運動は本当に健康に良いのか
足腰の悪い人は・・・
効用1.高血圧

効用2.高脂血症

ニコニコペース
HOSAKA  MEDICAL  CLINIC
保坂内科消化器科


保坂内科消化器科

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運動と内科疾患

医聖ヒポクラテスは紀元前420年に「健康にとって
どんなに良い食事にもまして運動ほど重要なものはない」と
言ったとされていますが、運動の重要性は実際に検証されています。

 20年前位まで運動の効果があいまいとされてきました。
それは、運動の強度が問題で、運動強度強すぎたからなのでした。
運動強度が強すぎたため、いわゆる有酸素運動にならなかったのです。

「ニコニコペース」と提唱している人がいます。
「ニコニコペース」とはもっとも効果のある運動強度のことです。

「ニコニコペース」は、乳酸が増えないくらいの運動強度で、
最大酸素摂取量の約50%、脈拍数では、138−(年齢÷2)に
相当します。この強度では昇圧物質(ノルアドレナリンや
アンギオテンシン)も増えないので、運動最中の血圧上昇もせいぜい
10mmHg程度に過ぎません。この「ニコニコペース」を高血圧の人に
10週間応用したときの降圧効果は、より強い運動(75%強度の運動)
よりも優れていました。この強度に適した手ごろな運動はウォーキング
です。決して息を切らして、汗だくになって運動しても効果は
高くなりません。

足腰の悪い人は水中ウォーキングでも結構です。運動量としては
1日1万歩のウォーキングが良いとされていますが、これにとらわれず、
将来にわたって続けられる運動を永く続けることをお勧めします。

効用3.肥満、糖尿病
効用4.ストレス

10週間の運動で、収縮期血圧が平均で約10mmHg、拡張期血圧が
平均で約5mmHg降圧します。運動不足により血圧調節機構のなかの
昇圧系が亢進して、降圧系が減弱します。運動はこれを是正すること
により効果を発揮します。昇圧系では血中内因性ウアバイン様物質や
血中ナトリウム/カリウム比が減弱します。降圧系では血中タウリンや
プロスタグランジンEが増加して、腎ドパミン合成が活発になり、
また、カリクレイン−キニン系が亢進してナトリウム利尿を起こします。

 この運動強度では脂肪がよく使われるので、中性脂肪が減り、
それに連繋してHDLコレステロールが増加します。特に内臓脂肪が
良く使われますので、いわゆる「リンゴ型肥満」の方には効果が
高いとされています。

必ず食事療法と平行して行いましょう。

運動はストレスを解消します。交感神経が沈静化し、内因性
モルヒネ様物質(エンドルフィンなど)が増加するからと
考えられています。

効用5.ホモシステイン
効用6.内皮細胞

7.運動のその他の効用

最後に
 他の危険因子(高血圧症、高脂血症など)と連動して血中に
増えますが、運動をすると減少します。運動は、β-シスタチオニン
合成酵素を活性化する可能性があります。運動によりその下流の
シスチン(約300%)やタウリン(約26%)が増加する
ことがわかっています。
運動は内皮細胞の機能を改善して、心筋梗塞や脳梗塞を予防します。

前向き疫学調査では、癌死亡率も運動をしている人ほど低い
ことがわかっています。非喫煙者では、よく運動している人は
そうでない人に比べて癌の死亡率が約70%も低いのです。また、
喫煙者でも癌死亡率が約54%低かったということです。

その他、痴呆症の発症、骨粗鬆症、胆石症の発症を抑制したり、
健康寿命も延長することが確かめられています。

今後、それぞれの疾患に対して好ましい運動の質・強度・時間
などが、微妙に異なってくる可能性があります。たとえば、高血圧に
対しては、ある程度まとめてある程度強い運動であれば週1回で
よいとか、糖尿病に対しては、1日2回の運動を毎日行わなければ
ならないといった様にです。そういった意味ではまだまだ研究途上に
ある分野とも言えそうです。