とぎれとぎれの Silent Night



 





 

                                二人をてらす銀河の輝き

                           不思議に近くて 星に指をのばした

 

                              積み木の街を遠く見おろす空

                          ミルクのたてがみ 夜を走りぬけるよ

 

 

 

 

 

        シブキが すき。

        世界中で一番 すき。

        あたしと同じ病気だって知る前からずっとすき。

        同じ運命のひと。

 

        シブキの手がすき。

        その手で優しく撫でてくれると、痛みが消えていくの。

        シブキの瞳がすき。

        その瞳で見つめられると心が暖かくなるの。

        何もなくていいの

        ただシブキの側に居られるなら。

 

        たとえその時間がお互いにあとわずかだとわかっていたとしても。

 

 

 

 

        高台の観覧車。足元には小さな街明かりが広がっている。

        見上げた空には降ってきそうなくらいのたくさんの星。

 

        「空に浮いているみたい」

 

        まるで空に向かってこの観覧車が動いているみたい。

 

        「星に手が届くかな」

 

        今日はあたし、少しだけおしゃべり。きっと嬉しいからだね。

        そんなあたしを優しく見つめるシブキ。近づく瞳に吸い込まれそう。

 

        冷たい頬にシブキの温かい唇が触れる。

 

        壊れないように、とても優しくあたしを包んでくれる。

        暖かいね

        幸せすぎて胸が・・・苦しいよ・・・。

 

 

 

 

 

                              風も凍る夜空 君の笑う横顔

                            今夜だけまぶしく見えるのはなぜ

 

 

 

 

 

 

        久しぶりに長く歩いたから、少し疲れた。

        座ってしばらく経つのに鼓動は早いまま。

        シブキの肩にもたれて、このまま星の空の中で夢を見ていたい。

        薄く開いたままのあたしの唇に

        羽のような優しいキスをくれた。

 

        初めてのキス。

 

        王子さまのキスで目覚める白雪姫とは逆。

        あたしはきっとシブキより先に消えてなくなってしまう。

        今年の冬は越せないかもしれないねって、大人たちが話してたのも知ってる。

        自分のことは自分が一番・・・わかってる。

        でも、このまま命が燃え尽きてもかまわない。

 

        シブキが側にいてくれるなら。

 

 

 

 

                          いつのまにか二人そっと手を重ねるよ

                             涙がひとしずく浮かぶのはなぜ

 

 

 

 

 

 

        俺たちの身体はもう、いうことをきかないくらい冷えきってしまって

        これが寒さのせいなのか、病気のせいなのかわからないけれど

        互いに握り締めた手と、心だけは温かいまま。狭い箱の中で夢を見ていた。

 

 

 

        窓の外に音はなく、

        いつの間にか舞い降りてきていた雪が世界を白く包んでいた。

 

 

 

 

        この白い夢から目覚めたとき

        どこにいようと、どうなっていようともかまわない。

 

 

        カオルとふたりなら・・・。

 

 

 

 

 

                               気がつけばもう森は雪の中

                              白い地平線 星の色に光るよ












                                     song by ONAPETZ







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