≪メッセージの要旨≫    2014年 6月 8日  聖霊降臨日〈ペンテコステ〉


     『無くてはならぬ神の息吹き』   説教 : 勝部 哲 牧師

          聖書 : ヨエル書        3章  1〜 5節
               使徒言行録       2章  1〜21節
               ヨハネによる福音書  7章 37〜39節



〜〜≪明比牧師の説教ノート≫〜〜

       『生ける水』

 キリスト教の三大祝日は、クリスマス・イースター・ペンテコステです。
日本という多神教の宗教事情の社会でも、クリスマスとイースターは市民権を得た言葉になりました。
ペンテコステは一般的なカレンダーには書かれていません。

 ユダヤ教の三大祭りは、過越し祭・五旬祭・仮庵祭と言います。
最大の祭りが「過越し祭」で、出エジプト(B.C.1250年ころ)に際し、ユダヤ人の家には羊を屠った血が家の入口の柱に塗られ、
神さまの裁きの手が全エジプトの家に到来したとき、災いが過ぎ越し、ユダヤ人が守られたことを想起し、感謝する時です。
五旬祭は、それから50日目に祝われ「十誡の受与」を記念する祭りとなりました。

 主イエスさまが約束された聖霊が弟子たちに降された日にあたりますので、キリスト教では「聖霊降臨祭」と呼ばれています。
2014年はイースターが4月20日でしたので、50日目が今日6月8日にあたります。

 仮庵祭秋の収穫感謝の祭りでもあり、ユダヤ人は仮庵をつくって寝泊りし、出エジプトの40年の流浪を想起し感謝します。

 ペンテコステは「約束された聖霊」が弟子たちに降った記念の日であり、教会の誕生日とも言われます。
聖霊を受けた弟子たちは、
十字架に屠られたイエスさまが復活され、罪と死を滅ぼされた真のメシア(救い主)であることを、人々に伝え始めました。
最初のクリスチャンたちは「復活の証人」と呼ばれました。

 今日の福音書日課であるヨハネによる福音書7章は、「仮庵祭」が近づいていた時のイエスさまの教えです。
祭りのとき人々はエルサレムの神殿に詣でて、感謝の犠牲を捧げていました。
大勢の群衆で賑わうエルサレム神殿の境内で話された言葉です。

 祭りの最終日(7日目)にイエスさまが大声で語られました。
「渇いている人は誰でも、わたしのところに来て飲みなさい。
 わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる。」
 (ヨハネによる福音書7章37〜38節)

 「生きた水」こそが人を真に生かす命の水なのです。
H2Oの物理的水ではなく、人を生かすのは「神さまの霊」です。
創世記2章7節 「主なる神は、土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。 人はこうして生きる者となった。」 
と記されているとおりです。
私たちは酸素を吸って生きる肉体的存在ですが、真の命の源は「神の息」であり、「神の霊」です。

聖霊の導きと働きによってこそ、教会は教会たりえています。

世俗的権力や財力によって教会は成立しえません。
聖霊をいただき、生き生きとした信仰生活を共に歩みましょう!


〔ヨハネによる福音書7章37〜39節〕 〜2014年6月8日 ペンテコステの福音書日課〜
 祭りが最も盛大に祝われる終わりの日に、イエスは立ち上がって大声で言われた。
「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。
 わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる。」 
イエスは、ご自分を信じる人々が受けようとしている“霊”について言われたのである。
イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、“霊”がまだ降っていなかったからである。

 ユダヤ教の三大祭は、過越祭(3月末〜4月初)・五旬祭(50日目)・仮庵祭(10月中旬)です。
出エジプトの時の、過ぎ越しを記念する過越祭。 
それから50日目の五旬祭をギリシァ語で「ペンテコステ」と言い、キリスト教では、聖霊降臨祭と言います。
イスラエルの民にとって最も楽しい祭りが「仮庵祭」です。
一家全員が家の外に作った仮庵に住み、お互いに食事に招き合い、祝ったのです。
モーセに導かれて、シナイの荒野を40年流浪し、天幕に住んだ苦労を想起するときでもありました。

 仮庵祭は、ユダヤ暦の第7月の15日から始まり、7日間続き、14日の安息日も含めると実質的に8日間おこなわれました。
(レビ記23章34〜43節)
太陽暦では10月の中旬になります。
7章37節「祭りが最も盛大に祝われる終わりの日」は、10月21日(土)ころになります。
祭りの7日目には特別に雨乞いの祈りをする習慣がありました。
祭りの期間、毎日シロアムの池から水を汲んできて、神殿の祭壇にその水を注ぐ儀式がおこなわれました。
一年の内、5〜10月の半年間、雨の降らない乾期となるパレスチナ地方で、水は命を保つ欠かせないものです。
イエスさまが、この祭りの中で「水」を主題として説教されていることは深い意味があったのです。

 ヨハネによる福音書7章38節の、「聖書に書いてあるとおり」は、ゼカリヤ書14章8節、
「その日、エルサレムから命の水が湧き出で、半分は東の海へ、半分は西の海へ向かい、夏も冬も流れ続ける。」 を想起させます。

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