年配肥満体に乾杯
「豊漫」第3号に掲載(?)  1986年

物語 
 「私」は公務員を定年後、鄙びた温泉街の片隅にある総二階五十坪程の木造旅館を買い取り、自炊の湯治客を泊める旅館を始めた。私の秘かな楽しみは好みの客を自分の部屋に開けた覗き穴から観察することだった。
 掃除人が必要になり、十年近くつきあっている松治を住み込みで雇うと、結果的に同棲の形となった。
 旅館は、料金の安さと、客に干渉しない方針が口コミで伝わり、順調に宿泊客を増やしていった。そして宿泊客に混じって、近郊の年配の男色者達も利用するようになってきていた。
 二人は開店二周年の催しに、「第一回肥満同好会」を企画し、熟年男色者を集めて懇親会を開くことにする。

登場人物

松治
 六十七歳で160cm、81kg。精力が並外れて強く、でっぷり肥った童顔。ウケ一筋、かなりの浮気者。