川棚温泉物語 |
■月刊「サムソン」1984年4月〜1984年7月号に連載(全4回) |
■告白小説 (この小説は事実をもとに作った小説です) |
画 五島 玄 |
川棚温泉(かわたなおんせん)・・・山口県の西端、響灘に面し、紺碧の海と新緑の山々がつくる美しい景観に包まれた温泉。元禄六年に毛利綱元が御殿湯を創建して以来、北九州、下関の奥座敷として親しまれている。山頭火が「私の最も好きな風景である」とこよなく愛した。
豊浦町観光協会 |
■物語 |
広島でマッサージ師をしていた五郎は、十二年前の五十歳の時、秀明館の主人・彦太郎と出会う。彦太郎の太マラとでっぷり肥った体に抱かれ、骨抜きにされた五郎は、妻子を捨て、彦太郎の元に走った。
以来、彦太郎の経営する川棚温泉の旅館『秀明館』に、お抱えのマッサージ師として住み込みで働いている。
彦太郎を一途に愛している五郎を悲しませたのは、彦太郎の、 「俺だけでお前を使用するのは勿体ない。誰かに貸してお前の良さを誇りたい」という言葉だった。
そして実際に彦太郎はこの十年ほどの間に、六、七人の男たちに五郎を抱かせ、自慢した。
その中の一人で岡山で開業医をしている先生に五郎は本気で惚れてしまい、「もう一度会いたい」と彦太郎に訴え、それを渋る彦太郎に「会わせて貰えないなら、旅館を出て行く」とまで言い、ようやく三ヶ月に一度の条件で抱かれることを許されていた。 |
■主な登場人物 |
●五郎(私) |
六十二歳。マッサージ師。
十八歳のとき、按摩の師匠梅吉から力ずくで犯され、以来十年間毎日のように抱かれ、男色の快楽を教え込まれる。
結婚し、子どもを作り、男色から遠ざかって生活をしていたが、彦太郎と出会って、欲望を抑えられなくなり、妻子を捨てる。 |
●彦太郎 |
川棚温泉にある旅館『秀明館』の主人。六十四歳のでっぷりした男。
赤ら顔で童顔でいつもにこにこ笑っている。
本職の旅館業の他に町会議員を三期も務める町の顔役。
頭髪が少なく前頭部が禿げあがっているが、皮膚が厚く鼻も口も耳もぼってりと大きい。 |
●岡山の先生 |
岡山市で開業医をしている六十歳の肥満体。五郎の本理想。
四、五年前、彦太郎の命令で、抱かれる。
類い希な肥満体と巨根で、一晩中五郎をじわじわと責め通し、五郎に忘れることのできない巨根の快楽を埋め込む。 |
●卓三 |
五十歳 旅館『紅葉荘』の主人。160cm、75kgの肥満体。 |
●ユーサク |
小学校の校長を退職したばかり。男同士の遊びを覚えてまだ一、二年。
彦太郎の指示で卓三の部屋に行った五郎は、卓三とユーサクのセックスを見せつけられる。 |
●大将 |
「大将いうたら、この川棚は勿論、山口県から北九州一帯の大ボスげな。何でもヤクザの親分いう人もおるし、右翼のえらい人云う人もいます。色が少し黒くて男前でいい体してますよ。体重なんか九十キロ以上は十分あります。それに背中には刺青入れて顔は布袋さんみたいに優しい人やが、ここが太くてなあ、誰が見てもあんな太いものは見た事がない云います。何でも雁首だけ握っても手の中に入らん云います。それに大将は可愛がる時は男も女も猫の様にやさしゅうしますが、あまり可愛いいと、太マラを口の中に入れて突きさしたり、それで顔中真赤になる位叩く云います。あれはエスエムでしょうなあ。けどいい男ですよ」 |
●本田 |
六十六歳。柔道六段、剣道三段の元県警本部長。
若いときから美少年を専門のタチ役として有名な人だったが、大将に抱かれて以来、その虜となり、今では大将の愛人の一人となっている。 |