歩行が不自由で、真っ直ぐに歩けない。
*手足がしびれる。
*文字が右上がりか、左下がりになってしまう。
*舌がもつれる。
*直線が書けない。
*視野が時々狭くなる。
*意識がなくなったことがある。
*物忘れが激しくなった。
*箸が上手に使えなくなった。物をつかめず、口に物が運べない。
*文字や物が二重に見えたり、ゆがみ、ゆれて見える。
「脳卒中」は、@脳出血(脳溢血)、A脳梗塞(脳軟化症)、Bくも膜下出血の総称で、中でも脳梗塞が70%以上を占めています。推定患者数は120万人、年間約8万人が死亡しています。血液がネバネバになりやすい夏場が最も多いので注意が必要です。

脳梗塞は@脳血栓(けっせん)とA脳塞栓(そくせん)に分かれます。

@脳血栓(けっせん): 老化により脳動脈硬化が起こり、次第に流れが悪くなり血管壁に血液の塊(血栓)が出来て詰まるものをいいます。
a. ラクナ梗塞:日本人の脳梗塞の36%を占め、一番多いタイプです。高齢者に多く認められられます。脳の深部の直径1o以下の毛細血管が詰まるものです。夜間や早朝に手足のしびれや言葉が出にくい等で気づくことが多いとされます。

b. アテローム血栓性梗塞:日本人の31%を占めます。直径5〜8o程度の脳の太い動脈や頸動脈の動脈硬化が進行して血栓が出来て詰まったり、血栓が血管壁から剥がれて流れて行き、毛細血管を詰まらせるものをいいます。大きな血管が詰まるので重症になる事が多いです。
A脳塞栓(そくせん):心臓(心房細動等)や頸動脈など身体の他の部位から血塊が飛んできて詰まるものをいいます。日本人の20%を占めます。突然発症する最も危険な脳梗塞で、意識不明になったり死亡する事が多いです。心房細動という不整脈のある人は正常な人に比べて5倍程度、脳塞栓を起こす確率が高いことがわかっています。長嶋元巨人監督がこの疾患になりました。
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保坂内科消化器科


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〜そのメカニズムと予防法〜