体験実記 サンフランシスコの男
                  ・・・プリーズ キャンセル フライト・・・
月刊「サムソン」1985年頃に掲載。
 異国の街で突然日本語で話しかけてきた男に案内されると、
             突然その街は理想の男達で満ちるのだった。


登場人物

●私

 六十二歳。

●ジョン

 六十四歳、170cm、82、3kg。日本人よりも日本語が上手な米国紳士。

●野口さん

 六十二歳、170cm弱、90kg超級。精力絶倫。ジョンの同棲相手。四十年間、司法関係の仕事をしていた。ジョンと五年間、日本で同棲し、無理に誘われサンフランシスコに来て三年になる。

物語
「体験実記」ということになっています。アメリカでエイズ旋風が吹き荒れた翌年というと、83年ごろの話かな?

 「私」はサンフランシスコのダウンタウンから、男の町として世界的に有名なカストロストリート行きのバスに飛び乗った。
 乗り合わせた六十四、五歳の理想の米国紳士が流暢な日本語で「私」に話しかけてくる。彼は「私」を同性愛者と決めつけている。、それに答えず黙っている「私」に、彼は日本語でしかも大きな声で、「私も、勿論同性愛者です」と云った。
 「実は私は、その住宅街で日本人のおとうさんと一緒に暮しているんですよ」紳士が私に語りかける。私の左手は、紳士の股間の上にのっており、ズボンの中からこつこつとノックする感触は私を有頂天にさせた。
 「私」は紳士の家に誘われ、そこで紳士の同棲相手の理想の日本人を紹介される。