ＡＯ−１０、ＡＯ−１３打ち上げの頃から使ってみたいと夢見ていた１．２ｍディッシュをついに実現した。ＡＯ−４０のＬモード・アップリンク／Ｓ２モード・ダウンリンクの２バンド放射器を給電部に取付け、このパラボラだけでＡＯ−４０衛星通信を行うのが目的である。パラボラの骨組みを作るには、ローリングミルなどの治具や道具が必要になり普通のＨＡＭがこれを自作するには多くの困難がある。
このような事情でディッシュ使用局の交信を羨望のまなざしで聞いてきた。このまま夢で終わってしまうのではないかとあきらめかけていたところ、「自作用キット／１２０ｃｍパラボラアンテナフレーム｣が発売されていることを知り、これだ！と、即注文、宅配便で送ってもらって製作にとりかかった。
フレームキットは写真にあるように金網以外はすべてそろっており給電部支持用アルミパイプまで付属していた。フレームの組み立ては容易で、短時間で完了した。
次に、放物面を形成する網であるが、扱いが容易そうに思われたステンレスネットという商品名で販売されているステンレス網を使用してみた。虫除け網戸用スクリーンとして大量生産品のためか安価なのもありがたい。これは、メッシュ間隔が短く１０ＧＨｚ帯にも使用可能であるが軟らかく面精度を出すには工夫が必要と思われる。
１５０ｃｍ長×９０ｃｍ幅のステンレスネットを２枚用意し、横を５ｃｍ程度重ねてステンレス針金で縫い合わせ１５０ｃｍ×１７５ｃｍ大のネットにする。これをパラボラフレームにかぶせ、中心部から外側へ向かってリブに止めていく
金網はりでは、網の切断端で手を傷つけやすいので注意が必要である。フレーム円周に巻きつけるときは、網を円周よりも１０ｃｍ以上大きくなるように余裕を持たせて切断しておくとメッシュ端が手にあたらない。また、切断に使用する金切りバサミも写真のように切刃と取っ手に角度のついたものが切断端で手を傷つけなくてよい。金網のうえから取付サドルをかぶせリブとフレームを止めた後、金網をフレーム円周にあわせてハサミで切る。つぎに金網の切断端がかくれるように円周フレームにＰＶＣホースをかぶせて結束バンドでしばる。
網張りが終わったら、先に製作しておいた２バンド同芯ヘリックス放射器を給電部に取付け、焦点合わせを行う。パラボラアンテナから１０ｍほど離れたパイロット信号発生器からの微弱信号を受信して調整した。見通しのリピーターを利用してもよいが、概して信号強度が大きいためそのままでは調整しにくい。アッテネーターを通す必要がある。
Ｓモード受信コンバーターはドレークコンバーターを改造したものである。これを放射器反射板裏に取付けた。直近放射となるＬモード・アップリンクの抑圧を回避するためヘリックス給電部とドレークコンバーター入力部の間にＡＯ−４０専用受信フィルター（マキ電機ＢＰＦ−２４０３Ｓ）を挿入した。
金網素材が軟らかいため放物面に若干の凹凸ができてしまい面精度の点で多少不満が残るが、２４０１ＭＨｚ、Ｓ２バンド・ダウンリンク信号は十分な強度で受信でき、ＳＳＢおよびＳＳＴＶでの交信状態は、以前使用していた４５ｃｍオフセットディッシュ＋４．５ターンヘリックスのときよりかなり改善された。また、１２６９ＭＨｚ、Ｌ１バンドでのループテストでは、１７エレ・ループ八木と比較して数ｄＢ強い戻り信号であった。
自作用キット / 120cmパラボラアンテナ フレーム（マキ電機 15,000円）
アルミパイプ：１２ｍｍΦ 放物面曲げ済み，取り付けサドル、ネジつき ／ 外枠パイプ：１６ｍｍΦ 曲げ済み接続金具つき ／ センター・金具：アルミ３．０ｔ×１３０ｍｍ 孔あけ加工済み ／ マスト取り付け金具：アルミ３・０ｔ ／ クロスマウント：２．０ｔ ステンレス Ｕボルトつき（５２Φ） ／ センターアルミフランジ：５０ｍｍ×３０mm ２０Φ孔あき
ステンレス網
商品名：ステンレスネット(750円/m)
規格：メッシュ#15（網目間隔1.5mm），線径0.15mm，幅90cm
フレームへのステンレス金網はりつけ手順
１．たるまないよう中心から円周方向へ向かって
金網をリブに止めていく
２．金網をフレームに巻いてクリップで仮止めする
３．金網のうえから取付サドルをかぶせリブとフレ
ームを止める
４．金網をフレーム円周にあわせてハサミで切る
５．円周フレームにＰＶＣホースをかぶせて結束バ
ンドでしばる
UPDATE:
2002/07/18， 2003/02/15
