月刊サムソン 83年11月号(bP6)
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私、男色の王様です
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その1・因果は巡る男も巡るものだと思うべし
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文/金田中重太郎
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前口上

 なぜ、私が「男色の王様」である、などと突然言い出したのか、ということについて、私は少しのべなければならない。

 ひとことで言えば、他に言いようがないからなのである。つまりこれが、「私は同性愛者の王様である」とか「私はホモの王様である」とか言うのであるのなら、これはもう読者諸兄から、「バーカ、テメエなんぞ誰が!」とか「豆腐の角に頭ぶつけて死んじまえ!」なんてなことを言われるのがオチだが、よくごろうじろ。私は「男色」の王様なのである。

 男色とは存在を意味してもいず行為のみに限定された意味を持つことばでもない。ちょうどそのことばの意味が、ある人の「男色」についての認識の巾と同じように、広がったりせばまったりする、まさに”男色的=性的”なことばであるからして、私は私の男色についての認識に関しては”王様”でしかないのである。

 いや、諸君。

 私のこのような言い草を、ひまな野郎のことば遊びと思わないでほしいのだ。
 このことを説明しようとするとそれだけでこのごく限られたスペースが埋まってしまいそうなので、これについての議論は横に置いといて、さて諸君。

 要するに私は、私の男色についての認識の論理を検証するために、多くの人々の性の実態を見聞きし、そして自ら体験して来た。それは実に人類史を辿るが如き果てしのない旅であると知りつつ、私の学問的欲求は私を知識の荒野へと駆りたてるのである。

 つまり私は、個々の人々が黙して語らない男色の種々相を、その人々にかわって探りそして開陳してあげようというのだ。それを開陳することによって、ある人はホモとしてのアイデンティティを確認するかも知れないし、またある人はホモとして生きる方途を見出すかも知れないし、またある人は男色など性の一側面にすぎないと安心したりがっかりしたりするやも知れない。

 否、人は私のこうした試みを単なる覗き見趣味であるとそしるやも知れぬ。いやいや、そのように志低き人々には言いたいことを言わしめよう。先駆者は常におとしめられるのが世の習いなのだ。私がこれから語るすべての物語は、俗にして聖、すべて私のまさに学問的希求によって知らしめられたものであり、それはつまり聖的であるが故に、なべて世俗に還元されなければならぬという意味で俗であり、それを語る私はつまり聖なるものを手に握る者つまり王なのである。

 おわかりかな?

 なるほど、このように短い説明では分るのも難かしい。では諸君、我とともにこの世の男色相の中へ足を踏み入れよ。さすれば我が語らんとするところも判然とすべし……なのだ。

 ただここで私は注釈しておかねばならない。いかに聖なる動機に満ち満ちていようと、この世に生きとし生ける人々の実際の物語であれば、いろいろと世を忍ぶ事情もあるというのも、これもまた男色的世界の現実であれば、登場人物の名前は全て仮名、年令、場所なども事情に応じて変えさせていただいているということだけはご理解いただきたいのである。

 それを分っていただければ、ではでは、いざこの世の色地獄へ、この私がメフィスト役をかって出ようではありませぬか。


 
色の道は追いかけっこの”輪”!であること

 不条理にも神はこの世にモテル男とモテナイ男を作ってしまった。ただこの男色世界においては、女色世界とちがって一種えもいわれぬ基準があり、二枚目即もてるとは限らないのである。

 一般的にいって若く清潔で素朴な感じの青少年ならだいたいもてる。しかしそれと同じくらいにモテル人に、その正反対、鬼瓦みたいな顔をして、デブでガニ股のジサマもいるのである。

 極端から極端のその中間に沢山の人がいてワイワイとやっている。だが面白いのは、そのうんとモテル極の人が、自分の理想をつかまえられるかというと、必ずしもそうではないということである。

