『イケズの構造』新潮社

やはり、この本は、ひさうちみちお画伯に絵を描いていただいたことに尽きるでしょう。思えば、長い間、当たり前だけど雲の上のアイドルだった画伯に、まさか自分の本の挿画を引き受けていただけるとは。なんだか、ウタタコンジャクというか、まだ、夢見ごこち。ふー。
京都での食事会はとても楽しかったです。飲み≠ェ入って楽しいなんてのは、まず、儂には珍しいことなんだけど、あの晩はマジにテットーテツビ楽しかった。思ったより、ずっと垣根を作らないお人柄だったのが嬉しい驚きでもありました。ばびゅーんと自転車で夜の京都を疾走する画伯は実にかっちょよかった。
もちろん、自分の本は、みんな売れて欲しいんだけど、今回は特にその思いが強い。犬の本もかなり思い入れたっぷりだったけど、あれは、まあ、売れなくても仕方がないのかなあとどこかで考えていた節もある。でも、これは、どっかで「売れるべき」とか不遜にも考えている(ひさうち画伯の労作が、少しでも人目に触れて欲しいからってのもあるし)。それは、やっぱり自分というものの根幹に触れてるからだろうなー。そういう意味では『京都人だけが知っている』を書いたときと近い満足感がある。尤も、本当に売れたら売れたで驚いちゃうんだろうケドね。マジな話、自分の作品に自信を持てる日なんか一生きそうにないからなあ。原岳人先生が羨ましいぜ。きっと先生は、未だに儂なんかより、ずっと自信マンマンだろう。
ところで、たった一つ残念だったのは、本を書き終えてから出会った『グルニエドール』のマダムのエピソードが挿入できなかったこと。スゲエ人だった。『グルニエ……』は超絶的に美味しいケーキやさんだったけど、ここのマダムは、その味を相殺してあまりあるお人柄のようす。あんなふうに頭ごなしに見下されるのは久しぶりだった。
いや。勿体ぶるつもりはないし、別に大したことないっちゃないんだけどね。状況を簡単に説明するとね、えーと、儂の友人の友人さんが『グルニエ……』のオーナーに紹介してくれたのね。んで、その場に儂を紹介するための資料≠ニして『京都人だけが食べている』があったわけさ。なぜかその場に同席していた彼女が、それをパラパラ捲ってたんだけど、そのなかのエッセイの一つに「87点」というタイトルのものを見つけて「あら!お店に点数を付けたりなさるの!」(生粋の京都人である彼女だが徹底的な標準語)とおっしゃったわけです。「いや、読んでいただければ判りますが、そういう本じゃないんですよ。その題は数字の持つ曖昧さ≠表現するための意味のないナンバーなんです」と言い終わらぬうち、彼女は『日高川』の入相花王渡し場の段でガブした清姫のように急に京都語になって「ヘーェ、そないでっかて言わしてもらわなあかんにゃろか?」と吐き出された、と、それだけのことなんです。はい。まあ、フランスに長く住まれていたそうなので、虚勢を張る癖が抜けないんでしょうね。ご自分には、なんの実績も、才能も、ないわけだし。人を見下すのだけがエネルギーなんだから可哀想な人ではある。こっちに住んでると。いっぱい似たような人たちがいるのを儂は知ってる。……そして、その末路もね。
ともあれ、まずはこの場でグルニエ・マダムのお披露目です。これからも京都へ帰るたびに伺ってネタを仕入れていきたいモノです。モノ書きの鑑?

 

