6
はっきりと覚えている。
初めて重ねた唇は互いに少し震えていた。
抑えきれなかった気持ち。
その時はまだ、未確定で不安定でそれが何かだなんてわかってなかったはず。
でも、間違いじゃなかった。
「いいの?」という問いかけに小さく頷いて潤む瞳が静かに閉じた。
あの日、深く交わした二度目のキスの感触も思い出すだけで胸が熱くなる。
欲したのは私。
求めたのはあなた。
たとえそれが罪だとしても。
本気の瞳に、吸い込まれてしまったから。
抱きしめた温もりを離したくなかったから。
ぎゅうっ、と抱きしめて
全部抱きしめてこのままずっとかおるを感じていたい。
「リカさん・・・?」
未来中の願いと引き換えてもいい。
「かおるが好き」
「あたしも、
リカさんが 好き」
今ならはっきりと言える。
それが愛だと。
「愛してる」
「あたしも愛してる」
あの日とおんなじ。
温もりにまどろむ遠くに、雨の音が聞こえる。
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