男色菩薩 ■「豊漫」第7号〜第9号に連載 (全3回) 1987年 喜ばしくも悲しい色欲地獄に堕ちた男たちを
法悦に包み恋情に苦しめるのは菩薩の大慈悲か・・・・■登場人物
●私
六十六歳。自分の窯を持ち、陶磁器を焼いている陶芸師。生涯独身。
●吉田さん
五十八歳になる建築屋。楽天的で、優しい性格。奥さんとの間に六人も子どもがある。
二、三年前長男に家督を譲っているが、その実権は今までどおり握っており仕事の隅々にまで目を光らしている。
●格さん
元刑務所の所長さん。二年ほど前から吉田さんと親しくなった。
●空念和尚
七十歳。仏教大学を出ていながら、父の後を継ぎ寺の住職になる安穏さを嫌い三十年間山伏として修業したあげく、親戚の長老の説得を受けて五十歳の時寺に帰ってきた。
●三郎さん
六十六歳。駅前ホテルの掃除係。
●宮本さん
熊本のやくざの親分。六十九歳。体もマラも人並み外れて大きい。