 美少年好きの美少年なら、まあだいたい相手をつかまえられる。デブ好きのデブであれば、これもまあだいたい幸せだ。しかし、絶世の美少年でありながら、その少年の好みがフケデブ専で、おまけに少しヨゴレっぽいのがいいと来ると、これは難かしくなる。その反対に、場所を誤らずに登場すればたいへんモテルであろうデブおやじが、なまじ美少年好みであるばかりに、美少年ばかり集まるバアへ行って、バカにされて半ベソかいて帰って来たりすることもある。

 世の中案外こうしたことが多いのだ。AがBに岡惚れしBに貢ぐ。そのBはCに惚れていてAに貢がれたものをCに貢ぐ。ところがそのCはAに惚れていてAに貢ぐ……こんな笑い話みたいな話が、実際にあるのである。神様は不条理にもつじつまをつけているのである。

 これから話すできごとはそれとちょっと違うけれど、そのためにスムースに行ったある挿話なのである。

 
 岡崎青年と西方中年氏は交際を始めてすでに三年経っていた。岡崎青年は西方氏を嫌いではなかったが、西方氏の思いの激しさにいささかへきえきしているきらいが無いわけでもなかった。二人は三年たっても、週一度のセックスを欠かしていなかったし、週二度は飲みに出かけたりしていた。

 西方氏は平気のようであったが岡崎青年は、西方氏の家庭のことが心配で、ときどき「少し遊び過ぎではないですか?」と心配するのであったが、西方氏は、「男が飲み歩くのは男の甲斐性だ。オレは女房にそう教育してある。力の無いもんは飲み歩くことだってできないってね、ワ八八ハ」

 実は岡崎青年はあまりお酒が強くない。むしろ西方氏とつきあうようになってから酒が少しずつ強くなっていったくらいだった。だから本当はバァを飲み歩くのもそんなに好きではなかったのだ。

 しかしそういった岡崎青年の懸念は逆に西方氏に疑念の渦を巻き起こしていったのである。『この子はもうオレに飽きて来たんじゃないだろうか?だから家のことなどの心配にかこつけて少しずつ離れようとしているのではないだろうか?このごろは飲みに出てもちっとも楽しそうではないし……』

 けだし愛する者は疑い深いのである。そんな二人がある時バァにいたとき、他の客とばかり話す岡崎青年が西方氏を放ったらかしにしているように感じて、西方氏は撫然とした顔で水割をぐびぐびと飲んでいた。

 西方氏はよくモテる方で酒も強くまた好きだった。

 そんな西方氏を、西方氏とほぼ同年輩の中年男がじっと見つめていた。いつか西方氏もそれに気づき、視線が合ったとき目礼をすると、相手はにっこりと笑いかけて来た。

 その時西方氏はこの相手が西方氏に好意を持っていることに気づいた。そしてそれに気づいた瞬間、西方氏はとんでもないことを思いついたのである。それは岡崎青年の愛情を試してやろうという、いってみればまことに幼い感情のせいで、いい中年男の考えることではない。

 まことに、恋は人を盲目にするのである。

「よう、よう、ねえ、ちょっと」

 と西方氏は隣りの岡崎青年を肘で突ついた。

「あそこの人、知ってる?お前の理想なんじゃないのか?こっちを見てるけど、お前知ってんならここに呼べば?」

「あ、あの人?あの人は本名知らないけど通称セーさんと呼ばれてる人。俺はイケルけどあの人は西方さんみたいな中年好きだから俺じゃダメなの。見てるのは俺じゃなくてあんたさ。西方さんが呼べば喜んで来るよ」

