短期連載老専小説 清吉恋しや
月刊「サムソン」1983年6月号〜8月号に連載(全3回)

            画 五島 玄
■物語
 ふけ専スナック「牡丹」の常連客の丹波(58)は、一週間ほど前から「牡丹」を手伝いに来ている清吉(63)を初めて見たとき、何十年間も探していた男に出会った気がした。清吉は五十八歳の丹波が、初めて惚れた男だった。

 丹波はやっとの事で清吉を口説き落とし、ホテルに連れ込む。丹波の巨根に責められ、よがり泣く清吉。思いを遂げた丹波だったが、清吉を抱きながら彼は清吉の体に別の男の匂いを感じ取っていた。再び清吉を巨根で貫きながら、丹波はその男が誰なのかと、清吉に問うが、清吉は快感に泣き叫びながら哀願するようにただ丹波を見つめるだけで、答えようとはしなかった。

 数日後、丹波に惚れている「牡丹」のマスターは丹波に、清吉にはやくざの親分のパトロンがいることを教える。

 結ばれた後も丹波に素っ気ない態度をとる清吉、それでいて丹波の隣に座って酒を注ぎながら素知らぬ顔で丹波のものを握り、丹波を誘惑したりもする。
 清吉に翻弄される丹波にマスターは、明日、清吉の休みの日に旭湯に行けば、清吉とパトロンがいちゃついている姿が見える。それで清吉の事はあきらめなさい、と言うのだった。

■登場人物
丹波・・・・・・・ 58歳、168cm、80kg。 みかん大の亀頭の持ち主。 
清吉・・・・・・・ 63歳、160cm、70kg。
一週間ほど前から、スナック『牡丹』でアルバイトをはじめた男。
三木さん・・・ 60歳。清吉のパトロン。上野の西郷さん似。
轟木さん・・・ 60歳、160cm、90kg。
恵比寿さんのような顔の山伏。
横山・・・・・・・ 60代、ずんぐり太った背の低い男。
藤岡琢也に似ている。
冨三・・・・・・・ 53歳、157cm、65kg。
一年前から轟木に仕え、山伏の修行をしている。