ほんまに京都人だけが知っている

「生々しい」という言葉が三部作の最後を飾るに相応しい形容詞でしょう。信じようと信じまいと、儂は抒情派だったりするので、でもって、そっちの満足を与えてくれる仕事というのは、これからもちょくちょくやってくると思うので、この際生々しい本を書いてしまおう!というのが書き始めるにあたっての儂の計画でした。それが、なんとか果たせて、儂は嬉しいです。あとは売れてくれればいうことはないのだけど、さて。
しかし、この本は、我ながら「書き切った!」感が強いですね。それなりに苦労もしたし。書いてるときというのは、結果がどう出るかなんて、ちーとも分からないのが常ではありますが、さすがに前に二冊も書いてると、基本のスタイルだけはしっかりしているはずで、そんなに心配はしてなかったんですね。ところが、どっこい。書き出したら、まあ、豆のスープのような霧のなかで手探りしているような状況に陥ってしまいました。それだけにゴールの岸にタッチした途端、ぱーっと辺りが晴れ渡って「ああ、終わったんだ」という感慨があったのかもしれません。こないだようやく読み返して、そんなに前作に比べても遜色が(少なくとも自分的には)なかったのでホッとはしてます。
さて、このシリーズで書き残したテーマというのは、ほとんどないのですが「玉葱工房」や「コロモール」「手染メ屋」「壬生堂」「Pagong」などの和アロハ+「京町家手拭」「」などを考察した≪和テイスト≫は、ちょっとやってみたかったな。残念ながら取材する時間がなかったケド。とはいうものの、入江には実感のないモノが書けないという欠点があるので、サイズ設定が合わないところの服については触れられなかったでしょう。いずれにせよ総花的なのは難しかったかもね。

 

 

 

秘密の京都 〜京都人だけの散歩術〜

ふだん京都で儂とシドとが歩いているときの会話や雰囲気が最もよく出ている本。もちろん文章にする段階で整理整頓してはいるし、新潮が誇る校閲SSのおかげで、儂の本にありがちな思い込み≠ノよる史実や記述の間違いはほぼなくなってはいるのですが。それでも、もし、誰かが儂らの散歩に付き合ったとしたら、そのときの印象はほぼこの本の読後感と同じに違いありません。けれど北畠センセーの美しい写真が合体することで、なんだか妙に格調高く仕上がってしまいました。やっぱヴィジュアルの力ってすごい。
『京都人だけが知っている』を読んでくれたあと吉野朔実さんが「文章に出てくる場所が、実際にどういう風景なのか見られる本があったらいいのに」と言ったのが、そもそもの出発点。そのあと、エスクァイアから京都特集の話があって、お、こりゃ好都合、と渡りに舟で書いた「入江敦彦的京都」をベースに本を作りました。北畠センセーにお願いすることになったのは、その流れです。『……食べている』がハリー中西さんなのと同じ理由。そんなわけで、ほんとは新潮ならトンボの本くらいヴィジュアルが大きく扱われると、もっとよかったのにな、という本音はあります。まあ、そのうち、どっかで近いものをやる機会はあるでしょう。
ちなみに、これのロンドン版をやりたいと儂はつくづく思っているのですが。雑誌でも単行本でもいいから書かせてくれる向こう見ずな出版社さんはありませんかね?

 

『京都人の秘そかな愉しみ』大和書房

十ヶ月ぶりの単行本。京都本としてはなんと一年二ヶ月ぶり。ふー。この前が犬本だったので、ほとんど経済が破綻しそうでしたが、なんとか新刊にこぎつけました。売れてほしいもんです。なんつってもシド鳴虎の表紙写真デビューでもありますからな。出版社は初めての大和書房。長谷部さん、お世話になりました。疇津さん、飛田さんに続いて、またも美人担当が付いて私は嬉しい。これからもよろしくお願いいたします。
さて、出来上がりを見ての感想ですが、ずいぶんと本の作りが今までと違って、いろいろ新鮮です。中見出し(編集長作)が挿入されるだけで印象って違うもんですね。文章的には特別に意識してソフトにしようとは考えなかったんですが、なんだか当たりが柔らかい。さすがは読者に親切≠ネ大和書房。阿っている≠ニか甘やかしてる≠ニか言ってはいけませんよ。いいですね。判りましたか。儂は内容にさえ手を出されなければ、それが売るための方便としてどんなスタイルに料理されても構わない、拘りの少ない人間なので今回の反響がどう出るかとても愉しみです。内容はというと、入江が普段の暮らしの中で愉しんでいるトラッドについて、です。昔から京都人の生活に伝わるものもあれば、新しい習慣もアリ。アレンジされたものも、オリジナルもこき混ぜて、儂の毎日を彩ってくれるマイ伝統≠フ数々。と、ゆー、まあ、入江的な雑学はたっぷり煮含めましたが、それにしたってなんだかいままでなかったくらい私的な本。そういう意味でも反響が待ち遠しいです。
ちなみに反響の第一弾はクレームでした。真摯ではありましたが。「あなたには、このことを私に説明する義務があります!」だってさ。ふーん。でもさー、儂は自分の本のなかで一度だって「これが正論だ」とか「私は正しい」という物言いをしたつもりはないんですが、というか、そうならないようにとても気をつけているんですが、どうして過剰に反応する人って後を断たないんでしょうねえ。なんだか儂の文章に責められたみたいに感じる人がいるみたいで、どうにも困ってしまう。儂のように好き嫌い(のみ)で生きてる人間には正否(あるいは正邪)でしかモノゴトを判断できない人はコワイ。そういう人って、しっかりカッとなった段階でテクストを読み込まないで怒りがメルトダウンしちゃうしね。――やっぱり洛外からのコンプレックスなのかしら? あ、もちろんインフェリオリティのほうね。