 そのとき岡崎青年は岡崎青年で、若者らしい打算をそのとき腹の中でしていたのだ。

『西方さんを利用すれば、あの人を食べられるかも知れないな』

 西方氏が何か言う間もなく潤達な岡崎青年は通称セーさん、本名清野さんの所ヘビールを注ぎに行き、ついでに耳元に囁いた。

「あの人が一緒に飲みませんかって」

 清野氏は一も二もなく西方氏の隣ヘビール瓶を持ってやって来た。

「しめしめ」と思ったのはしかし、一人ではなかったのである。

 その夜遅くなってから三人はその店を出た。三人とも意識的に深酒をしたみたいだった。三人とも腹の底に秘めた思惑を持っていて、三人ともそのことが照れ臭かったのである。三人はそのままゲイホテルヘと行った。

 いちおう形は、西方氏と岡崎青年は個室に入り、清野氏は大部屋に行くことになったが、岡崎青年も西方氏も、交互に清野氏に、

「せっかくだから部屋に遊びにいらして下さいよ。部屋でまた飲みましょう」

 と言うのだった。勿論清野氏もそれが何を意味するかは知っていた。

 清野氏にすれば、目的は西方氏だけだった。岡崎青年は清野氏の好みからすると若すぎる。それに岡崎青年と清野氏は、何となくすでに顔見知りだったので、照れ臭くもあった。しかし西方氏一人だけを独占するわけにはいかない。それにまあ、岡崎青年だって気性は悪くはない……。

 清野氏はそんなことを考えながらゆっくりとお風呂につかり、おチンチンもお尻の穴もきれいに洗った。清野氏の年齢は働き盛りのせいかゲイホテルでは同年代の人はあまり見なかった。だからなのか、湯槽でもサウナでも若い人がモーションをかけてきた。酔いが回って鷹揚な気分になっていた清野氏は、若者たちがさわりたいだけさわらせてやったが、放出寸前になると立ち上がって、風呂場から出て了った。

 大部屋を覗きもせず、清野氏は西方氏らの部屋をノックした。鍵はかけられていず、二人は部屋の中でテレビを見ながら缶ビールを飲んでいた。湯あがりの酒のせいばかりでもあるまい、二人とも目がとろんと濡れていて、はだけられた浴衣の中に見える肌は紅潮していた。

 清野氏の視線は西方氏の肌に吸い寄せられ、岡崎青年の視線は清野氏の股間に集中する。西方氏だけが照れた笑いを浮かべて清野氏と岡崎青年を交互に見較べていた。二人は清野氏にも缶ビールをすすめた。さんざん飲んだあとだったが、風呂のあとの冷たいビールはうまく、つい心がハイになってしまった。

「セーさんは西方さん好きなんでしょ。僕見てるから二人で遊べば?」

 という岡崎青年のことばにもついつい嬉しくなってしまうのだ。

「いや、そんな……。あなたと西方さんの関係も知ってるし、そんなお二方の間に割り込むなんて……」

「あ、僕は気にしませんよ。やりたいことはやった方がいいんじゃないですか?」

「こらあ、ナァちゃん(岡崎青年のこと)、あんまり下品なこというなよな」

 と、西方氏は言いつつ、しきりに照れている。今、西方氏は、やっぱりまずかったかな、と反省しているのである。

『ナァちゃんはオレとセーさんをやらせてそれを見て楽しもうとしてやがる……』

 どうも思惑と外れてしまったのだ。西方氏にもおぼえがある。理想でないもの同士のセックスを見たって、ちっとも興奮しないし嫌悪感さえ沸くが、理想同士のヤッてるのを見るのっくらい興奮するものはないのだ。

『こりゃあ、はめるつもりがはめられたかな?』

 そう思う西方氏の表情を見て、清野氏は一瞬不安そうな表情をした。清野氏は清野氏で『やっぱりオレじゃダメなのかな?』と思ったりしたのだ。

「さあ、もうそんなこといいからそろそろ寝ましょう、よ。セーさんだって、大部屋に今ごろ行ったって寝られやしないでしょ。ここに泊まってきなさいよ」

 そんな岡崎青年のことばに助けられて、三人は、西方氏をまん中に、とりあえず川の字になって横になった。テレビは点けたまま。最初に積極的だったのは岡崎青年だった。彼は清野氏に見せつけるように、西方氏の大きな一物を(西方氏のは大きかった)引っぱり出すと、これ見よがしに手でもてあそび始めたのである。

