Side.K


 

 

 

 

        自分の思い通りにならないことがあったとしても

        自分以外の誰かの思い通りになっているのかもと気づいた。

 

        もしそれでその誰かが幸せなら

        あたしはそれでもいいと思った。

 

 

 

        そう思えるようになった。

 

 

 

 

 

        あの日から

 

        過ぎる時間を抱きしめながら

        毎日、リカさんを想ってた。

 

 

        ねえ、リカさん

 

        今、幸せ?

 

 

        想いが、どんなに離れていても届くというのなら

        瞳を閉じて唱えてみる。

 

        優しい空気が包んでくれますように。

        穏やかな日差しが照らしてくれますように。

        爽やかな風が背中を押してくれますように。

        世界中のなにもかもが祝福の花びらを降らせますように。

 

 

 

        今日という日に

 

        あたしは近くにいれないけれど

 

        心の一番近いところでリカさんを見ているから。

 

        側にいるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

        嘘。

 

 

        全然そうじゃない。

        全然遠いじゃない。

 

 

        本当は今すぐにでもとんでいって

        何もかも放り出して

        ただリカさんだけを抱きしめたいのに。

 



        優しく包むのも

        穏やかに見つめるのも

        背中から抱きしめるのも

        あたしだけでいいのに。

 

        春の強い風に吹かれた花びらが

        あたしの心に張り付いた素直じゃない気持ちと一緒に舞い上がる。

 

 

 


        それでも
 

        ただ出来ることは祈るだけ。

 

 

 

 

 

 

        3、2・・・

 

        1・・・

 

 

 

        あたしの大好きな人。

 

        どうか

 

 

        幸せで いて。













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