≪メッセージの要旨≫   2017年  5月 7日   復活後第3主日


        
聖書 : ヨハネによる福音書    10章  1〜16節

        
説教 :  『 人の心を知る 』    高塚 郁男 牧師


1) イエス・キリストはご自身を「わたしは良い羊飼いである」(ヨハネ福音書10章11節と14節)と言われました。
  ご自分を「良い」と言うのは多少不自然に聞こえます。
  しかし、これは、イスラエルの砂漠地帯を歩くと今でも必ず羊の群れに出会い羊飼いの姿を見かけますが、
  当時は、羊飼いと羊の群れはかなり多く、
  町の人たちでも羊の話をすると、漁師出身のイエスの弟子たちでさえ、今日のテキストの話は容易に理解出来た筈です。
  羊飼いの中には羊を見放して、
  狼のような獰猛な動物が来ると、自分の命を優先して逃げてしまう羊飼いもいたことは誰もが知っていたのでしょう。
  そのような羊飼いを悪い羊飼い“と言い、
  反対に自分の命を顧みないで羊を守る羊飼いを良い羊飼い”と言えば、すぐ分かったのでしょう。
  イエス自身も悪い羊飼い・良い羊飼い″のすぐ分かる譬えを出して、ご自分を「良い羊飼い」と言われました。

2) 11節の「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」とイエスが言われた言葉は、まさに自分自身のことを言われ言葉です。
  イエス・キリストは十字架につけられ、殺されますが、
  それは自分が罪を犯した犯罪人として十字架につけられ殺されたのではなく、
  罪人を救うためであり、
  神を信じない、神から離れた人を救うために自ら十字架につけられ殺される、
  神の御計画としてのご自身の死のことを表現しています。

3) さて、今日のテキストから学ぶことは「良い羊飼い」がイエス・キリストであり、
  私たちもイエス・キリストの言葉を聞き分けなければならないということですが、次の言葉に注目しましょう。
  それは、「良い羊飼い」に私たちがどう反応するかです。
  3節と4節の言葉に、
  「門番は羊飼いには門を開き、羊はその声を聞き分ける。
     羊飼いは自分の羊の名を呼んで連れ出す。
     自分の羊をすべて連れ出すと、先頭に立っていく。羊はその声を知っているので、ついて行く」

  とあります。
  羊は羊飼いの声を知っているので「ついて行きます」
  この言葉に注目します。

4) 私たちはイエスの声を知っているでしょうか?
  知らないからなかなか本気になって「ついて行けない」のかもしれません。
  イエス・キリストを信じていると言いながら、本当は心底から信じていない気もします。
  表面的には信じている、聖書を読み説教を聞いているのでイエス・キリストのことは知っているけど、
  心の中ではなかなか本当には信じ切れないような気がします。

5) 私は、今まで10回イスラエルを尋ねています。
  一人旅が大半です。
  3回ほど頼まれてグループを組んで指導したことはありますが後は自分ひとり旅です。
  私が一人でイスラエルを尋ねるには理由があります。
  イスラエルの町々や砂漠地帯を一人で歩きながら、イエスが歩んだ足跡を追うことも一つの目的です。
  しかしそれ以上にイエス・キリストが私にとってどういうお方かを少しでも知りたかったからです。
  今でも、正直言って、イエス様が私にとってどういうお方か分かっていません。
  その意味では、私もイエスのことを十分信じていないのかもしれません。
  ある人にとってイエスは教師であり指導者としてとらえます。
  心の支えであると言う方も多くいると思います。
  ひょとすると、イエス様は私の病気を癒してくれた方、と言う人もいるかもしれません。
  それらはどれも正しいと思います。
  実際イエス様は多くの人の病気を癒されました。
  あるいは自分の歩みを示してくれた人生の教師として捉えている方も大勢いると思います。

6) ユダの砂漠と言うと、エルサレムからエリコに下る砂漠のことを言います。
  聖書では二人の盲人を癒された場所(マタイ20章29節以下)であり、
  徴税人ザアカイ(ルカ19章1節以下)を改心させた場所、また善きサマリア人の話で有名な場所です。
  エルサレムからエリコまでは約20キロほどありますが途中は全部砂漠です。
  普通に歩けば5時間位で行けるのかもしれません。
  しかし、ここは起伏が極めて激しく、しかも石がゴロゴロしている砂漠地帯ですので歩きにくく、
  加えて日中は非常に暑く、歩いて一日では行けない場所です。

7) 何回目かの砂漠を歩いている時に羊飼いとその群れに出会いました。
  羊飼いの子どもたちが私の周りに近寄って来て、
  胸のポケットにさしていたボールペンや小さいメモノートをねだるので、
  何本かボールペンと新しい小さいメモノートをあげたことがありました。
  数年してから同じ親子の羊飼いにばったり出会いました。
  彼らも覚えており、羊飼いのテントで泊まることが出来ました。
  テントと言っても四方は囲いもなく、ただ、棒で囲ったような頭の上にシートがあるだけです。
  お蔭で、彼らの生活を垣間見ることが出来ました。
  羊飼いは夜はほとんど寝ません。
  狼などの動物が来るのを見張っているからです。
  羊飼いだけでなく、その子どもたちも一匹一匹の羊を知っており、
  羊は彼らの声一つで方向を変えたり移動することも自由に出来ます。
  まさに、羊たちは彼らの声を知っており羊飼いの子どもたちに従ってきます。
  羊は他の動物とは違い、牙を持つとか、毒で相手を麻痺させるとか、敏捷に動き回るとか、
  何一つ自分を守る術を持ちませんので、どうしても羊飼いに頼る以外ありません。
  羊飼いの声だけが唯一彼らを守る手段です。

8) 自分が弱いと思えば思うほど誰かに頼ることが必要です。
  それが信仰であり、イエス・キリストです。
  私たちはイエスの声に従う必要があります。
  弱いからです。
  苦しいからです。
  だから祈り、聖書を読みます。
  そうすればイエスは私たちを守ってくれます。
  そうすれば神様は私たちを支えてくれます。
  イエスの言葉一つで「ついて行く」信仰を私たちが持つなら、イエスは夜も寝ずに守ってくれます。 

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