 

恋愛よりお金より犬が大事なイギリス人
People Prefer Pooches to Passion, Pounds and Pence

本当に、ほんとーに、ほんッとーに、苦労した犬本が完成しました。書いてる途中は苦労にも増して幸せでしたけどね。ああ、やっぱり儂は犬が好きだなあとか。書き終えて心から思っているのは「いつか犬と暮らしたい」ということ。まだ踏ん切りがつかないのは犬にとって最高の環境を整えてやる自信がないからです。猫の場合は、まだお互いに勝手が通せるところがあるけれど、犬の場合はそんなふうに割り切れないからなあ。まさに子供を持つのと同じです。こういうことを言うと、子供を持ってる人たちは「犬といっしょにしないで」といったりするのでしょうが、そういう人には犬を飼って欲しくありません。そして、きっとまともに子供を育てられることもないでしょうから、子供も持って欲しくないんですけどね。
さて、未来に飼う事は決まったけれど、いったいなにを飼うかという問題が残っています。儂は雑種が好きですが、雑種は性格や嗜好が解りにくくて、丈夫な反面、情緒面でのケアが心配。そういう意味では一匹目は純血種がいいかなあ――ということで、第一候補はリタイアしたグレイハウンドです。彼らは人間と暮らすことが第二の天性になっているので、儂のような勝手な人間にも寄り添ってくれる度量がある。性質も優しいし、図体はでかいが隅っこが好きで場所も取らない。頭もいい。よく食うけれど粗食が好きみたいだし。体力を温存するように体の構造ができているから、実は運動量もそんなにいらない。あまり吠えないし匂いも少ない(儂は犬の匂いがかなり好きなんですが、お客さんのことを考えるとね)。それに本にも書きましたが、ドッグ・ホームの専門家がこちらの環境的な適正を推し量ってくれるので、そういう点でも自信が持てる。おまけに一匹でも不憫な犬を救ってやれるのだから、こんなにいいことはない。いやー、未来の飼い犬が決まっただけでも、この本を書いた甲斐がありました。あんまし、売れてないみたいだけど、いいの。くすん。やっぱり「露骨にかわいそうな犬の話」とか犬ポルノ――ひたすら可愛い犬の写真が載っていて、犬好きと称する馬鹿が「いやーん、可愛いーん」と頬摺りするような本のこと――がウケるんだよね。ふー。

京味深々―京都人だけが食べている2―
  WAVE出版

間髪を置かず、勢いで出してしまった第二弾。みなさんはもう楽しんでいただけたでしょうか? 最近、どんどん自分をさらけだすことに躊躇がなくなってきた気がします(そういう輩を恥知らずと昔の人はいいましたが)。もの書きの先人が、自分たちの商売を卑下して「売文業」とあたかも「売春婦」のごとく表現し、しばしば、その売春婦たちにシンパシティックであり得る気持ちが分ってきました。非常に追い詰められた感じなんですね。壁に背中をつけたまま堕ちてゆく。また、それが快楽でもある。そして京都人もまた、追い詰められているな、と、この本を書きながら思っていました。――諦念――。京の味覚は諦念の深い深い底で甘やかな蜜を溜め、あるいは酒を醸している。そんなことを考えながら記憶のモザイクを愉しんだ、これは、本です。

