悪戯美人


 

 







耳朶染めてそわそわしてる そんな仕草につい騙されて


 

紅茶を混ぜて

スプーンに映るあなた自身にうっとりしてる

 

美しい日本の女(ひと)

 

 

 

     一目惚れは世界共通。

     

     黒い瞳がくるくる動いて僕を捕らえる。

     あなたとはビジネスだけでは終わりたくないわ、なんて

     イキナリの誘い言葉にフラフラと気持ちが持っていかれそうで。

     

     オープンテラスのホテルのカフェから吹き抜けのエントランスを通り抜けて、

     気が付けば上階の部屋を目指すエレベーターの中。

     柔らかな香りに柔らかな微笑みが重なる。うふふと笑いながらしなやかな彼女の腕が

     僕の腕に絡みつく。



     「あなたのこの後のスケジュール。私に頂けない?」

 

 



     だけど僕らは出逢ってまだ何時間も経ってないんだよ?

     

 

 

 

悪戯な色っぽさで後ろ手に鍵かけて


 

 

     明るくて広々とした最上階手前のスイートルーム。

     壁一面の窓のカーテンは開け放たれ、周りのビル群を見下ろすような景色が広がっている。

     少しきつめの空調のせいか、うっすらと肌に浮かんでいた汗がすっとひいていく。

     泳ぐように歩く彼女が奥の部屋のドアを開ける。

     整えられたダブルのベッドに軽く腰掛ける君が蕩けるような視線で僕を側へと誘導する。

 

 

甘い目で追いつめる 僕を


 

 

     ゆっくりと顎をラインをなぞる彼女の白い 指・・・。

     身体の芯から崩れ落ちるように深く沈みこんでゆく。

 

 

白いベッドにひらりと黒いレースの花びら


 

 

指だけで

すべてが終わりそう


 

 

 

     猫のようなしなやかさが僕を包み込み、まるで夢の中のような甘い感覚が脳を刺激する。

     それは部屋中を満たす強い薔薇の香りなのか、それとも・・・。

 

 


ブラウス透けてトカゲのTATOO

どんな遊びを企んでるの?


 

昼をたちまち夜にすり替え プラトニックが淫らに化ける


 

 

     躊躇していたはずの腕が、唇が、堰を切ったように彼女を求める。

     ほんのりと紅く色づき始めた白い肢体、

     直に伝わる温度を受け止めながら僕はその肌にキスを繰り返す。

     

     漏れる吐息に悦びの笑みが混ざる。震える睫、時折瞳をパチリと開けたかと思うと

     うっとりと緩ませ、意味ありげな視線を僕に向ける。

 

 

 

 

怪しげな日本の女(ひと)










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