≪メッセージの要旨≫  2021年   6月 20日   聖霊降臨後第4主日

        
聖書 : ヨブ記             38章  1〜11節
             詩篇             107編 1〜3節、 23〜32節
             コリントの信徒への手紙U  6章  1〜13節
             マルコによる福音書      4章 35〜41節

        
説教 : 『 この人は 一体 何者だ 』  木下 海龍 牧師 (代読説教:大石兄)
              
          教団讃美歌 :  67、 187、 312、 228


 姿かたちは普通の人間と何ら異なる所がないにもかかわらず、その語る言(ことば)、行う全てが常識を超え、
人知を超えた出来事が眼の前で行われた時に、人は驚きの言葉を発するものです。
 まさに弟子が発した「いったい、この方はどなたなのだろう。」と言った。 この言葉です。

 イエスは、譬えでもって多くを教えて来られたのですが、
ここでは実際に、荒れ狂う嵐の自然現象を鎮めた出来事を記した箇所です。
マタイ福音とルカ福音にも並行記事があります。
 大きな擦り鉢のような盆地の底にあるガリラヤ湖では、
しばしばこうした突風が起きて、漁師たちが命を落とすことがあったようです。
弟子たちは艫(とも)の方で眠っておられたイエスを起こして叫んだのです。
先生、わたしたちがおぼれてもかまわないのですか」と。
マタイでは「主よ、助けてください。 おぼれそうです」、ルカでは「先生、先生、おぼれそうです」と。
「このままでは、溺死してしまう!!」と死を覚悟した瞬間であったのです。
この奇跡によって、彼らは命拾いをしたのです。
自然現象に一時的に逆らってまでも、イエスは弟子たちの命を救った奇跡がここで起こったのです。
 この出来事は、弟子の全生涯の底流に流れ続けるに至ったのです。
なぜ自分は助かったのか。
なぜ自分はあの時に生かされたのか。
この思いは今の私たちにも起こりえる思いではないでしょうか。
後に、イエスの福音を伝える弟子たちのほとんどが殉教するのです。
ヨハネ一人が流刑になったのですが他の弟子は、宣教活動の中でみな殺されたのです。
ペテロはローマで逆さ吊りの十字架刑の処刑で、
ヤコブはインド伝道に於いては鋸刑で処刑されたと言われております。
 イエスの十字架刑を前にして、裏切り、逃げ出した自分たちが助けられ、
生かされたのは何のためだったのかと反芻しながら弟子たちは己の使命を明確にしていったのであります。

 さて、今の世界の課題に展開しましょう。
今蔓延しているコロナ禍は人為的なミスや不注意な要素がなかったとは言えません。
発生の根源には、自然界と人間界とのかかわり方に、乱れた素因が人間の側にあったこと、
その上で人の体にはその免疫力が無いところに、コロナウイルスが侵入したと言われています。
さらに一つの國だけでは、成り立たないグローバルな国際文化と経済活動の仕組みが、
短期間に世界中に蔓延することになりました。
飛行機で行き交う今の時代は、もはや海に囲まれた島国日本でも、
砂漠の中の国々であっても人が行き交う文化圏では感染が拡大したのです。
 発生のきっかけは、
自然界の哺乳動物の生息地と人間界との境界線を人間側が侵害した結果のウイルス災害と言えます。
コロナ禍にも拘わらず、生命体系の違っている植物である蒲公英や鉄線は
例年と同じように美しく咲いている様子を見るにつけ不思議な気がします。
 「先生! 助けてください!このままではおぼれ死んでしまいます!」と弟子たちが叫びました。
この叫びは死の恐怖に直面した人の祈りなのです。
その声にイエスは起き上がって、嵐を鎮めたのです。
 教会は出来る限りの策を講じつつ、コロナ禍の終息とそれの早やからんことを神に祈るのです。
多くの老若男女が苦しみながら命が奪われているからです。
 祈ったからとすぐにその結果が祈り手の願いどおりになるとは、科学的に証明されるものではありません。
それでも、ひたすらに人知を超えた神を信頼して祈るのです。
自分の役割を放棄するつもりは全くありませんが、先ず、ここでは、コロナ禍の早い終息を祈るのです。
 人知を超え、人の英知を超えて、神の介入を願っているのです。私も然りです。
 神を信じる信仰者は、たとえ笑われると思っても、それを祈るのです。
神様まかせにしていると揶揄されることを知りつつも、そうです。
祈るのです。

 昨今の地球は、異常気象現象によって地球規模の温暖化や
局所豪雨による浸水、河川の反乱によって命の危険と近未来の人類に大きな危機が予測されております。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは16歳の高校生の時に、
この環境危機状態を放置している大人の世代に抗議して、一人で登校拒否などの行動を起こして、世界に訴え続けております。
世界中の若い層に支持が広まり、日本でも各地で開催されました。
私も彼らの純粋な感性に促されて、一緒に行進にしたことがあります。