『京都人だけが食べている』 WAVE出版

長いこと書きたかった食の本。嬉しいな。発売3週間で2刷り決定!と、いうのも、京都での人気を見越して初版ぶんを関西中心に注ぎ込んだところ、意外や全国区で売れてくれて、東に回すぶんが足りなくなったせいらしい。
書店さんも分ってるう、というか、ちゃんと、ガイドや旅の本の売り場ではなくエッセイのいところに並べてくれているらしい。ありがたやー。だって、この本、ちっともガイドしてないもんね。提灯なんてひとつもぶら下がってない。いつもながらのEsquire清水編集長の太っ腹な采配に助けられ、値段も安く上がりました。そのおかげもあるかな。
なんでも、じきに第二弾も出るって話があります。1回目は、雑誌の特集ということもあって、かなり意識した食べ物も選択もしたけれど、こんどは、もう、本当に好き放題選ぶつもりなので、かなり偏った内容になることは必至。
第一弾で充分に偏ってると思った人は、第二弾はキツイかもって感じ。でも、いいの。それで喜んで暮れる人もいるんだって判ったから。ふじたま氏リクエストの「うおそうめん」も書く予定。どこの店を紹介するかはシ・ミ・ツ。
あ、玉姫酢も紹介させてもらうつもりなので、よろしくー。いや、ガイドじゃないから、そういう意味での期待はして欲しくないけど。

『やっぱり京都人だけが知っている』

続編とか、第二弾って、どうしても最初の一撃よりは見劣りがするというか,少なくともコンセプトの新鮮味がないぶんゆるく♀エじてしまうわけですが、さて、どんなもんでしょう。儂の場合。書いている最中は、やっぱりプレッシャーがありましたけど・・・・・・。昔は、憬れてましたけどね。こーゆーシチェーション。でも、実際にそうなってみると、思っているように簡単なもんじゃありませんでした。これは前作が「ベストセラー」といっても、せいぜいスマッシュヒット程度だったからでしょう。まだ、免罪符を貰うところまで行っていないっちゅーか。林望じゃないっちゅーか。まあ、巻末の『京都人だけが知っている』の広告ページには「大ベストセラー」なんて書いてあって、ちょっと恥かしいやら、嬉しいやら。やーねえ、もーって感じ。頑張らんといけませんな。ふー。もし、将来、本当の大ベストセラーなんて書けたら(とても、そうは思えないが)そのときは、もう少し楽な気持ちで続編にも当たれるのかしら。いや、儂は、そうなっても同じだろうなあ。
今回の本でのいちばんの思い出は、タイトルに苦労したことでしょうか。前回は、最初から決めてたというか、「よし。これだー!」感があったのですが、今回は「京都人だけXX」という前提というか,縛りがあったので、しかもその上で、前回なみのインパクトが要求されたので、いやはや大変でした。結局は、書店さんにアンケートをとったりして『やっぱり・・・・・・』になったわけです。セーラームーンが流行していた頃だったら、『京都人だけが知っているS(スーパー)』にしたかったところですが(ま、通らなかっただろうけど)。第三弾の予定はいまんとこないですが,書けといわれれば書ける気がしてるので、そのときはタイトル、どうしようかなあ。『ほんまの京都人だけが知っている』?『悪いけど京都人だけが知っている』? 『となりの京都人だけが知っている』は? 浜村純風に『ありがとう京都人だけが知っている』ってのは、どう?疇津さん?却下?そんなわけで、広くタイトルを公募したいと思います(だから、予定はないってば)。

Esquire 2002年4月号

清水編集長が「日本もの企画は売れない」というジンクスに真っ向から対抗して、しかも入江の書いた記事を特集の巻頭に持ってきたという、大胆にしてアナーキーな京都特集。出ました!どーどーの80頁。半分ちかく儂が書いてますが、いいのか?売れなかったら責任を感じるので、ぜひ売れてほしいです。みんな買ってね。さて、その巻頭特集の【入江敦彦的京都「やすみやすみ千年を歩く」】で、取材中、儂は何度かモデルをいたしました。ちょっと太りぎみだったので、3日も絶食して臨んでいたというのに、清水さん、なんであんなに太って見える写真を使ったの?!儂はかなP。ひょっとして、達磨寺で、達磨のような筆者がいるって、洒落?ぐっすん。でも、いわゆる陳腐な紋切りに満ちた「大人の京都」的な内容ではなく、新しい京都、今を生きる京都の姿が浮き彫りになっているいい特集だと思います。

