背景のない ショート・ショート(1)
「リカさん」
「なぁに?」
「最近、臍出しの洋服ばっか着てませんか?」
「暑いしー、夏だしね」
「夏だからエアコン効いてて余計冷えちゃうじゃないですか!
だいたいお腹寒くしてると内臓まで冷えちゃって、
その内臓を冷やさないようにって血液がお腹に集中しちゃって、
身体全体に血液が巡らなくなって手足の先まで冷えちゃうんですよっ」
「ふーん」
「ふーん、じゃないですっ」
「だって」
「だって?」
「だって、短か丈の服、可愛いんだもん」
「可愛くっても、身体壊しちゃ意味ないじゃないですか」
「でも・・・おヘソも、可愛いでしょ?」
「可愛いからダメなんっ じゃないっ 可愛いけどダメですっ!」
「あ〜、単なるタニの独占欲か」
「違いますっ!」
「違うの?」
「うっ・・・まあ、ちょっとはそれもありますけど・・・」
「ちょっとぉ?」
「いや・・・だいぶ・・・ある・・・かも」
「でも、隠すのヤダ」
「ヤダじゃないです!」
「出さなきゃなんないんだもん」
「何でっ!?」
「何ででもなのっ」
だって最近かなりヤバいとこまできてるんだもん。
私のウエストまわり。
人に見られてたら痩せていくっていうの、実証済みなんだから
今のうちからこーいうふうに慣らしておかないと。
だってさ、ファンも喜ぶじゃない?
リカさんだって嬉しいじゃない?
そりゃあ、タニにはほんのちょっとだけ、悪いと思うけど・・・
綺麗な私がいいでしょう?
ん、もう
だから、目をつぶっててよ。
と、本人が気にしてるほどまわりは何とも思ってない切実(?)な悩みを抱えるリカさんと、
全然納得いかないまま、今だ丸め込まれ気味なタニちゃんの
ごくごく最近の会話。
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