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      空調はきいてないけど、大丈夫かな。

 

      薬飲んだっていうなら後はしばらく安静にしていればだいぶ楽になるはず。

      それにしても目なんかうるうるだし、ほっぺもほんのりリンゴちゃんだし

      不謹慎だけど、可愛い・・・。

 

      「これ以上暗く出来ないけど、ちょっと寝てたら?」

      「・・・はい・・・すみませ・・・」

 

      言い終わらないかくらいにはもう瞼は閉じられて、顔がジャージに沈んでた。

 

 

 

      外の雨はまだやまない。

 

      今朝もらった手紙も全部読んでしまった。

      持ってきた雑誌を静かにめくってみるけど、全然頭に入ってこない。

      穏やかな空間。少しだけあけた距離。

      小さな寝息だけが耳に心地よく届く。

      そのリズムに合わせたように私の胸の鼓動が重なる。

 

 

      病気したとき、心細いと感じてしまうのは私。

      どうしても、一人でいると気持ちが弱くなっちゃう。

      タニはそうでもないのかな。

 

      私が寂しいだけのかな。

 

 

      掛けていたタオルがタニの肩からずり落ちてしまった。

      そっと近づいて拾い上げまた掛けなおそうとして、ふと顔を覗き込む。

      頬から少し赤みがひいたみたい。寝息も落ち着いてきてる。

      壁に預けてたはずの頭はいつのまにか前へ垂れて、じわじわと身体全体が右へ

      傾きだしてる。やば。倒れるよ。長椅子っていっても寝るには足りない。

      タオル越しに肩をつかんで上半身を立て直すけど、手を離すとまた傾きだす。

 

      ・・・しかたない。

 

      タニの隣に腰を下ろし、自分の肩で傾く身体を支える。もう起きるまで動けない。

      コトン、とタニの頭が私の肩に乗る。

 

      柔らかい髪が頬にあたってくすぐったいけど嫌じゃない。

      速くなる胸の鼓動を誤魔化したくて、髪をすくようにそっと頭を撫でてみる。

      こみあげてきてるこの気持ちは、私に頼りきって今、すべてを私に預けてるタニへの

      母性という名の愛情なのか、それとも



      ・・・違う感情なのか・・・。

 

 

 

 

      温もりを腕に感じてるうちに気付いてしまった。

      安らげる場所を探しているのは私。

      寂しいのは私。

      こんなふうに

      寄り添っただけで、心が満たされるような安堵感をいつのまにか求めていたのかもしれない。

      決して緊張しているからではないこのドキドキも、不思議と心地よくて

      いつまでもこうしていたいと思ってしまう。

 

 

 

      意味不明な好奇心に負けてしてしまいそうになった未遂のキスの行方は

      この不確定な気持ちの延長線上にあるのだろうか。

      私はどうしたいの?

      タニに触れていて

      どうしてこんな気持ちになるの?



      タニのこと



      好きなの・・・?

















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