 清野氏は興奮した。

『大きい!これを受け入れたいな。それになんてきれいな身体と肌をしているんだ』

 岡崎青年は岡崎青年で、『清野さんって体もいいし、何よりお尻の形がいい。あの人のバックやりたいな』と思っている。

 肝心の西方氏は『もう、どうとでもなれ』なのである。でも、岡崎青年が、案に相違して淡々としているのを見て、少しは安心しているのだった。『この子はオレのこと飽きて来たんじゃなくって、元来こんな風な子なのかもな』

 と、突然岡崎青年の手が清野氏の股間のものをむず、と掴んだ。

「あ、元気」

 そういうと岡崎青年は、今度は西方氏の手を清野氏の股間に運んだのである。『あっ』

 清野氏はもうすましていられなかった。ずっと以前から西方氏に想いを寄せていたのだ。岡崎青年とデキてしまったと知って、西方氏の好みの年齢ではないらしいと分って、一時期はすっかり諦めたつもりでいたのだが、西方氏の姿を見かけるたびに胸がうずいてしまうのだった。

 清野氏だってバァでは良くモテた。しかし清野氏の好みはなかなかいなかった。妥協していろんな人とつきあっているうちにだんだん巾が広くなっては来ていたが、やはり西方氏が一番良いような気がした。それなのにそんな西方氏が、どこにでもいるような、ありふれた若者の岡崎青年に、あんなにまで身も心も捧げ尽すといった感じでつきまとっているのが不思議だった。あんなにモテる人が、何もあんな子とつきあわなくたって……。

 そんなつのる思いが一挙に吹き上げて来て、清野氏はヒシと西方氏に抱きつき、夢中になって西方氏の唇を求めた。西方氏は拒絶することもなく、清野氏の唇を受け入れ、いやもっと積極的に舌を入れて来た。

 清野氏の理性の枠がガタンと外れた。もう岡崎青年が見ていようが何しようが平気だった。キスしながら西方氏の手が清野氏の浴衣を身体からはがし取って行った。その西方氏の浴衣は岡崎青年が脱がせている。

 清野氏は四つん這いになって西方氏の股間に這いつくばり、西方氏の大きなものを口に含んだ。そんな清野氏を見て岡崎青年は西方の乳首を舌で愛撫してやっていたが、清野氏が西方氏の股間に深々と顔を突っ込み、西方氏の玉袋をしゃぶり、会陰部からその奥の薄桃色のひだの部分にまで舌を這わせるのを見ると、たまらなくなったように西方氏のものを口に含んだ。

 西方氏は、イチモツとアナルの両方を舌で責められ、快感に震えていた。もう罪悪感はなくなっている。『二人に責められるのも良いものだ』などとまで考えている。清野氏の舌はしつこいまでに西方氏のアナルの奥に入り込もうとする。西方氏はそこが感じるのだ。それに岡崎青年のフェラチオはとても上手なのだ。どこで覚えたのか、嫉妬するほどである。『若いくせに……』

 思わずイキそうになって西方氏は身悶えし、体を反転しそのついでに清野氏を押し倒し、今度は西方氏が清野氏の乳首を唇と舌で愛撫し始めた。

 清野氏は実は受身の人だった。彼は乳首もわき腹も、もものつけ根も、アヌスも、すべて敏感にできていたのだ。いつごろからそうなったか分らないが、少しずつ少しずつ、いろんな人にいろんな性感帯を開発されていったような気がする。

 若い人ともつきあったがどちらかというと同年輩から上の人だったから、セックスの手管に長けた人が多かったのだ。そういう人達が、それぞれの得意の技を清野氏の体に覚えさせていったのだ。