 イエスが激しい突風に向かって、風を叱り、湖に、「黙れ。静まれ」と命じました。
 今の時代状況であるならば、各国の環境破壊を真剣に考量せずに、
これまでと同じ政治行動をとる為政者や、世界的な異常気候をもたらしている生産形態に対して、
それをやむを得ないことだと放置している責任者層に対して、その怒りの矛先が向けられたはずです。
「黙れ!! 近未来の人類のために「静まれ!!」と、命じた、はずです。
いや、今まさに命じておられます。
 ロゴスによって宇宙にある凡てのものが造られました。
それははなはだよかった!! 
それが進歩と豊かさを理由にして地球環境を侵食して、近未来の地球の環境破壊を今なおも続けています。
今、人類が住む自然環境と人類共同体はまさに崖プッチに立っています。

 生存を脅かされた弟子たちが叫び、助けを求めたように、地球の自然環境の秩序が崩れる危機のこの時に、
創造者ロゴスであるイエスに祈願して、その上で、行動を起こすのです。
 我々は20―21世紀の豊饒な生産物を享受しながら、環境破壊の共犯者になっているのです。
改革のために一人ひとりが声を挙げるべき時代です。
その改善策を軟着陸させるには100年の期間を要すると見込まれています。
一世代では成し得ないが故に、その声を次の世代へと繋げて行く行動の時が今なのです。
まだ間に合うであろう時が今であります。
 我々の身近では、 その指針と行動の青写真は見田宗介・真木悠介氏によって描かれて、
山口周氏に受け継がれて展開が始められていると、私は見ております。

 「先生! 助けてください!このままではおぼれ死んでしまいます!
この時の弟子の言葉は我々の「祈りの叫び聲」ではないでしょうか。
さらに 「いったい、この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか
と叫ぶ弟子の言葉は、ロゴスである御子イエスへの讃美の歌ではないでしょうか。
 憐れんでください、主よ。 
コロナ禍に苦しみ病む一人ひとりを助けてください。
地球環境を破壊から守るために闘う人々の傍らにお立ち下さい。 
     アーメン

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≪ヴィヴィアン・リーチ氏がコロナ・ウィルスの視点で発した私たち人類への手紙≫

 『コロナ・ウイルスから人類への手紙』


 地球は囁きました、でもあなたは耳を貸さなかった
 地球は話しました、でもあなたは聞かなかった
 地球は叫びました、でもあなたは耳を塞いだ
 そして、私は生まれました・・・
 私はあなたを罰するために生まれたのではありません・・
 私はあなたの目を覚ますために生まれたのです・・
 地球は助けを求めて叫びました・・・
 大洪水、でもあなたは聞かなかった
 燃え盛る火事、でもあなたは聞かなかった
 猛烈なハリケーン、でもあなたは聞かなかった
 恐ろしい竜巻、でもあなたは聞かなかった
 汚染した水により海の生き物が死んで行く
 警鐘を鳴らして氷山は溶けて行く、
 厳しい干ばつ、
 そんな時、あなたは地球の声を聞こうとはしなかった
 地球がどれほど悲観的な危機にさらされていても
 あなたは聞こうとしなかった
 終わりのない戦争
 終わりのない貪欲さ
 あなたはただ、自分の生活を続けていた
 どれだけの憎しみがそこにあろうと
 毎日何人が殺されようと
 地球があなたに話そうとしていることを心配するより
 最新のiPhoneを持つことの方が大切だった
 でも今、私はここにいます
 そして、私は世界のその軌道を止めました
 ついにあなたに耳を傾けさせました
 私はあなたに避難を余儀なくさせました
 私はあなたに物質的な考えをやめさせました・・
 今、あなたは地球のようになっています
 あなたは自分が生き残ることだけを考えています
 どう感じますか?
 地球を燃やして・・私はあなたに熱を与えました
 汚染された地球の空気・・私はあなたに呼吸への課題を与えました
 地球が毎日弱って行くように、私はあなたに弱さを与えました
 私はあなたから快適さを取り除きました
 あなたの外出
 あなたが以前は忘れていた地球とその痛み
 そして私は世界を止めました
 そして今・・・
 中国の空気はきれいになり・・工場は汚染を地球の空気に
 吐き出さなくなり空は澄み切った青色に
 ベニスの水は透明になりイルカを見ることができます。
 なぜなら水を汚していたゴンドラを使ってないから
 あなたには自分の人生で大切なものは何かを考える時間が出来ました
 もう一度言います、私はあなたを罰しているのではありません・・
 私はあなたを目覚めさせるためにここにいるのです
 これが全て終わったら私は去ります・・どうか、これらの瞬間を覚えておいてください
 地球の声を聞いてください
 あなたの魂の声を聞いてください
 地球を汚さないでください
 争うことをやめてください
 物質的なことに気を取られないでください
 そして、あなたの隣人を愛し始めてください
 地球とその生き物たちを大切にし始めてください
 何故なら、この次、私はもっと強力になって
 帰って来るかもしれないから・・・

        コロナ・ウイルスより

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