Side-K
「ご苦労様でーす」
不在届けと引き換えに受け取ったお届け物はリカさんからだった。
しかけていた稽古着の洗濯も、明日ホテルへ送らなきゃなんない1ヶ月分の荷造りも
ほっぽりだしてその箱を開けてみる。
「 Present for you !
RIKA 」
そう一言だけ書かれたメッセージカード。
クセのある文字があたしの胸をこんなにも簡単に躍らせる。
リボンがかかった包みを開けると、白地に銀でロゴが入ったTシャツと
シンプルなブレスレットが入っていた。
「ドルガバだぁ・・・」
リカさんが着てるのを見たのが早かったか、
デザインに一目ぼれして買ったのが早かったのか、もう忘れちゃったけど
お揃いみたいだなって思ったら嬉しくて、そのままこのブランド好んで着てる。
「もしもし?リカさん?
かおるです。あのっ、プレゼント。ありがとうございました」
『あ、届いた?誕生日にはちょっと早かったけど・・・』
「ううん。もう明後日から博多だったからちょうどよかった」
『あ、そっか。そんな言ってたねー』
「あ、そだ。
リカさん、帝劇お疲れ様でした」
『こないだも聞いたよ』
「こないだのはメールでだったもん」
『ん、そっか。ありがと。
かおるこそ明後日?気をつけて行っておいで』
「はぁい。行ってきます」
『あれ?そういえば今度また女役やるって言ってなかった?』
「そうなんですよー。ロケットもやるんですよ。ダルマで」
『ホントにー!?うっわ、それ見たいかも』
「博多まで見に来て下さいよ」
『うーん、そおねえ。
考えとく』
「リカさんの女役よか色っぽいかもしんない」
『ナマいってんじゃないの。ま、慣れないヒールで転んで怪我しないようにね』
また電話するからって電話越しにキスの音。
お返しのキスをしてケータイを閉じた。
ふうっと大きく深呼吸。
「さあて。とっとと荷造りしないとね」
ラインストーンがキレイなシルバーのブレスレット。左手にはめて右手で優しく包み込む。
身につけて行こうかな。
お守り代わり?
ううん、リカさんだと思って一緒に行く。
リカさんがくれたこのTシャツも持っていこう。
・・・おんなじの2枚あってもいいもんね。
リカさんが着てるのを見たのが早かったか、
デザインに一目ぼれして買ったのが早かったのか、もう忘れちゃったけど
響きあう感覚が何だか嬉しい。
こんな風にあたしをわかってくれてる
リカさんが大好き。