 西方氏が今度は清野氏のものをしゃぶり始めた。清野氏のものは普通の大きさでちょっと小ぶりだ。そして岡崎青年が清野氏の乳首を唇と舌で愛撫し始めると、西方氏も身体を上に上げて、二人で清野氏の左右の乳首を舌で歯で唇で愛撫するのだった。

「あっ、あっ」

 清野氏は思わず声を立ててしまう。西方氏の右手にはいつの間にか唾液が塗られ、それがねろねろと清野氏のイチモツの一番感じる部分をやわらかく摩擦するのである。その手が岡崎青年のものにかわったかと思うと、西方氏のそのぬるぬるした手は清野氏の袋をもみ始め、じわじわと下がっていって、その親指が清野氏の秘門を軽く押し続ける。

 清野氏は四ヶ所を同時に責められ、快感と幸福感に酔い始めていた。あんなに憧れていた人に、たとえコブつきとはいえ、望んでいたことをやってもらえているのだ。それにこのコブの方も、なぜかセックスが上手い。ひょっとしたら西方氏以上なのだ。

 清野氏は目をつぶったままあえいでいる。素裸の二人の男が自分の身体をもてあそんでいる姿を想像するだけで興奮するのに、今、自分の分身は西方氏の口に納められ、両足が上に持ち上げられる。

『あ、恥ずかしい、こんな恰好』と思わず抵抗しようとすると、二人の手で抑えつけられた。

 そこに、岡崎青年のものと思われる舌が、持ち上げられた両太腿の間からこぼれ落ちている玉袋の上を軽くざらざら這い回り、その袋の下の会陰部を何度か往き来し、ついに彼の恥ずかしい秘めたる孔にその舌が達したのである。

 そこに軽く舌がふれたとき、清野氏は電流に打たれたようにピクッと体を漂わせ、それは両足を支えている二人にも伝わった。

 指の感触とは違う、あの肉棒とも違う感触が最初の一触れそこに触れるとき、清野氏はいつも電流に打たれたようなショックを感ずるのだ。そうしてあのあとのぬめぬめした微妙な感覚。

 清野氏は西方氏の口内に憤出させないように油汗を流しながらこらえた。一番感じる所なのに、今まであまりやってもらえなかったこと。そのうえに今まで思っていた人にフェラチオされている……ああ……至上の幸福と言ってよかった。

 しかし次の瞬間清野氏はドキンとしてしまう。明らかにクリームと思われるヒンヤりしたものが自分の後庭に塗りつけられ、熱い肉棒のようなものがそこに押しつけられている。それは今の西方氏の位置では不可能な態位なのだ。岡崎青年だ!しかもそれを西方氏がすぐ間近に顔を近づけて見ている!

『あ、それだけはダメ、ダメだ、そこは西方さんじゃなきゃダメだ』

 清野氏は激しく尻を振って抵抗を示した。それを見て岡崎青年はあっさりと引き下がった。かわりに西方氏が立ち上がったかと思うと、岡崎青年は西方氏のその大きなものを口に含んだ。そうして岡崎青年の唾液で西方氏の肉棒がすっかり濡れさせられると、西方氏は膝立ちになり、今度は岡崎青年の両手によって胸にまで引き上げられている清野氏の両足のつけ根、双丘の間に眠っていたかのような秘かな肉の孔へ、その太いものを押しつけた。

 今度は清野氏も抵抗しなかった。西方氏のその太い肉柱はその先端部がまた大きいため少しばかり入るのに難儀していたが、一度道をつけられて引き抜かれ、再び清野氏の体の中へ没入し始めたときはやすやすとその根元までくわえ込まれていったのだった。

 すでにそのとき清野氏の両脚は西方氏の両手に委ねられ、岡崎青年はまじまじと、清野氏の秘孔の奥深く入り込み、また抜き出されるその有様を感嘆と興奮の眼差しでみつめていた。