『女王陛下のお気に入り』 (WAVE出版)

初めてのWAVE出版。優しくしてね。はぁと。王室御用達の雑貨。スーパーや近所のヨロズ屋なんかで売っているようなロイヤル・ワラント・ホールダーのグッズを集めたチープで可愛い本でーす。くふっ。はぁと。それにしても校正をしたとき思いました。「ああ、儂が、こんな字組の大きな本を出すなんて…」。感無量であります。儂の本来の文章が好きな人にとってはずいぶん軽く感じるかもね。100%SOカモね。しかも、こいつってばターゲットもかなり違う気がするなー。儂の本なんか読んだことないような子がいっぱい読むに違いない。今はなき婦人画報社のTokyo Santaに連載されていた同名のコラムを全面改稿して、半分以上書き下ろして出来あがっています。もちろん商品のピックアップと撮影のコーディネートも儂。御用達のワインやシャンパンなんかも集めたので、何が大変といって、買い物そのものがいちばん大変でした。重かったよう。飛田さん(儂の担当さん。因みに美人)、頑張って沢山売ってね。はぁと。

『英国式人生のススメ』(洋泉社)

『京都人…』からわずか五ヶ月足らずで書いてしまった新刊が登場しました。今回は、前回に比べるとちょっと出足が遅いようなので、どーぞ、応援してやってください。よろしゅう。
自分では、そこそこ納得できる内容になって(除:誤植。吉野朔「美」は「実」です。ああーッ)満足してます。なんかEsquire始め、今までいろんな雑誌に書いてきた英国特集の総決算!的な気持ちもありました。けっこう、それらを書いていた当時を思い出したりしましたねえ。いろいろあったとしかここでは申せませんが、いろいろありました。気分よくできたこともあったし、いまでも恨んでる編集もいます。儂、しつこいから、心当たりのある方は覚悟をなさっておいてください。儂、忘れないもんね。「今は懐かしい想い出・・・」的ユーミン的な感情は持ち併せていません。ユーミン、大学の先輩だけど。でも、そんなこといったら三宅一生だって先輩だ。
この本は、おやぢの啓蒙書っぽいな(自分的には)要素も含ませたつもりでいます。十二の哲学はひとつづつ朝礼のときに使っていただけないかしら、とか考えてます。ちょっと「チーズはどこへいった(だっけ?)」を狙ってみました。ウソです。……多分…。だって、久しぶりに日本に帰ってきて、友達に気軽に電話できたり、会ったりって、すごい楽しいけど、やっぱりこの国はストレス溜まるんだもん。英国では決して感じない種類のストレスをね。これはウソじゃなく真剣に、日本人も英国人的思考法でかなりストレスの少ない社会を作れると思うんですけどね。英国人になる必要なんかちーともないけど、気の持ちようひとつで日本に居ながらにして英国式人生を歩くことは誰にだってできるんですよ。

『京都人だけが知っている』(洋泉社)


売れて嬉しい花いちもんめはボケろーじんっと。京都では四週間ベストセラー・チャートの一位にいたようです。朝 日は小さかったけど、ほんとーにちいさかったけど、日曜版の書評だったし、読売新聞にも載ったし、論座にも井上 章一が書いてくれたし、いやーありがたいこってす。でも、どうして京都新聞は無視するんだろう。奈良新聞にすら 載ったのに。よそさんがたくさんいるのかな?それとも洛外人に嫌われたのかしら?まあ、この本で腹を立てるよう な京都人は京都人とは呼べないけどね、って、井上さんにはそんな計算も見抜かれてしまってましたが。
儂は個人的には『あの世』が気に入ってます。タイトルは『花の都パリパリ』が好き。オリジナルは『失われた京つ けものを求めて』だったのですが担当の疇津さんに「文学的過ぎる」と言われて変えました。確かに、こっちのほう が儂らしいね。

『英国映画で夜明けまで』(洋泉社)


