BIOHAZARD -revenge of nature- #1
〜プロローグ〜
延々と続くプロペラの音に揺られながらハンスは差し込んでくる光に目を覚ました。
「……朝…か…。」
重い瞼をこすりながら窓の外に目をやる。一面真っ白な氷の世界。その中で、今昇っている朝日の光さえも冷たく感じた。
「…あとどのくらいで着くんだ?」
ハンスがヘリの操縦士に尋ねた。
「あと15分ほどで到着します。」
恰幅のよい操縦士は極めて事務的に答えた。
「…そうか。」
ヘリでの移動は思いのほか疲れた。もうどのくらい乗っているのか。…帰りもこの調子だと参るな。

色々な考えを巡らせているうちに、白紙を拡げたような風景の中に、建物が見えてきた。
「あれか…例の石油基地は。」
ヘリは施設の上空を旋回しながら、ゆっくりとヘリポートに降りていき、地面へと足をおろした。ヘリのスライドドアが開くと、外は穏やかそうに見えたがさすがは北極。肌に針が突き刺さるような感覚におそわれるほどの冷たさに、ハ ンスは身を震わせた。ハンスがヘリからおりると中年の、いかにも作業着のような服を着ている男性が足早に駆け寄ってきて声をかけてきた。
「どうも!ここは寒いですからどうぞこちらへ!」
と言って、急ぎ足で車の方へ走って行った。

ハンスが車の方へ向かうと、背中の方でヘリが、もう聞き飽きたプロペラ音を鳴らしながら空へと飛び立っていった。

□BIOHAZARD -revenge of nature-
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