13月13日 #最終話《終巻》
取り調べ室のブラックミラー越しに一人の刑事と医師が話をしている。
『ドクター。どうですか?』
『うむ。・・・少し私に話をさせてくれ。』
そう言うとドクターは取り調べ室に入っていった。
『初めましてマルコヴィッチさん。私はドクター・ジョンコック。脳神経専門の外科医だ。いきなりだが質問だ。これはなんだと思うかね?』
そういうとドクターはある2つの写真をマルコヴィッチに見せた。
『だからこれは政府が開発したロボットだろ!!?2つとも!』
『特徴を言ってもらえるかね?』
『なんなんだよ・・・。体格は人間とほぼ同じ。手は鎌状。植物質の皮膚。』
『・・・・・。』
ドクターは5秒ほど黙り込むと刑事に言葉を発した。
『刑事さん。間違いないだろう。手配を・・・。』
『おい!!何が間違いないんだ!!お前ら本当にふざけんのもいいかげんにしろ!!こんな事してただで済むと思うなよ!!!』
マルコヴィッチは怒鳴った。
『マルコヴィッチさん・・・。この写真は政府の造ったロボットに間違いありませんが・・・特徴は両手に機関銃、鋼鉄の体・・・。あなたの言った特徴とは異なります。それとこちらの写 真ですが・・・こちらはキャサリンさんの写真です。』
『・・・え?・・』
『そろそろお分りになられた方がいいでしょう。・・・あなたは病気です。病名は【急性幻視覚障害】。幻視覚とは物体が間違った形で見えてしまう事を言います。これは脳に残っている事ならなんでもなる可能性があります。例えば酔った時に読んだ本だとしてもです。あなたの場合はその鎌手の怪物ですね。私もその本は知っています。13の月の怪物。・・・病院に運ばれたキャサリンさんもあなたが12日の朝に13月と口にしたと言っていました。・・・?』
マルコヴィッチの様子がおかしい。震えている。
『・・な、なななんだよ。・・・それじゃあ、・・お、おれにはあぁ・・・キャサリンが怪物に見えて・・こ、ここ殺したって言ってるみたいじゃぁあねぇ、、かよ。。あ・・・うぅ・。』
『落ち着きなさい。・・・・これだけは伝えときます。・・キャサリンさんはあなたの事を恨んではいません。息をひきとられる直前にこう言っていました。「夫に・・・マルコヴィッチに。あ、あ、愛してると伝えて・・・」。と・・・あなたも最後の最後まであなたを愛し続けてくれたキャサリンのためにも罪をつぐないなさ・・・。』

『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!うぁぁぁぁぁぁぁ!!死ねぇぇぇぇ!!お前も!お前も!お前も!お前も!お前も!全員しねぇぁぁぁぁ!!』

マルコヴィッチはテーブルを押し退け暴れた。口からはよだれがたれている。
『いかん!ショック状態になっている!刑事さん、車の用意は!?』
『できました!!・・・・・おら!来い!』
二人の刑事がマルコヴィッチを連れていく。マルコヴィッチは車に乗せられ精神病院刑務所に送られた。

〜二日後〜 マルコヴィッチは刑務所の中で、食器の破片で首を切り絶命していた。

マルコヴィッチは本当に病気だったのか、それとも呪いにかかったのか。

それは誰にもわからない。


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『マルコヴィッチ?ご飯できたわよ。起きて?・・・マルコヴィッチ!?・・・マルコヴィッチ!!?』

13日の朝、マルコヴィッチはベットで死んでいた。

□13月13日

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