2024年 8月 18日 聖霊降臨後第13主日(緑)
聖書 : 箴言 9章 1節~6節
詩篇 34編 10節~15節
エフェソの信徒への手紙 5章 15節~20節
ヨハネによる福音書 6章 51節~58節
説教 : 『 時をよく用いなさい 』
木下海龍牧師
教会讃美歌 : 374、 470、 333、 410
「時をよく用いなさい」
「与えられた時を活用しなさい」フランシスコ会訳
この個所で使われている「時」はギリシャ語の「カイロス」が使われております。
他に「時」を言い表す言葉に「クロノス」があり、時の長さとか、年代とかを表す場合に使われます。
「カイロス」は与えられた時・チャンス・機会などを表す言葉です。
「カイロス」の使用例を挙げておきましょう。
パウロは獄中から励ましの手紙を送ったのです。2テモテ4:2
「折が良くても悪くても励みなさい。とがめ、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。
」
「御言葉を宣べ伝えなさい。善い時にも、悪い時にも、常にこれに専念しなさい。」フランシスコ訳
「恵みの時(カイロス)に、わたしはあなたの願いを聞き入れた」Ⅱコリント6:2
「時(カイロス)をよく用い、外部の人に対して賢くふるまいなさい」コロサイ4:5
この説教要旨の作成中に気を引く文書に出会いました。
< 人生の醜(ひどい)い真実とは何ですか? >
映像制作者が2024年7月13日の英語版で回答した文章です。
Sourojeet Chakraborty's answer to What are
some ugly truths of life?
【回答】結局のところ、何もかもが無意味になる!
< 以下引用文からの転用 >
祖母との最後の会話は、忘れる事の出来ないものでした。
祖母は、その頃、病院の集中治療室で治療を受けたばかりでした。私は祖母に、こんなにも死期が迫っ
ていて怖くないのかと尋ねました。
無神経な質問だと分かっています。しかし、弁解させていただくなら、私は愚かな12歳の少年でした。
祖母は私に微笑みかけ、「怖くないよ」と言いました。驚いた私は、理由を詳しく教えてほしいと頼みま
した。
祖母:「それはね、60年なんてあっという間に過ぎてしまうからなのよ。定年退職したら……それ
まで何をしていたかなんて誰も気にしない。親子関係がよければ子供はあなたのしてきたことを
気に掛けてくれるかもしれないけどね、正直それだけよ。」
私:「本当にディダ(ベンガル語で祖母)?」 < ベンガル語に関して口頭で少し説明する >
祖母:「うーん、アマル・ショナ(私の愛しい人)……そう言う事だから、欲張りすぎたり、冷酷すぎ
たり、感情的になり過ぎたりしないよう他人を気遣いながら、自分自身の人生という旅を楽しみな
さい。 覚えておきなさい、最後には何もかもが無意味になるんだからね。人はね、一人で生まれ
、一人で死ぬんだよ。でも、目的地がどこであれ道中が楽しければ、それは良い旅なんだよ。」
私:「OK、ディダ。今の言葉は絶対に覚えておくよ。」
それから、祖母は瀕死の病床にあったにも拘らず最大限の愛情と気遣いで、私にロッソゴラ(ベンガル
の甘い珍味)を手ずから食べさせてくれました。私は家に帰り、その夜は熟睡しました。
翌朝、祖母が亡くなったと知らされました。穏やかな笑みを浮かべて逝ったという事でした。
私は錯乱し、意味もなく狂ったように泣き叫びました。
<以下は回答者の注釈文>
誕生→幼少期→学校→大学→仕事→高位の学位(多分)→人間関係→パートナーと同居(おそらく結
婚)→育児(望むなら)→退職・引退→余生を楽しむ→→死。
人生の旅をできる限り楽しんでください。何故ならいつか、あなた自身以外、あなたがしたことに誰も関
心を持たなくなるからです。
私は祖母の面倒を見ることができませんでしたが、両親とは共にいます。永遠に。以上
この映像作家は、自分が経験して来た人生から、質問者に、助言と人生観を語りました。聴くものが納
得して受け入れやすい内容だと思います。私自身も全くそうだ!!と 受け取りました。
それと同時に、主イエスを信じた私にとっては、その人生の旅路を楽しむ生き方に賛同しながら、
イヤ!! その先があるのだ!! 主イエスが約束された「天国・神の国・永遠の命」の領域へと招か
れてゆくのだ!!それこそが、十字架刑による死の闇の先に光り輝く復活の世界を明らかに示された
のだ。
現代科学の最先端の量子物理学は、二千年前の古代人である宗教的天才が、その宗教的直覚によっ
て「天国・神の国・永遠の命」と表現した領域を「ゼロポイントフィールド」仮説でもって、パラレルな世界
の存在を述べております。宇宙の生成と個人がこの世界で生きた一切の記録と記憶がパラレルに存在
する領域について論述しているのです。役割を終えて限界に達した肉体から、その人の意識はパラレ
ルに存在するもう一つの領域へと移って、そこで新たな歩みを創め、さらに成長し、発展してゆくのです。
イエスの十字架と復活はその事実を証言しているのです。
人が死ねば、すべてが空しく、存在しなかったかの如くになってしまうのだ。とは、受け取らないのです。
最近、スマホのゲームが上手くゆかず、ソフト代金を払ったのだけれど、諦めかけていました。
そうした時に、<アイシュタイン の名言集>からの言葉に出会いました。
「諦めない限り、それは失敗ではない」 「失敗とは、進行中の成功である」
この私の例は、些細な事例です。手を付けたあれもこれもが、未だに仕上がっていませんが、
成功に向かって進行中です。ハイ!!
そのように受け止めて、与えられた時「カイロス」を上手に活用して、歩みを進めましょう!!
台風7号による、停電などのアクシデントを気にして、何時もより早めに説教要旨を送った後で、
「本のひろば 2023年12月号から 出会い・本・人 に掲載された文章を読みました。
「時は金なりとは?」エンデ『モモ』再読 宮谷尚美(国立音楽大学音楽学部教授)
その文章の最後のくだりに記されていた文章に出会い、説教要旨の原稿を未だ送付していなかったな
ら、この文書を紹介しても良かったかな!!? と思いました。
「時間を節約して稼ぐことのみに注力する人間の生活はみるみる荒んでいく。切り詰められるのは、友
情、や愛情から心をこめて他者と分かち合う時間だからである。だから本当はこうした時間の中にこそ
、自己の内面に出会いと決断の時(星 の 時 間)。すなわちカイロスが生じる。『時間とは生き
るということ』というエンデのメッセージが こんかいの再読でひときわ心にしみた。せわしない自分を反省。
以上
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