Side-k


 

   「どれにしようかな」

 

   甘い香りに誘われて思わずドアを開けてしまった。

   ウッドデッキに並んだ観葉植物、開放的な明るい雰囲気の店内。

   初めて入る小さなケーキ屋。

 

   「ん・・っと、この苺のケーキと・・・

    あとこのチョコのやつとその隣のと・・・」

   可愛らしいケーキを前にきっとこれ好きそう、とか考えながら選んでる自分が

   やけにウキウキしているのがわかる。

   リカさんに逢う理由。

   なんでもいいから逢いたい理由を探す。

   無理やりでもいいから二人で過ごす時間を作る。

 

   最近、お稽古ハードだったし、

   リカさん疲れてるみたいだったし、

   疲れてる時は甘いものがいいっていうし、

 

   リカさんと一緒に食べたいなと思ったから・・・。

 

 

   思い立ったら行動しちゃうあたし。

   いつも結構いきなり。

   でもそんなでも、あきれながらもちゃんと相手してくれるリカさん。

   たまに都合がつかないときもあるけど。

   迷惑かな? と本当は内心ビクビクしてる。

   嫌われちゃうかな? と形の見えない愛に戸惑っている。

   でも引かない。

   好きだから。

 

   

   「お疲れさまです!大和ですけど、

    あの、今日、時間、ありますか?」







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