博多人形
「豊漫」第17号〜第20号連載  (全4回)   1990年〜1992年

物語
 昭和二十年代後半、 当時、三十歳になったばかりの「私」は、長崎の発展場で、四十五歳の優しい紳士に一目惚れし、駅前の旅館で抱かれる。紳士は「常二郎」という名前で博多に住んでいる人形師だった。
 常二郎さんに頼み込み、常二郎さんの家に置いて貰うことになった最初の夜、常二郎さんの博多人形を東京に行商に行っていた愛人の義夫さんがちょうど帰ってくる。常二郎さんは義夫さんの東京滞在が永すぎたのは、東京で浮気をしているからだと義夫さんを折檻する。 

 そして義夫さんの代わりに、「私」が東京へ博多人形を行商に行くことになる。
昭和二十年代後半、初めて訪れた東京は、どこに行っても仲間の集まる所があり、理想の男が次々と現われて、「私」はその男たちに身を委ね、新しい発見の喜びに身を投じるのだった・・・・。