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我々は日常の至るところで ―意識的であれ無意識的であれー”アート”に出会っていると言える。
それはポスターや雑誌のイラストレーションであったりする。
しかし、それらとギャラリーや美術館にあるアートを分かつ境界線は何か?こうした二極分化に無関心のものは幸福だが、
問題意識に目覚めたものはどうすればいいのか。
”描く行為に対する方法論”を提示し、作品と鑑賞者の間に批評的なフイルターを置く事を試みる。
往々に見うけられるのは カンバスの外で奇をてらった方法だが、画面に着目すると、その“対象物”は対立しているのではなく
循環的、相互補完的なあり方に思われ、主従の関係では説明できない不思議な関係を、今私は感じる。
認識することで意識される枠ぐみの生み出す断絶と拘束は、たやすくは超えられない。
だが、ここでは描く主体と描かれる主体との複雑でデリケートな状態が示唆される。すなわち、極めて”思索的”と感ずることを 私に許して欲しい。 (評論家。シャルル=フエロー)