 そして興奮の極みに達した岡崎青年は、しばらく口で清野氏のいきり立ったものをなめまわしていたが、そのうち、ガバと身を伏せると、西方氏の尻の下に顔をあお向けにした。すると今度は下から、西方氏の清野氏の中への抽送が見えるのである。

 岡崎青年は抽送する西方氏の股間でゆれる袋を舌でとらえ、なめまわした。

「あっあっ、そんなことしたらすぐ行っちゃうよ」

 という叫びにも似た西方氏の声に、今度はその舌を西方氏の双丘の割れ目の中に入れ、菊座を探しあてようとする。

「あ、あ、」とよがるのは西方氏。

 すると岡崎青年は、西方氏の菊座にクリームをぬり込め、いきり立った自分のものを、中腰になっている西方氏のその中へ、めりめりと埋め込み始めたのである。

 サンドイッチになった西方氏は最初苦痛の声を上げたが、すぐに快感の波にとらえられ、岡崎青年の上手なリズムのとり方に、適度に後庭を刺激され、またその肉棒もまた清野氏のやわらかな後庭の肉襞に包まれて、あっけなくその絶頂を迎えつつあった。

「あ、あ、イッちゃう、イッちゃう」という西方氏の切ない声に、岡崎青年は自分のものを一層強く西方氏の内部へ突き入れようとし、西方氏自身はもう自分で抽送運動を続けられなくて、清野氏の身体の上へ自分の身体を覆い被せてしまい、岡崎青年の腰の律動だけが二人の身体の上に伝わって来る。

 すると清野氏の一物は、自分の腹と西方氏の腹とに狭まれて、岡崎青年の律動と共に摩擦されるのである。清野氏もまた、前と後ろとであるリズムを持った刺激を受けて急速に昂まって行くのであった。

 岡崎青年の思い切った一刺しが、西方氏の前立腺を強く刺激した瞬間、まず西方氏が、「ああっ」という快感の呻きを上げて清野氏の肛内に白濁の液を射出し、次の瞬間それを感じとった清野氏の肛内の襞が清野氏の肉柱に連動し、清野氏と西方氏の腹の肌の間に、おびただしい液が吐出されたのである。

 岡崎青年もすぐそのあと、ヒクヒクという西方氏の肛壁の動きに耐え切れず、西方氏の体内にその若い命を放出していた。

 
その後三人はどうしているか

 こんなことがあったあと、一番もう一度やりたいと言ったのは西方氏であったという。彼らはその後も二、三度つき合っている。態位も新しい態位を工夫したという。

 面白いのは清野氏で、二度目の交わりあたりからすっかり岡崎青年になつき出して、ときどきは「僕のナーちゃん」などと言っているということだ。

 一番冷静なのが意外にも岡崎青年で、最初西方氏をタネにして清野氏を食おうとしたことなどおくびにも出さず、西方氏が「また三人で遊んでみようよ」と言ってもあまり乗り気になっていないという。

 しかし私が知ったところでは、この三人は奇妙な三角関係に陥っている。

 清野氏は岡崎青年のマンションにビデオを見に行くといって出入りして、いつの間にか岡崎青年とできてしまっているのだ。受身の清野氏にしてみれば、若く元気な岡崎青年のPに後庭を犯されたのが、予想以上に気持ちの良いことであったらしい。

 さらには西方氏と清野氏も二人だけでつきあっていることもあるのである。清野氏の身体の美しさと大人の落着きに、西方氏も心ひかれるものがあったらしい。


 さて諸君、理想とか好みとかいったって、所詮こうしたものなのである。これを節操がない、とか、ふしだらだ、とか批難できるだろうか。

 ちょうど私どもが、何故男を性の対象として選んでしまったのか分らないように、こうして理想とか、好みとかがどんどん変わっていってしまうということも、私達人間の心理の不可解なところでもあるのだ。

 とりあえずはこのお三方に、いつまでもうまく行くように、ついでに私もその仲間に入れてくれないか、と祈っておこう。
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