いい本だと思うのに、売れなかった。儂のせいか?映画というサブジェクトのせいか?それとも値段のせいか?
まあ、この本、実は後になって見直して、トンでもない間違いをいくつか発見してしまったので、それを直すためにもベストセラーになって欲しかったんだけど。無謀な野望でした。ほとんど校正も入れられなかったんだよね、スケジュールのせいでって人はなかなか自分のせいにはしない(Byモリシゲ)。儂がみんな悪いんです。ごめんなさい。アン・リーは男です。ひゃー。穴掘っちゃう。因みに、英国人も、恥ずかしいとき、穴を掘る動作をします。いっそ、もう、売れないほうがいい…なんていうと怒られますね。いや、まだ買ってない人、ぜひ、買って下さい。残部いっぱい。のはず。

『Taste Of Britain』(英国大使館)


書店売りは殆どしなかったんですが、大変によい評判をもらったムックです。エディトリアルから参加してます。ただ、基本的にはイギリスが「うちの国の食材を買って下さい」と宣伝するための本なので、あまり突っ込んで書けなかったのが残念。それでも大使館発行物の中では異例の人気だったそうな。
でもね、やっぱイングランド中心なので、アイルランドの話とか嫌がるんだよね。スコッチのページはあっても、アイリッシュウイスキーについては書かしてもらえなかった。ギネスなんかはイングランドに工場があるから触れてもよかったんだけどね。「アロガント・レイシスト・バスターズ!」とついスゥエアリングしてしまった儂。はっきりいって、スコッチより、儂はアイリッシュのほうがモルトは好きだ。どこか、男性誌でアイリッシュ・ウィスキーの特集をしてくれるところはないかね?いや、ウィスキーに限らず、林望の本に書かれたような「おいしい」ではなく、本当の英国の「おいしい」をいつかまとめて書きたいもんだ。しかし彼の「英国のバターには塩が入っているから美味しい」には大笑いさせてもらいました。いったいどこからそんな発想が出てくるのかは知らないけれど、無塩を使って、上質の塩味を後で加える方が美味しいに決まってるじゃん。英国の有塩バターの塩は天然塩なんかほとんど使ってないんだからさ。あと、ソーセージがまずい、というのにも驚きました。狭い世界で生きてる人は違うなあ。

『ロンドン攻略読本』(宝島社)


これは、英国生活者にとってはバイブルです…とまで言ってもらったムック。現在絶版ですが、探せば古本屋とかにはあるはず。なにせ5万部以上刷ったから。いや、いまだに古びていない、いい本です。自分で言ってますが。「ドラッグ」「トイレの落書き」「恋人募集欄に見る恋愛観」とか名作です。って自分で言ってますが。
この本で残念だったのは。書きたいサブジェクトを、いくつか人に譲ってしまったこと。企画は全部自分で立てたんだけど、当時は自信がなかったからなあ。その仇は今回『英国人だけが知っている』(二〇〇一年、十月刊)でけっこう討てたから、まあ、よかったよかった。特に須田泰成には利用されたって感じがつよいなあ。誤解だろうか? ひょっとしたらそうかもね。でも、人によって態度や言葉を変えるような人を儂は信用しません。儂は、簡単に人を信用してしまうというか、信用したがってところがあるので、まあ、それは自分の責任なんだけどさ、あんまり騙さないでほしいなあ。

『英国の裾、英国の袂』(センイジャアナル社)


大して営業がいるわけでもない大阪の業界紙出版社が取次ぎ店を通さずに本を売ろうとするというのは、相当に無茶なことだったようです。これも、きっと、倉庫にいっぱい眠っているはずなので、善意のあるかたは取り寄せてみて下さい。写真はおろか、イラストも全部自分で描いたので、愛着はあります。ただ、この本に協力者として載っている宇野昭彦という男は、のちに儂の金を百万ほど持ち逃げした犯罪者ですので無視して下さい。もちろん協力もしてもらっていません。コイツ名義のエッセイも載ってますが、あれも儂が書いたものです。愛情はすぐに儂を目隠しします。自己破産したと風の噂にききましたが、いっそ死ねばよかったのに。憎いというか、人に対してではなく、ゴキブリに対するような憎悪を彼に対して持っている儂です。どうでもいいが服を返せー。いや、金も返してほしいけど。